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韓国に、米韓同盟の真価が問われる事態が起こっている。中国は、米国への報復でマイクロン製半導体の輸入禁止を発表した。その肩代わり策として、韓国のサムスンやハイニックスへ要請するのでないかとの観測が立っているのだ。米議会が、早くもこれに対して「販売拒否すべき」と主張している。

 

韓国の真意は、できれば「肩代わり」したいのだ。残念なのは、韓国にこれが同盟国としての信義に反する行為という認識に欠けることである。「ビジネスになれば」という根性では、米国の信頼を失うであろう。G7は、中国の報復に対して同盟国が共同で対処することになっている。抜け駆けは、だめなのだ。「ロシア制裁」と同じスタイルになる。

 

『東亜日報』(5月25日付)は、「米議会、韓国の半導体『中国への販売を増やせば規制』」と題する記事を掲載した。

 

米議会で「(米政権の韓国企業に対する中国内の)半導体装備の搬入の猶予が、マイクロンの中国市場の空白を埋めるために使われてはならない」という主張が出た。中国が米最大メモリ半導体メーカーであるマイクロンの中国国内の販売を部分的に禁止した状況で、サムスン電子とSKハイニックスがその穴を埋める場合、これらの企業に対する規制の猶予を撤回すべきだということだ。米中の先端半導体競争が激化する中、韓国は米国の対中規制への参加圧力と中国の経済報復の可能性の間で二者択一を迫られている。

 

(1)「米下院の対中問題を扱う「中国共産党に関する特別委員会」のマイク・ギャラガー委員長(共和党)は23日(現地時間)、ロイター通信に、「米商務省は、中国で工場を運営する外国のメモリ半導体企業に付与された米国の(装備)輸出許可がマイクロンの空白を埋めるために使用されないようにしなければならない」と述べた。さらに、「我々の同盟国である韓国は中国共産党から直接(マイクロンと)全く同じ経済的強圧を経験した。(韓国企業がマイクロンの)空白を埋めることを阻止しなければならない」と主張した」

 

韓国は、目先の利益だけを求める行為が、同盟国の信頼を失うということに気づかねばならない。韓国が、米国によって防衛されている現実を忘れてはならないからだ。

 

(2)「サムスン電子とSKハイニックスは、中国でメモリ半導体工場を稼働している。米商務省は昨年10月、先端半導体装備の中国搬入規制を発表し、これらの企業に規制を1年間猶予した。ギャラガー氏の発言は、マイクロンの中国販売シェアを獲得しようとする韓国企業には、米商務省が「不利益」を与えるという意味で規制の猶予を撤回すべきということのようだ」

 

米国は、韓国半導体にはすでに中国に関する規制を1年間猶予する恩典を認めている。韓国はこれだけでは満足せず、種々の「異議申立」を行っている。「韓国企業の半導体供給制限が、中国企業だけを育てる結果になる状況は米国も望まないだろう」としている。だが、半導体は軍用に使われる危険性もある以上、中国に「弾」を送ることになりかねないのだ。日米蘭三カ国は、半導体製造設備の輸出禁止措置を取った。中国の半導体育成の芽は摘まれる。韓国は、屁理屈を言わずに米国へ協力することだ。

 

(3)「米国が、韓国に中国に対するメモリ半導体の販売拡大の自制を公開的に求めたのは初めて。米議会では、対中規制への参加を求める声も高まっている。米民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「マイクロンに対する中国政府の規制を解決するため、財界はもとより同盟およびパートナー国と接触している」とし、「米政権が(同盟と)緊密に協力し、このような行動が容認できないことを中国政府に明確にする」と述べた」

 

下線部は、中国の制裁に対して同盟国が一致して行動することを示唆している。韓国もこれに同調するほかない。

 

(4)「このような中、韓国政府は米半導体法の補助金ガードレール(安全措置)条項を緩和することを米政府に要請した。補助金を受ける韓国企業が、中国内の先端半導体生産能力を拡大できる範囲を2倍に増やしてほしいということだ。23日(現地時間)の米政府の官報によると、韓国政府と韓国半導体産業協会(KISA)は3月、「米政府が規定案にある『実質的拡張』など核心用語の現在の定義を再検討するよう要請する」と意見を提出した。先端半導体の「実質的拡張」基準を従来の5%から10%に引き上げるよう要請したという」

韓国は、中国における半導体生産能力を、10年間で5%から10%へ引き上げるよう米国へ要請している。これは、それだけ中国への供給量が増えることを意味する。ただ、日進月歩の半導体技術の世界では、生産量を増やしてコストダウンを図らねば敗北するという致命的欠陥を抱えている。米国の狙いは、韓国に中国での半導体生産を諦めさせることだ。韓国は、これに気づくべきである。