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日韓首脳のシャトル外交が12年ぶりに始まった。両首脳の写真を見ると、大統領の気持ちがよく表れている。韓国が、いかに日韓関係の早期改善を求めていたかを示す表情であるからだ。政権では、日韓関係が改善するとしても、次期政権が左派政権になれば再び「揺り戻し」を覚悟する必要があろう。それほど、日韓関係の基盤は不安定である。両国の国民性が、「水と油」であるからだ。

 

米中対立激化の中で、韓国は日本との関係強化を図ることが、米国との関係強化に不可欠という認識を深めている。韓国は、二股外交が不可能になる以上、日本との関係強化によって、日米韓三カ国のつながりを深めた安全保障政策を構築できからだ。在韓米軍の主要後方基地は日本にある。この事実を政権は認識したと見られる。

 

『中央日報』(5月8日付)は、「韓日シャトル外交復元、 真の未来協力の歩みになるように」と題する社説を掲載した。

 

日本の岸田文雄首相がきのうから2日間の日程で訪韓した。3月16日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が日本を訪問し韓日関係改善を試みてから52日ぶりの答礼訪問だ。これで韓日は2011年10月から12年ぶりに両首脳が随時行き来しながら懸案を実務協議するシャトル外交を復元した。

 

(1)「岸田首相は、当初6~7月ごろ訪韓するだろうという見通しが多かったが、4月の韓米首脳会談直後に日本側が岸田首相の早期訪韓を提案したという。韓米の対北朝鮮抑止力強化(ワシントン宣言)に続き北朝鮮の脅威の実質的当事者である韓日両国の安保連帯と協力が至急だという判断に従ったとみられる。両首脳がきのう午後に大統領室で100分を超えて外交安保分野の小人数会談と拡大首脳会談を行い、北朝鮮の脅威に共同で対処することで合意したのがこれを示す」

 

日韓両首脳は、これまで3回の会談を経ている。東京とソウルで共に食事をしていることは、互いに理解を深め合ったと見られる。岸田氏と尹氏は、「アルコール」が嫌いなタイプではない。一献傾けて胸襟を開けば、古くからの友人のような理解が得られるものだ。これが、外交の奥義であろう。

 

(2)「両首脳は会談後の記者会見で、北朝鮮のミサイル情報をリアルタイムで共有するための協議を歓迎し、韓日米が関連議論を進めることにした。北朝鮮の核抑止力強化に向けたワシントン宣言への日本の参加の可能性を示唆したものだ。韓国の半導体メーカーと日本の素材・部品・装備企業間の供給網協力を拡大し、福島原発の汚染水放流と関連して韓国の専門家の現場視察団派遣を日本側が受け入れたこともやはり評価に値する。双方が実務協議を通じて透明で客観的な結果を引き出す契機を作らなければならない」

 

韓国は、日本に対して安全保障と経済連携を強く求めている。米中デカップリングの深まる中で、韓国が頼る先は日本である。中国との関係が薄れていく以上、日本との関係強化は韓国の生存に関わる重大問題である。韓国左派は、空理空論を弄んで満足しているが、米中対立がそれを許さない状況になっている。韓国には、米中対立を止める力がない以上、同盟の力で災難を防ぐしか道はない。

 

(3)「何より、G7首脳会談期間中に尹大統領と岸田首相が、ともに広島の原爆犠牲者慰霊碑を参拝することにした。過去史問題を治癒しようとする試みは、シャトル外交再開の成果とみることができる。岸田首相は記者会見で、「(植民地時代に)厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思い」とした。個人的な考えだと線を引いたが、これまれより一歩進展した立場とみることができる。歴史問題に対しては「歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、日本政府の立場は今後も揺るぎません」という3月16日の立場を再確認した。初めから満足な結果を得ることはできないものだ。双方が少しずつ認識の共通点を拡大し積集合を増やしていくことが、いままさに最初のボタンをはめた関係復元を加速する現実的な方法だろう」

 

下線部分に見られる岸田首相の発言は、「ハト派」らしいギリギリの線である。また、広島の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を参拝することは、人間として必要である。日本が、原則論で「謝罪拒否」するのは当然である。一方、相手に花を持たせる心配りも外交における要諦であろう。