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韓国では、国会会期中の国会議員に対する不逮捕特権が憲法で認められている。これは、軍事政権当時に行なわれた国会議員逮捕が議会会期中はできないようにする自衛策であった。先に最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が、刑事事件での逮捕を免れるべく、不逮捕特権を利用する例が出て問題になった。李氏は、その後に在宅起訴されて、被告の身分である。

 

与党「国民の力」議員の51人は、このほど不逮捕特権放棄を宣言した。「国民の力」所属議員が最近、選挙違反容疑で検察から逮捕請求が出されたことへの回答でもある。前記の議員らは、不逮捕特権の濫用が国民の信頼を失うという危機感から出たものである。

 

『東亞日報』(3月24日付)は、「与党51議員が国会議員の不逮捕特権放棄を誓約」と題する記事を掲載した。

 

与党「国民の力」所属の国会議員51人が23日、憲法44条に保障された国会議員の不逮捕特権を放棄すると誓約した。同日、国会本会議に同党の河栄帝(ハ・ヨンジェ)議員に対する逮捕同意案が報告された中、同党議員らが「防弾放棄」を宣言して、最大野党「共に民主党」と李在明(イ・ジェミョン)代表をけん制した。

 

(1)「51人の議員らは国会で記者会見を開き、「会期中に逮捕同意案が提出された場合、不逮捕特権を放棄し、逮捕同意案の通過を国会議員らに要請することを国民に約束する」と明らかにした。また、「政治の既得権益を断ち切る最初の改革課題は、大韓民国の政治の辞書から『防弾国会』という用語を削除することだ」とし、「不逮捕特権は憲法条項なので憲法改正でなければ取り除くことができないため、不逮捕特権の死文化に向けて不逮捕特権放棄の対国民誓約をする」と強調した」

 

李在明氏は、先の大統領候補者である。選挙運動中、「落選すれば逮捕されて刑務所入り」と発言するなど、これまで逮捕の可能性がつきまとっていた。これを避けるために、国会議員に立候補し当選したとさえ言われている。メディアでは、「防弾用」に国会議員になったと酷評されているのだ。こうなると、不逮捕特権が不純な動機に利用されていることは間違いない。国民の政治家不信に繋がる大きな要因だ。


(2)「誓約書には、朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表や李喆圭(イ・チョルギュ)事務総長、親尹(親尹錫悦)の中核である権性東(クォン・ソンドン)、尹漢洪(ユン・ハンホン)議員をはじめ、安哲秀(アン・チョルス)議員などが名を連ねた。同党は、30日の本会議での逮捕同意案の採決も、党論を事実上の「可決」とする方針だ」

 

与党「国民の力」は、同党所属議員の逮捕に同意する意向を見せている。これは、李在明氏が不逮捕特権を利用した一件と比べて際立っている。最大野党「共に民主党」の李在明代表の逮捕同意案の採決の時、「否決を総意で決めた」同党が、与党「国民の力」の議員の逮捕同意案の採決を前に、全く別の基準を持出しているのだ。党として、可決か否決かいずれの立場も示さず、自主投票の方針にするというのである。ダブルスタンダードである。こういう政党が現在、反日の先頭に立って煽っている

(3)「これをめぐって民主党では、非明(非李在明)系を中心に「ジレンマに陥った」という懸念が出ている。李代表と盧雄来(ノ・ウンレ)議員の逮捕同意案を否決させた同党としては、河氏の逮捕同意案に賛成することは重荷となる状況だ。だからといって否決票を投じることは、「国民の力議員も賛成するのに民主党は汚職を擁護するのか」という批判を免れないためだ。非明系の趙応天(チョ・ウンチョン)議員はMBCラジオ番組で、「今回賛成して、今後あるかもしれない李代表に対する逮捕同意案の時にまた反対する場合、その基準をどう説明するのか」と述べた」

 

「共に民主党」は、党利党略を臆面もなく前面に出している。支持者も、これをとがめ立てする訳でもなく、同じ穴の狢(むじな)でつるみあっているのだ。韓国政治の前近代性を余すところなく見せつけている。