EV(電気自動車)テスラは、革新経営を続けている。マスク氏は、向こう数年でテスラの次世代モデルEVコストの半減宣言を出して、競合企業を驚かせている。マスク氏は、「より小型なEVを『モデル3』の約半分の生産コストと難易度で生産する明確な道筋がある」と言明した。業界では、かねて確約してきた2万5000ドル(約330万円)の新型モデル投入がついに可能になるとの見方が出ている。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月24日付)は、「マスク氏のEVコスト半減、宣言競合に手痛い一撃」と題する記事を掲載した。
電気自動車(EV)開発競争でテスラの背中を追う主要メーカー各社は、イーロン・マスク氏から変化球を投げ込まれた。向こう数年でテスラの次世代モデルの生産コストを半減させるとの目標をぶち上げたのだ。
(1)「テスラの主力モデルはすでに、競合勢よりもコスト面で数千ドルの優位性を確保しているとされ、ライバル各社はその差を埋めようと必死だ。マスク氏は今月、モルガン・スタンレー主催の会議で「より小型なEVを『モデル3』の約半分の生産コストと難易度で生産する明確な道筋がある」と言明した。マスク氏の発言は、テスラのインベスターデー(投資家向け戦略説明会)で掲げられた目標を改めて確認するものだった。テスラ幹部は垂直統合や工場の自動化、部品数の削減などを通じてコスト削減を進める考えを示している」
テスラは、「モデル3」の約半分の生産コストで新型EVを開発すると宣言した。垂直統合や工場の自動化、部品数の削減などを通じてコスト削減を進めるという。電池コストの引下げとは無関係のようだ。これは、他社にとって脅威だ。
(2)「マスク氏は、具体的な数字や低コストモデルの投入時期など詳細については明らかにしていない。これまで自ら設定してきた価格引き下げの野心的な目標を幾度となく達成できなかった同氏だが、アナリストの間では、こうしたテスラのコスト削減努力により、業界トップを走る2桁の利益率を損なうことなく、かねて確約してきた2万5000ドル(約330万円)の新型モデル投入がついに可能になるとの見方が出ている」
生産コストの半減で、1台2万5000ドル(約330万円)の新型モデル投入が間近担ったと見られる。
(3)「メーカー各社は、ラインアップをEVに転換するため2026年末までに合計5260億ドルを投じる計画だ。メーカーの多くは、EV販売のスケールメリットを達成できる前の段階で、こうした巨額投資を先行している。EV需要は急速に伸びているとはいえ、世界販売に占める割合はなお小さい。14日開催された独フォルクス・ワーゲン(VW)のアナリスト・投資家向け会議でも、マスク氏の発言を受けて競合各社がさらに厳しい状況に追い込まれていることが鮮明になった。UBSのアナリスト、パトリック・ハメル氏は、「VWが向こう数年で利益を確保しながら、手頃な価格のEVを販売できるとは想像しがたい」と述べている」
既存メーカーにとって、利益を確保しながらの価格引き下げは、極めて高いハードルである。
(4)「VWは共通の部品を使用する次世代EVについて、いずれ時間とともにコストを削減できると読んでおり、VWのアルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)アントリッツ氏も2万5000ユーロ(約350万円)未満のEVを投入する考えを改めて強調した。同社は先週、新型モデルのコンセプトカーを発表しており、欧州で2025年に発売するとしている」
VWも、2万5000ユーロ(約350万円)未満のEV投入を目指している。2025年が目標である。
(5)「テスラを主力メーカーに押し上げたセダン車「モデル3」の価格は米国で約4万5000ドルからとなっている。モデル3が発表された2016年当時は、3万5000ドルの価格設定を目指していたが、生産が始まった17年には同価格での提供は見送られた。マスク氏によると、その水準では採算が取れないためだ。もっとも、テスラはコスト削減の取り組みを続け、2018年以降、生産性の向上やエンジニアリングの変更など、さまざまな面を通じて30%の改善を達成したと述べている。幹部らは次世代EVのコスト削減を達成する上で、これらがひな形になるとみている」
マスク氏は、かねてから3万5000ドルの価格設定が夢であった。この目標からさらに30%のコスト引下げのメドが立ったのだろう。2万5000ドルに引下げれば。EVが爆発的な売行きを見せると踏んでいるのであろう。
(6)「テスラに対する主要メーカー各社の競争能力については、すでに懐疑的な見方がくすぶっている。ウルフ・リサーチのアナリスト、ロッド・ラシュ氏は2月の会議で、フォード・モーターのジム・ファーリーCEOに対して、投資家100人を対象に行った自社調査の結果を伝えた。調査では、伝統的な自動車メーカーがコスト面でテスラに追いつけるとは考えていないとの回答が92%に上ったという。ファーリー氏に驚いた様子はなかった。同氏は変革の必要性について語る際、テスラが持つ1台当たり1万ドル余りのコスト優位性によく言及する」
既存企業は、テスラへ価格的に対抗できるか疑念を持たれている。テスラはすでに、1台当たり1万ドル余りのコスト優位性を持っているという。これは、他社にとって脅威そのものだ。どのように対抗するかだ。
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