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中国が、再びレアアース(希土類)を使って日本へ制裁を加える意向を見せている。日本が、米国やオランダと共に、先端半導体製造装置の輸出禁止措置を発表したことに伴う報復措置である。

 

中国商務省は4月4日夜、日本政府が決めた半導体製造装置など23品目に関する輸出規制に対して是正を求めるとの見解を発表した。そのうえで「日本側が日中の半導体協力を阻害しようとするなら、中国は断固たる措置をとり、自らの合法的な権益を守る」と警告した。これが実現すれば、レアアース関連では二度目の報復になる。最初は、2012年のレアアースそのものの輸出禁止措置であった。今回は、レアアース磁石の輸出禁止である。

 

前回は、日本の素早い対応で何らの被害も受けず、中国が逆に輸出先を失ったことで、逆境に立たされた。WTO(世界貿易機関)から違法措置とされて、中国が敗北したのだ。今回はどうか。実は、レアアース磁石を日本も生産している。もともと、レアアースは日本が先進国であり、日本の技術が中国へ渡った経緯がある。こういう事情を忘れて、中国が「段平」を切って来た感じが強い。

 

『中央日報』(4月5日付)は、中国 「レアアース磁石」の輸出規制推進韓国企業への飛び火懸念」と題する記事を掲載した。

 

日本の先端半導体装備輸出規制強化の方針に中国が報復措置に出る動きを見せている。中国商務省は4日、報道官の声明で「日本側がかたくなに日中半導体産業協力を人為的に阻害する場合、中国側は果断性ある措置を取り自身の合法的権益を決然と守護するだろう」と明らかにした。

 

(1)「中国は、電気自動車などに必要なレアアース磁石の輸出統制措置を推進中という日本メディアの報道も出てきた。世界のレアアース供給の絶対強者である中国が資源を武器化しようとしているとの懸念が出ている。読売新聞は5日、中国政府が産業技術関連の輸出規制品目リストの改定案にレアアースの一種であるネオジムとサマリウムコバルトで作ったいわゆるレアアース磁石と関連した技術を追加することに決めたと北京発で伝えた」

 

日本もレアアースは生産できる。ただ、鉱石の精錬過程で環境破壊を起こすので、中国へメインの生産が移った事情がある。また、「クアッド」(日米豪印)では、半導体・バッテリー・医薬品と共にレアアースを戦略物資として重視してきたので、それなりの準備をしていると見られる。中国のレアアース磁石禁輸措置に対して、「晴天の霹靂」とは受け取っていないはずだ。

 

(2)「同紙によると、中国商務省は昨年12月からこうした改定作業を推進しており、年内に今回の改定案が採択される見通しだ。レアアース磁石は電気自動車の心臓であるモーターの性能を左右する核心部品だ。電気自動車のほかにも携帯電話やエアコンなど家電製品だけでなく、軍事と民間の用途を持つ航空機とロボットなど産業界全般に広く使われる」

 

このパラグラフに指摘されているように、レアアース磁石はハイテク製品に不可欠である。それだけに中国の禁輸に対して準備をしてきたはずだ。

 

(3)「レアアース磁石の世界シェアは中国が圧倒的だ。同紙によるとネオジム磁石の世界シェアは中国が84%、日本は15%だ。サマリウムコバルト磁石は中国が90%以上、日本は10%以下だ。このため日本政府関係者は「供給が途絶した場合は国民生活や経済活動に幅広く甚大な影響を及ぼす」と懸念する」

 

ネオジム磁石の世界シェアは、中国が84%で日本は15%という。日本に技術はあるのだ。レアースの鉱石は、インドや豪州で豊富ということもあり、慌てることではあるまい。南鳥島沖の海底には、世界需要の数百年分に当たるレアアース鉱石が埋蔵されている、という研究結果が出ている。

 

(4)「中国経済金融研究所のチョン・ビョンソ所長は「『産業のコメ』である半導体が封鎖される状況で中国が『産業のビタミン』であるレアアースを調節して供給網を揺さぶるという戦略。日中が尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり対立した2012年当時のようにレアアース武器化の意図が大きい」と懸念した。韓国もやはり中国産レアアース輸入依存度が70%以上のため「非常灯」が灯った状況だ」

 

韓国は、「クワッド」に参加していない。クワッド4カ国から見れば、慌てる事情も分かる。意外と早く、「クワッド」の協力関係が現実に成果を上げるような事態になった。