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米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合が27日閉幕した。重要物資のサプライチェーン(供給網)を強化する協定に合意した。半導体や重要鉱物といった物資を念頭に安定供給の体制を整え、中国依存からの脱却につなげるというもの。

 

韓国は、このIPEFに参加している。だが、韓国主要紙はこのニュースを黙殺している。IPEFが、中国をターゲットにしているので刺激しないように政府がニュースを伏せてしまったのかも知れないのだ。不思議なことが起こっている。

 

IPEFは、2022年5月に発足した。日米や東南アジア諸国など14カ国が参加する。分野は、次の4つである。

1)貿易

2)供給網

3)クリーンな経済

4)公正な経済

今回は、2)供給網が先行して合意した。協定文書の策定を急ぎ、参加国が署名すれば発効する。

 

日米両政府によると、供給網の多国間協定は世界で初めてとなる。日米にはアジア経済圏での協力枠組みをつくり、中国の覇権的な経済活動を抑止する狙いがある。レモンド米商務長官は、「ビジネス環境を改善する。協力関係の基礎となるもので、時間の経過とともに進化していく」と説明した。西村康稔経済産業相は「グローバルサウスと呼ばれる国々も含めて、強靱(きょうじん)な供給網をつくっていくのは非常に大きな意義がある」と語った。『日本経済新聞』(5月28日付)が報じた。

 

このように重要な協議をしたにもかかわらず、韓国は全く報道しないのだ。中国を恐れているのだろう。その理由について見ておきたい。

 

『中央日報』(5月28日付)は、「韓国、供給網不安に最も弱い『経済安全保障指数高めて危機に備えなければ』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「ソウル大学国家未来戦略院院長キム・ビョンヨン経済学部教授は、次のように指摘する。「経済安全保障は現時点で最も重要なキーワードのひとつです。危機に備えるには韓国の経済安全保障状況がどのあたりにあるのか先に評価しなければならず、このため正確なデータが必要です。供給網支配力を基盤とした『経済安全保障指数』を作った理由です」。キム教授が率いる未来戦略院経済安全保障クラスターは、26日ソウル大学で「データで見る経済安全保障:世界の国別指数とネットワーク」を主題に研究成果発表会を進めた」

 

ソウル大学が韓国の「経済安全保障指数」を作成した。それによると、韓国は輸出トップ圏だが、輸入で中国への依存度の大きいことが分った。

 

(2)「この席では、「輸出権力」と「輸入脆弱性」の概念が提示された。主要輸出企業や輸出製品を持っている国は、輸出を制限する方式で供給網を統制し他国に苦痛を与えられ、反対に輸入に依存する国の場合、特定国にしばられて供給網不安による被害に弱くなるということだ。韓国が供給網不安に最も脆弱な国だと明らかにした。2021年基準で世界の国のうち韓国の輸出権力は11位だったが、輸入脆弱性は1位だった

 

21年基準では、韓国の輸出は世界11位だが、輸入脆弱性は1位となった。最も供給網不安を抱えていることが分ったのだ。

 

(3)「輸出権力上位圏には中国、ドイツ、米国が並んで名前を上げ、輸入脆弱性の場合、日本が2位、ベトナムが3位、タイが4位などアジアの主要国が上位に位置した。ソウル大学パク教授は「韓国と日本は広範囲な部分の輸入を少数の国に依存して成長する経済形態を持っている」と説明した。戦略院はまた、供給網支配力において中国の急上昇と米国の弱体化なども注目すべき変化だと明らかにした」

 

日本は、輸入脆弱性で2位という。それでも、日本はIPEFで米国と共に供給網強化に乗り出しているが、韓国は報道を封印している。この日韓の違いは何か。日本は、中国の制裁に対抗する気構えだが、韓国は中国の恐れをなしているのだ。これを裏付けるデータがある。

 

『中央日報』(22年5月30日付)は、「韓国、日米中からの核心輸入品目の75%が中国産…『早期警報必要』」と題する記事を掲載した。

 

(4)「全国経済人連合会は、「韓国経済産業核心物資現況と示唆点」と題する報告書を通じ、輸入規模が大きい228品目のうち中国産が75.5%の172品目で割合が最も高かったと明らかにした。次いで日本産が14.0%の32品目、米国産は10.5%の24品目だった。中国産核心輸入品目は鋼鉄を製造する際に必須のマンガン、電気自動車バッテリーの負極材に使われる黒鉛、自動車軽量化に向けた主要素材であるマグネシウムなどだ全経連は「中国産核心輸入品目は電気製品、鉄鋼、非鉄金属など産業用原材料が主で、韓国の産業全分野に影響を及ぼすと調査された」と説明した」

韓国は、輸入規模が大きい228品目のうち75.5%の172品目を中国に依存している。特に、黒鉛・マグネシウムなどの依存度が大きい。だが、事前にこういう状況を把握しておけば、対策もとりやすいはず。中国を恐れてIPEF報道を封印させるのは、大人げない話だ。