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コロナ前の広州交易会は、世界のバイヤーが集まり押すな、押すなという盛況ぶりだった。4年ぶりに対面で開催した広州交易会(貿易商談会)は、バイヤーの数もめっきり減ってさみしい情景になった。期間中の契約額は計251億ドル(約3兆3800億円)にとどまり、コロナ禍前である19年の300億ドルを大きく下回る結果となった。

 

『ブルームバーグ』(5月8日付)は、「中国の貿易商談会、世界経済減速の影響鮮明―バイヤー呼び込みに苦戦」と題する記事を掲載した。

 

中国最大の貿易商談会「広州交易会」は、4月15日に開催した。3年にわたりほぼオンラインでの開催を余儀なくされていたが対面で開幕し、世界一の製造大国である中国にとって凱旋の場となるはずだった。しかし、世界経済が減速し、米国から参加する仕入れ業者(バイヤー)も少なく、会場の雰囲気は盛り上がりを欠いた。

 

(1)「ゼロコロナ政策を撤廃した中国当局が、外国の投資家を呼び戻す取り組みを始めたタイミングで、今回の広州交易会は開かれた。だが、閉幕翌日の今月6日に発表された資料によると、期間中の契約額は計251億ドル(約3兆3800億円)にとどまり、ピークだった2008年の380億ドルやコロナ禍前の19年の300億ドルを大きく下回った」

 

広州交易会は、開催中の商談額は251億ドル。過去の金額には遠く及ばなかった。4年ぶりの対面開催だけに盛り上がりを期待したが裏切られた形だ。

 

(2)「中国の輸出は3月に予想外の大幅増となったが、通年では減少すると見込まれている。昨年の輸出は過去最大を記録していたが、物価高や金利上昇、高水準の在庫、ロシアのウクライナ侵攻で米欧の消費者需要にはブレーキがかかっている。 今春の広州交易会には大勢の出展者や海外の訪問客が押し寄せたが、西側諸国のバイヤーは少なかった。ウォルマートやコストコ・ホールセールなど米欧の顧客向けを中心に、スリップ防止マットを製造する企業ミランド・ハウスウエアでは、ブースを訪れる対象顧客がほとんどいなかったと、デービッドとだけ名乗ったセールスマネジャーは明かす」

 

西側のバイヤーの姿は減った。米中デカップリングの影響が見られるのだ。

 

(3)「デービッドさんは、「米国の需要は現在、実に低調だ」と言い、「当社の大口顧客はまだ在庫を消化している段階とのことで、新規の発注を見送っている」と述べた。高価格帯のバスルーム備品を製造する企業ブースをブルームバーグ記者が訪れたところ、スタッフがみんなで昼食を取っていた。東莞市に拠点を置き、ティッシュ箱やソープ・ディスペンサーを生産する工場で営業を担当するアビー・リンさんは、「こんなことは過去数年には起きなかった」とし、従業員が一緒に昼食を取っているのは「訪問客が全くいないからだ」と説明する」

 

会場では、スタッフが一緒に昼食を取っている姿も見られた。バイヤーが少なく、手持ち無沙汰になっていた結果だ。がらんとした会場の様子が目に浮かぶ。

 

(4)「どうしても、中国以外で製造された商品を買う傾向が、今後も強まるのではないかと懸念する販売業者もいる。中国が昨年講じた厳格なコロナ対策でサプライチェーンは妨げられ、生産スケジュールや納期にも大きな影響が出たことを受け、多くの企業は事業の分散に乗り出している。ウォルマートやダラー・ツリーの店舗が扱う商品に記載されている「ベトナム製」や「メキシコ製」のラベルの数は、どこを見渡しても「中国製」だった19年に比べて著しく増えたと、寧波を拠点に家庭用品の製造・販売を手掛け、米国向けを主力とする会社の創業者、ジョンソン・ワンさんは話す」

 

ゼロコロナ中は、やむなく操業を止めたことでバイヤーに迷惑を掛けたケースもある。それが響いたのか、多くの企業は生産地の分散に取りかかっている。「中国製」に代って、「ベトナム製」や「メキシコ製」のラベルが増えているという。中国には痛手だ。

 

(5)広州交易会に3年間訪れることができず、サプライヤーとの関係を確認するため、今回参加したカナダ小売り大手ダララマの仕入れ担当、ロブ・シウィエクさんは、「ここにあるものはどこでも見つけられると考えているなら、そう思い込んでいるだけだ」とし、「中国が持つ競争面の優位性はなお非常に強い」と述べた」

 

4年ぶりにカナダから来たバイヤーは、中国の強い競争力を確認したという。まだ、ベトナムやメキシコには負けない力を持っていると強調する。