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中国は、米国半導体マイクロン製品に対して、「安保審査を通らなかった」として自国内での販売を禁止した。中国が、米国の半導体企業に史上初めて制裁を加えたのだ。中国は、G7首脳会議が終わった直後、これ見よがしに輸入禁止結果を発表した。反中戦線の強化を主導した米国への報復と見るしかない。


マイクロンは、昨年の中国での売上は33億ドル(約4兆3500億ウォン)で、全体の11%に達する。中国市場を失った場合、当面の穴埋めが困難になるケースが想定される。だが、マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は、『日本経済新聞 

電子版』(5月19日付)で、次のように語った。

 

「(チャットGPTなど)生成AIはリアルタイムにコンテンツを作り出す過程で、メモリーが重要な役割を示す。より早く読み書きできるメモリーが多くあることで、生成AIの能力が発揮できる。今は生成AI時代の初期段階に過ぎず、ビジネスへのインパクトは始まったばかりだ」とし、中長期的には懸念していない。

 

米商務省は、「主要同盟およびパートナーと共に、メモリー半導体市場の歪曲に対応する」とし、「同盟との共同対応」を強調した。米国が、「マイクロンの販売禁止による中国内での需要不足分を、韓国企業が埋めないでほしい」と要請したという外信報道も出ている。サムスンとSKハイニックスは、米中の間に挟まれる。だが、広島サミットで中国の報復には共同対処する方針を発表している。韓国半導体企業は、「反射利益」に飛びつけば、米韓の信頼関係を損なうことになろう。

 

『東亜日報』(5月23日付)は、「米中間の半導体戦争が本格化、間に挟まれた韓国半導体」と題する記事を掲載した。

 
中国当局が米マイクロン半導体の購入を禁止する制裁を出したことに対し、米国が直ちに反発し、同盟国と共同対応することを強調した。米国とは同盟関係だが、世界最大の市場である中国を捨てることのできない韓国半導体産業としては、実質的な「陣営試験台」に上がったと評価されている。


(1)「米商務省は21日(現地時間)声明を出し、中国の今回の措置に対して「断固反対する」とし、「米国は半導体産業の混乱を防ぐために、持続的に同盟国と協力する」と明らかにした。商務省は、「米国企業をターゲットにした最近の突然の取り締まりとともに取られた今回の措置は、市場を開放し、透明な規制に専念しているという中国の主張とは矛盾するものだ」と批判した。これに先立って、中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は21日、「マイクロン製品は、深刻なセキュリティ問題を抱えており、これは主要情報インフラサプライチェーンに重大なセキュリティリスクをもたらす」とし、「ネットワークセキュリティ法により、中国の主要情報インフラの運用者は、マイクロン製品の購入を中断しなければならない」と明らかにした」

 

中国の言い分は、にわかに信じがたい話だ。「反スパイ法」取締りと同じ類いのデッチ上げである。中国は、マイクロン製品を輸入禁止しても、韓国半導体でカバーできると踏んでいるのであろう。当面は、不況で半導体需要は激減しているので、米中双方に実害はない。

 

(2)「世界3位のメモリメーカーであるマイクロンは昨年、中国DRAM市場の14.5%(3位)、NAND型フラッシュ市場の4.6%(6位)を占めていた。マイクロンが中国現地で販売する製品の大半は汎用製品で、サムスン電子やSKハイニックスの製品に簡単に交換できる。米国のバイデン政府は先月、韓米首脳会談に先立って、中国がマイクロンの販売禁止措置を下せば、サムスンやSKハイニックスなど中国で工場を運営している韓国半導体企業は、中国でメモリー半導体の販売を拡大することを自制するよう要請した経緯がある」

 

韓国は、「反射利益」を求めて中国へ販売すれば、米国市場でひどい目に遭うことは必至だ。ここは、米韓同盟の立場からも自重すること。抜け穴探しをしてはならない。

 

(3)「米国が、マイクロン販売禁止の最大恩恵者として韓国半導体企業を名指しし、韓国への対中半導体規制参加への圧迫はさらに激しくなるものと見られる。米国のフィリップ・ゴールドバーグ駐韓大使も同日、東亜日報との単独インタビューで、「制裁が現実化すれば、我々は同じテーマについて他国と議論するように、韓国など同盟国とも議論する」と答えた」

韓国は、信義の立場から中国へ肩代わり販売をしてはならない。中国から圧力を掛けられ制裁を受けても、耐えるべきだ。