1104 (1)
   


日本の総合商社が、国内のビジネスチャンス発掘に動いている。長年、培われてきた技術が国内で花を開き始めているからだ。地政学的リスクと為替変動リスクがゼロ。そういう、安全度の高い国内ビジネスに目を向けている。 

エネルギー資源のない日本では、いかに自前のエネルギー源を作り出すかが課題である。原発は、地震大国の日本では主力になれない以上、それに代わるものとしてアンモニア発電が脚光を浴びている。IHI(石川播磨重工業)が、世界初のアンモニアガスタービンの試験運転をIHI横浜事業所(横浜市)で進める。3000〜4000世帯の電力をつくる2000キロワット級だ。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月27日付)は、「アンモニア 脱炭素の『伏兵』IHIが世界初タービン」と題する記事を掲載した。 

再生可能エネルギーや原子力に続く二酸化炭素(CO2)を排出しないエネルギー源として、アンモニアが脚光を浴びている。脱炭素の切り札とされる水素よりも保管や輸送が容易で、現実的な実用化を見込める「伏兵」として注目される。2030年ごろには生産から燃焼に至る一連の技術が出そろう見通しで、普及期に向け着々と技術を磨く。石炭や天然ガスを燃やす火力発電の一部を置き換えそうだ。 

(1)「IHIは、(営業)発電所用に大型化も狙う。23年1月には米ゼネラル・エレクトリック(GE)と数十万キロワット級の開発で提携した。数基分で大型原発に匹敵する発電能力で、30年に発売を目指す。同社の阿波野主幹は「30年にはアンモニア発電の利用が本格化する。脱炭素社会の実現に役立つ」と期待する」 

IHIは、30年にアンモニア発電機を商用化する。その実証運転が始まった。数十万キロワット級の開発も視野に入れている。

 

(2)「アンモニアに先行して脱炭素の切り札とされたのは、燃やすと水になる水素だった。00年代末から家庭用燃料電池や燃料電池車(FCV)が登場した。だが、保管や輸送に使うタンクを大気の数百倍の高圧にするか、零下253度の極低温の状態にする必要がある。インフラ整備が難しく発電分野への普及が遅れた。その水素に代わって注目されるのがアンモニアだ。数気圧か零下33度で保管でき、通常のガスタンクで扱える。今後は発電量が天候に左右される再エネの普及が進む。現在は補助電源として石炭や天然ガスが担う出力調整の一部をアンモニアが代替する期待が高まる」 

水素発電も脚光を浴びているが、水素は零下253度の極低温の状態にする必要がある。一方、アンモニアは、零下33度で保管でき通常のガスタンクで扱えるという。これが、アンモニアへの期待を高める。

 

(3)「三菱重工業も40000キロワット級の開発を目指し、22年夏に中核部品の燃焼器の試験を始めた。25年にも実用化する計画だ。排熱を使い発電効率を高めるなどして、シンガポールの発電所への納入も検討する。谷村聡技監は「化石燃料や再エネの資源が乏しい国ではアンモニア発電は重要になる」と話す」 

三菱重工業も40.000キロワット級アンモニア発電開発を目指す。25年にも実用化する計画だ。IHIの実証機は2.000キロワット級である。 

(4)「燃料のアンモニアは現在、北米や中東で産出する天然ガスなどを現地で改質してつくる。今後普及が見込まれる、再エネの電力で水を分解する「グリーンアンモニア」も安くつくれる南米などが供給源だ。日本政府は発電用途の拡大に伴い、アンモニアの需要が30年に21年比で3倍の300万トンに、50年に同30倍の3000万トンに増えるとみる。三菱商事三井物産は、米国で20年代後半にアンモニアの生産を始める計画だ。三菱商事幹部は、「脱炭素の実現へ向け、アンモニアの導入を含むあらゆる手段を追求する」と話す」 

下線のように、燃料のアンモニアは北米や中東で天然ガスから生産する見通しである。三菱商事や三井物産がこの事業化を進めている。

 

(5)「大きな障壁はアンモニア製造法だ。アンモニアの生成は化学産業の中でも最もエネルギーを消費する製造工程の1つとされる。何より製造時のCO2排出量の大きさが見逃せない。アンモニアは生産量1トンあたり約2.4トンのCO2を出し、IEAによれば粗鋼生産の約2倍(直接CO2排出量ベース)に相当する。それでも脚光を浴びるのは、水素の輸送時の液化コストが高いためだ。最終的な発電コストを下げられる。資源エネルギー庁などによると100%燃やす「専焼」の場合、1キロワット時あたり発電コストは水素が97.3円、アンモニアが23.5円と弾く。試算はいずれも天然ガス由来で出るCO2の分離回収を条件とした」 

アンモニア製造法の大きな障壁は、化学産業の中でも最もエネルギーを消費することだ。それでも水素より総合コストが安くなるのは、水素が輸送時に液化コストで高くなるためだ。1キロワット時あたりの最終発電コストは、水素が97.3円、アンモニアが23.5円とされる。アンモニア発電は、水素発電の4分の1で済む計算だ。

 

(6)「再生可能エネルギー由来の水素でアンモニアをつくれば、国産調達も可能になる。日揮ホールディングスと旭化成などは2024年度にも国内で製造実証を始める。ただ、現実には日本に太陽光や風力発電に向く大規模な適地が少ない。国内需要を賄うには中東や南米など日射量が豊富な地域で製造し、輸入する将来像を政府は描く。資源エネルギー庁燃料アンモニア担当の渡翔太氏は、「いずれ欧州も直接のアンモニア利用に乗り出す可能性がある」と指摘し、「今のうちに日本企業の技術を国際標準化すれば勝機がある」と展望を語る」

国内でのアンモニア生産も始まる。まさに、国を挙げての一大プロジェクトだ。アンモニア発電技術は、世界最先端を行くもので、国際標準化すれば「世界のビジネス」になる。