あじさいのたまご
   

日韓シャトル外交が復活して、ひとまず正常化へのレールが敷かれた。日米韓に横たわる安全保障など、緊急を要する問題から協力すべきであろう。ものには順序がある。懸案をまず片付けて余裕があれば、次の課題に進むべきだ。

 

韓国側には、「1丁目2番地」に歴史問題を取り上げたいようだが、韓国に歴史を実証主義で捉える習慣がないことが致命傷である。すぐに、「植民地論」に立って、「謝罪せよ・賠償せよ」では議論にならないのだ。その意味で、歴史問題を取り上げれば、再び日韓は争うことになろう。無益である。

 

『中央日報』(62日付)は、「韓日シャトル外交復元、FTAなど経済協力につながるべき」と題するコラムを掲載した。筆者は、申ガク秀(シン・ガクス)元外交部次官である。

 

各種問題で「失われた10年」を歩んだ韓日関係も、強制動員問題で韓国側が「第三者弁済」という一方的措置を通じた解決策を提示したのを契機にシャトル首脳外交も復元し、回復軌道に乗ることになった。

1)「3月6日に発表された政府の強制動員解決策に対する国内の反応は、予想通り6対4の割合で反対意見が多かった。こうした世論の反発は、1年にわたる外交交渉にもかかわらず、日本政府が被害者の要求する日本被告企業の反省・謝罪と自発的な基金参加を受け入れない中で解決策を発表したからだろう。尹大統領の政治的決断は、交渉を続けて日本の譲歩を引き出す戦術的利益よりも、韓日関係の早期回復で複合転換期の不透明な戦略環境を乗り越えていく戦略的利益を優先したことによるものと解釈される」

 

韓国は、国内の反対論を抑えて旧徴用工問題で「第三者弁済」方針によって解決した。これは、韓国側に早急に解決を迫る事情があったからだ。それは、大法院判決が国際法違反であったことである。それにしても、恥ずかしい判決を出したものだ。文政権の意向を忖度した結果であろう。政治的判決である。

 

2)「韓日関係は、暗くて長いトンネルの出口を抜けて回復を加速する段階に入ったそのために次のように提言しようと思う。1つ目、強制動員問題の解決を急ぐことだ。3月6日の解決策は現金化を防ぐために民法上の第三者弁済を採択した。大法院の判決との衝突問題解決には、特別立法が最善だ。また鹿島建設(2000年)、西松建設(2009年)、三菱マテリアル(2016年)が中国の被害者に謝罪を表明したように、被告日本企業が謝罪表明と自発的寄与をするよう外交努力を傾けると同時に、国内被害者を説得して世論の支持を得られるよう努力しなければいけない」

 

中国は、自ら対日賠償金を請求せず放棄した。だから、中国人徴用工問題を抱える企業は、謝罪を表明した。韓国に対しては過去に何度も政府謝罪をしている。中韓では、事情が異なる。

 

3)「同時に歴史和解は、中長期な課題として着実に追求することが求められる。歴史認識問題は歴史家に任せるのが望ましいため、第3期韓日歴史共同委員会を復活させ、日本の若い世代が正しい歴史認識を抱くよう歴史教育、文化手段の活用を含む多様な案を講じなければならないだろう」

 

「植民地論」で染め上げてきた韓国の事情からいえば、結論は最初から分っている。そうではなく、経済データに基づく朝鮮近代化に果たした日本の役割という視点で議論すべきだ。日本は、本当に朝鮮を収奪したのか。データに基づく議論こそ出発点になる。


4)「2つ目、韓日協力の場が開かれただけに、協力の幅を広げて早期収穫が可能な協力を先に推進する必要がある。両国政府は両国企業が活発に交流・協力できる環境を作り、巨視的レベルの協力を深めていくべきだろう。高官級経済対話を活性化し、FTA締結、標準化・特許・情報協力、宇宙・サイバー協力、第4次産業革命分野の科学技術協力、第3国共同進出支援、サプライチェーン安全と相互融通、経済安保情報の共有などを模索するのがよい」

 

韓国は、日本から技術支援を受けたいのが本音である。そうであれば、歴史問題で日本を負い目にさせて、経済的譲歩を得ようとする策略は逆効果だ。朝鮮は、植民地時代も日本の技術と資本で発展した。それが事実である。韓国は、これを認めないから感情的行き違いが起るのだ。

 

5)「3つ目、失った信頼資産を満たすことだ。未知・誤解・偏見を解消して相互理解・信頼を高めるために、中長期レベルで青少年の交流を含む人的交流の大幅拡充と制度化が重要となる。1963年の独仏間のエリゼ条約と似た合意を考慮することを望む」

 

いくら、日韓共同宣言を出しても「二番煎じ」で無意味である。強烈な反日左派政権が生まれれば、元の木阿弥になる。そうならない「理性」が、左派には存在しないからだ。