環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する11カ国は、英国の加盟を認める方針を固めた。3月31日にオンラインで閣僚会議を開き合意する見通しという。
日本が主導するTPPは、世界で最も自由な貿易協定とされている。英国は、TPPから離脱した米国が再交渉に前向きになる可能性もあると見ているほどだ。EU(欧州連合)から離脱しただけに英国は、TPP加盟にかける期待が大きい。英国が、TPP加盟を求めた理由は明らかである。インド太平洋は、世界で最も急成長している地域であり、経済安全保障の観点からも最も重要な地域であるからだ。英国は、ブレグジット戦略の中核にインド太平洋への傾斜を据えている。
『日本経済新聞 電子版』(3月29日付)は、「英国がTPP加盟へ 発足国以外で初めて 31日に閣僚会議」と題する記事を掲載した。
環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する11カ国は英国の加盟を認める方針を固めた。31日にオンラインで閣僚会議を開き合意する見通しだ。発足時の11カ国以外で加盟を認めるのは初めて。日本やオーストラリア、シンガポールなどインド太平洋地域が中心だったTPPが、欧州も含めた経済圏に発展する。
(1)「TPPは、2016年2月に米国を含めた12カ国で署名したが、米国のトランプ前政権が17年に離脱を表明した。18年に11カ国が参加する自由貿易協定(FTA)として発効した。英国が21年2月に加盟国以外で初めて参加を申請し、6月に加入交渉の開始を決めた。協定の細部などを詰め、閣僚級が参加するTPP委員会を23年7月に開いて協定への署名を目指す。その後、各国が自国の議会での承認手続きなどをとることで、英国の加盟が実現する」
英国は、EU離脱によって通商政策の独立を維持できるという考えである。EUの過度に保守的な考えや厳格な規制の束縛から解放されたというのだ。英国は、主要7カ国(G7)の一員であり、自由貿易で大きな利益を得られるとしている。
政治的な意味から言えば、日英関係が一層、深まることになろう。日英伊三カ国の次世代戦闘機の共同開発によって、少なくも数十年間の濃密な外交関係樹立の基盤が整ったと指摘されている。日英同盟の復活のような濃密な関係が樹立されると期待されているのだ。
(2)「英政府によると同国の加盟により、世界全体の国内総生産(GDP)に占めるTPP加盟国の合計額は12%から15%に拡大する。英国にとってTPP加盟は、欧州連合(EU)離脱後の外交方針である「インド太平洋地域への関与強化」の目玉政策の一つだった。英国の加盟が認められればTPPの拡大に弾みがつく。21年9月には中国と台湾が参加を申請した。エクアドル、コスタリカ、ウルグアイも申請している」
アジアには、英国の旧植民地が多い。地の利を知り尽くしている訳だ。こういう経緯から言えば、欧州の英国がアジアのTPPへ加盟するのも突飛なことではない。
(3)「今後は、中国と台湾の申請をどう扱うかが焦点になる。中国は不透明な政府補助金や進出企業への技術移転強制などの問題も指摘される。日本やオーストラリアなどは新たに加わる英国とともに、TPPの協定の水準を高いまま維持できるよう中国を厳格に審査する構えだ」
英国は、香港問題で中国に「一国二制度」を破棄された関係上、中国をTPPへ加盟させることに強い感情的な反発を見せている。最近は、そういう反発を隠しているが、TPP加盟が決定すれば、そろりと「中国反対」へ動き出そう。
こういう問題を抜きにしても、中国のTPP加盟は、補助金問題と国有企業の二点で加盟は「アウト」である。審査するまでもないのだ。
(4)「英貿易統計によると、英国の総貿易額に占めるTPP加盟国とのモノ・サービスの貿易比率は7%(21年)で、EU(44%)や米国(17%)と比べると大きくない。英政府は今後のアジアの経済成長を取り込み、得意とする金融や法律サービスの輸出が増やせれば英経済の成長への貢献度が増すとみている」
英国は、ビジネスで欧州からアジアへ引っ越してきたようなものである。これは、アジアの潜在的な経済成長力に注目している「先物買い」といえる。老大国のEUよりも、伸び代ははるかに大きいという判断だ。


コメント
中国がTPPに加入すれば、他の国際機関と同様に機能不全にされ、既加盟国の今までの苦労が水泡に帰します。
中国同様、国際機関を機能不全にしてきた国々は、TPPのような機関には絶対に加入させてはいけません。
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