中国が、ついに韓国へ「奥の手」を使ってきた。韓国が、日米などへより接近すれば「対北朝鮮主導権」を発揮しないという内容だ。中国は、これまでも北朝鮮のミサイル実験を抑制する行為を行わず放置してきた。それが今になって、韓国を「北朝鮮暴走容認論」として脅してきたのだ。
秦の始皇帝も、こういう形で同盟を切り崩してきたのであろう。相手国を脅迫して同盟から切り離す戦法である。2000年以上も過去の外交戦法を使って、韓国へ圧力を掛けているもの。さすがの中国も、日本へこういう「非礼」極まりないことを言ってはこない。韓国を軽く見ている証拠であろう。
『ハンギョレ新聞』(6月1日付)は、「中国、『習主席の訪韓』期待するな、4つの不可方針を韓国に通知」と題する記事を掲載した。
中国政府が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対し、台湾などの中国の核心利益を侵害したり、米日の中国封じ込め戦略に韓国が積極的に参加した場合、北朝鮮問題など様々な方面で韓中協力を行うことは難しいという、いわゆる「4不可」の方針を伝えたことが分かった。尹錫悦大統領の米国密着外交に中国が直接不快感を示したことで、中国リスクが現実化している。
(1)「韓中関係に詳しい複数の高官級の外交消息筋は5月30日、ハンギョレに「22日、中国外交部の劉勁松アジア司長(アジア担当局長)がソウルに来て、尹錫悦政権に韓中関係に関する中国政府の『4不可』方針を通知したと聞いている」と述べた。中国政府が尹錫悦政権に伝えた「4不可」は、次の通りだ。
1)(台湾問題など)中国の「核心利益」を害した場合、韓中協力不可
2)韓国が親米・親日一辺倒の外交政策に進む場合、協力不可
3)現在のような韓中関係の緊張が続く場合、高官級交流(中国の習近平国家主席の訪韓)不可
4)悪化した情勢のもとでの韓国の対北朝鮮主導権の行使不可」
中国は、韓国を属国として扱い韓国の主権に制限を加えてきた。韓国は断固、拒否すべきである。文政権であれば震え上がったであろう。だが、世界一の軍事力を擁する米国と軍事同盟を結んでいる韓国である。中国の「一言」に怯える必要はない。ならば、「中国にある韓国の半導体工場の有り難みを知れ」というぐらいのやりとりができないでどうするのだ。互角に向かい会わなければ、中国の圧力に押されるであろう。
(2)「その席上で劉局長は、韓国外交部のチェ・ヨンサム次官補とチェ・ヨンジュン東北アジア局長に、自身の訪韓の目的が「中韓関係改善」ではなく「中韓関係の『ダメージコントロール』(追加被害防止)」であることを明らかにしたという。尹錫悦政権の発足後、急速に疎遠になった状況において、当面は関係改善が困難と判断し、中国政府の核心の関心事と「禁止ライン」を明確に伝え、追加の対立と衝突を管理するという方針を伝えたわけだ」
中国は、韓国へ「レッドライン」を示してきた。相当の脅迫である。韓国は、こういう中国の姿勢に抗議して、中国の要求を拒絶する回答をしなければならない。
(3)「中国外交部は、劉局長の訪韓の件について「中国の核心の関心事について厳正な立場を表明した」と発表し、韓国外交部も「率直かつ虚心坦壊に協議した」と明らかにしたことで、雰囲気が容易に解決されるものではないことを暗示した。劉局長はキム・テヒョ国家安保室第1次長とも非公開で面会したことが分かった」
韓国外交部は、「率直かつ虚心坦壊に協議した」と言うが、始皇帝の「同盟崩し」と同じ場面を想像する。現代でも、こういうやりとりがあることに中国の「古典外交」を見る思いがする。
(4)「劉局長はさらに、尹錫悦政権の発足後、「THAAD(高高度ミサイル防御)基地の正常化」と「追加配置」の可否に敏感な反応を示し、「THAAD3不政策」を尊重し再確認するよう韓国政府に求めた。「THAAD3不政策」は、次のような内容だ。
1)THAADの追加配備を検討せず
2)米国のMD(ミサイル防御)システムに韓国は参加せず
3)韓米日3国の安全保障協力を軍事同盟に発展させない
尹錫悦政権は「THAADは自衛的な防御手段であり、安全保障の主権事項であるため、決して協議の対象にはならない」とし、「THAAD3不政策」に拘束されないとする態度を繰り返し明らかにしてきた。最近、韓米が核協議グループ(NCG)を新設し、これに日本も参加して韓米日による北朝鮮ミサイル情報共有システムの準備も議論されている状況に対し、中国政府が拒否感を示したのだ」
「THAAD3不政策」は、韓国の主権に関わる問題である。なんら中国の「指示」に応える必要はない。ともかく、毅然とした対応が必要だ。「おどおど」することが、中国を利するのだ。腹を据えるべきでる。
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