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バイデン米大統領は22日、インドのモディ首相を国賓としてホワイトハウスに迎え、米印首脳会談に臨んだ。歓迎式典ではハリス副大統領をはじめ約7000人のインド系住民をホワイトハウス南庭に集めるなど厚遇した。

 

インドは、今や世界一の人口国になった。中国の「人口減」とは対象的である。現在の合計特殊出生率は2.0である。人口置換率の2.1を割っていることから、いつまでも増え続ける訳でない。2040年代前半に15億人弱がピークと推計されている。人口世界一の座は揺るがない。インドが、外交面で存在感を強めることは間違いない。

 

今回の米印首脳会談は、インド太平洋における中国牽制において大きな役割を果たすことになろう。中国は、インドと国境紛争を抱えている。そのインドが、米国と強いつながりを持ち、21世紀の方向を決めるとしている。中国の領土拡大を阻止するという意味だ。

 

『日本経済新聞』(6月23日付)は、「モディ首相、米印連携 21世紀決める 米議会で演説」と題する記事を掲載した。

 

インドのモディ首相は22日、米議会の上下両院合同会議で演説した。2国間関係について「今世紀を決定づけるパートナーシップだというバイデン大統領の考えに同意する」と言明した。「米国は最も重要な防衛協力相手の一つだ」と話し、協力強化に意欲を示した。

モディ氏が米議会で演説するのは2016年に続いて2回目。厚遇ぶりは中国やロシアへの対抗に向けてインドと関係を深めたい米議会の意向を映す。

 

(1)「モディ氏は、「私が16年にこの場で演説したとき、我々の関係は画期的な未来に向かっていると話した」と振り返った。「その未来とは今だ」と強調し米国とインドの関係が深まったと力説した。安全保障問題をめぐり「威圧や対立という暗い雲がインド太平洋に影を落としている」と指摘した。中国の軍拡や威圧行為を念頭に置いた発言とみられる。「地域の安定が我々のパートナーシップの中心的な関心事の一つになった」と語った。「自由で開かれた包括的なインド太平洋というビジョンを共有している」と断言し、米国と安全保障や経済分野で関係をいっそう強化すると訴えた」

 

モディ首相の演説は、これから長く記憶され引用されるほど重要な演説であった。

1)今世紀を決定づけるパートナーシップだというバイデン大統領の考えに同意する。

2)威圧や対立という暗い雲がインド太平洋に影を落としている。

3)自由で開かれた包括的なインド太平洋というビジョンを共有している。

 

これら3点は、中国への牽制で米国と同じスタンスを取るという意味である。ただ、中国の台湾侵攻の際に、インドも武器を取るという意味ではない。グローバル・サウスの代表であるインドが、国際世論への影響力を発揮するということであろう。

 

中ロも、グローバル・サウスを自陣に引き寄せるべく、いろいろと外交戦略を練っている。だが、インドが、民主主義国としての価値観に立脚して行動することになれば、その影響力は大きい。米印は、戦闘機エンジンの共同生産を始めることで合意した。これを皮切りに、兵器生産に共同で当たり、グローバル・サウスへ廉価で輸出すれば、インドと米国の影響力が浸透する。そういう意味で、米国がインドと強力なパートナーシップを結んだ影響は極めて大きい。

 

(2)「モディ氏は米国とインドの協力に関し「(2国間を超える)もっと大きな目的に貢献する」とも唱えた。米国と連携し、国際社会で関与を拡大する意向を表明した。「我々のパートナーシップは民主主義の将来にとって良い予兆だ」と述べ、民主主義を重視する立場を示した。米国で広がる人権侵害への懸念を払拭する思惑が透ける。与党・民主党に所属するリベラル派の代表格であるアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員らは人権侵害を問題視し、モディ氏の議会演説を欠席した」

 

モディ政権は、人権問題を抱えている。与党インド人民党(BJP)はヒンズー至上主義を掲げ、イスラム教徒をはじめ他の宗教信者に厳しい政策をとってきた。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は「政府に批判的なインドのジャーナリストは、モディ信者による全面的な嫌がらせや攻撃キャンペーンにさらされている」と指摘する。22日もホワイトハウス近くの公園で抗議するインド系グループの姿があったという。

 

理想主義を掲げるバイデン氏だが、中国ロシアという枢軸を前にして、こういう人権問題に触れないというリアリストになっていると指摘されている。