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中国の1~2月工業利益は、前年同期比で22.9%減と大きく落ち込んだ。喘いでいる製造業の姿を浮き彫りにしている。製造業はまだ、新型コロナウイルス禍に伴う不振から回復していないのだ。生産者物価の下落も響いている。依然として、お先真っ暗な状態である。

 

これでは、製造業が新規採用に乗り出すはずもなく、2月の都市部失業率は5.%と前年同比で0.1ポイントも高くなった。人々は、仕事を求めてネット配車運転手への求職に殺到している。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月27日付)は、「中国でネット配車運転手に求職者殺到 雇用の弱さ映す」と題する記事を掲載した。

 

中国でネット配車業界のドライバーになろうとする人が増えている。新型コロナウイルスの厳格な感染対策「ゼロコロナ」が事実上終わって市民の移動が活発になるなか、若者らは気ままな稼ぎ口としてネット配車に期待している。ただ裏には製造業などでの雇用の回復遅れがあり、経済全体を薄雲が覆っている。

 

(1)「ネット配車のドライバーになるためには、一般的な運転免許証に加えて自治体が発行する資格が必要になる。その上で車を用意してネット配車プラットフォームに登録し、業務を始める。使用する車は既に保有している自家用車のほか、リース会社から調達することも多い。直近でこのリース料が上昇している。広東省広州市のある業者は、国産EV(電気自動車)の貸出料を従来、月3300元(約6万3000円)としていたが、1月の春節(旧正月)連休明け後、3500元に引き上げた。リース会社の担当者は「需要が急回復している。車が足りなくなりそうだ」と話す」

 

ネット配車のドライバーになるには、EV(電気自動車)が必要である。自前かリースに頼る。リース料は月3500元(約6万7000円)だ。

 

(2)「多くの人が、ドライバーに就こうとしている背景には配車予約の増加がある。交通運輸省によると全国の予約件数は2月、前年同期比18%増の6億5200万件に達した。12月でみれば同2%減だが、昨年12月までの推移と比較すると底入れ感が出てきた。ゼロコロナが終わり、仕事や行楽でのネット配車の利用が上向いているようだ」

 

配車予約件数は、順調に伸びている。中国では、数少ない好調組である。新規参入者が増えて当然の環境である。

 

(3)「ネット配車の利用増は消費回復の兆しを示すが、業界への労働力流入を傷んだ経済の復調とみるのは早計だ。国家統計局によると2月の都市部失業率は5.%と前年同月と比べ0.1ポイント高い。工業生産が伸び悩んでいることから製造業の雇用が振るわず、ドライバー増加の一因となっている構図が浮かぶ」

 

2月の都市部失業率は5.%である。遊んでいる訳にはいかないから、すでにEVを持っている者は、手頃に参入可能な仕事である。

 

(4)「近年、ネット配車のドライバーやネット出前の配達員などギグワーク(単発・短時間の仕事)を選ぶ若年層が増えている。中国都市公共交通協会のネット予約車分会によると主要都市のドライバーの4割が1980年代生まれで、3割が90年代生まれだ。勤務の自由度のほか、「週ごとに給与が受け取れる」ことや「煩わしい職場の人間関係がない」といった点に魅力を感じる人が多い」

 

中国では、「寝そべり族」という言葉があるほどで、自由に生きたいという若者が増えている。彼らには、ネット配車のドライバーは向いている職業であろう。

 

(5)「足元では予約数が上向き、働き手の流入が続くネット配車業界だが、行きすぎれば当然、供給過剰に陥る。ドライバー1人当たりの実入りが減れば、リース料の負担感が増す。車の返却が増えればリース会社の経営は逆回転し、金融機関の債権回収に問題が生じる恐れもでる」

 

人気の高いネット配車ドライバーであるが、新規参入者の急増は需要と供給のアンバランスをもたらす原因だ。すでに、その兆候が出ている。

 

(6)「ドライバー歴4年の50代男性、徐さんは「時間を消耗することで成り立っている仕事だ」と嘆く。かつて1日8時間だった勤務時間が今は10時間になった。配車プラットフォームが値引きを頻発するようになって運賃単価が下がっていることに加え、乗客の獲得競争が激化し、長く働かなければ収入を維持できないという。新規参入のドライバーが増え、「共倒れ」になることを危惧する」。

 

勤務時間が、かつては1日8時間だった。今は10時間になっているという。これは、過剰供給の状況になっている証拠だ。

 

(7)「政府はネット配車業界が雇用の受け皿として機能している一方、リスクも抱えていることを認識している。ネット配車業界が、雇用が本格回復するまでの調整弁としてうまく機能するか、金融システムを傷める事態を引き起こすかはまだ分からない。中国経済が力強さを取り戻すのが遅れれば、多くの人がドライバーとして苦しい日々を過ごさざるを得なくなる」

 

多くの人がEVをレンタルしている。月額約6万7000円である。この支払いが滞るようになると、「将棋倒し」となって金融不安が起こるであろう。難しい局面に来た。