韓国の4~6月期GDPは本来、マイナス成長になるところ輸入が大幅に減った結果、プラス成長になるというまさに「僥倖」に恵まれた。つまり、消費・投資・輸出の主要項目はすべて減少したが、輸入が内需不振で大幅に減ったことで、「輸出-輸入」がプラスになって「前期比0.6%成長」になった。拾いものであったのだ。
『中央日報』(7月25日付)は、「韓国、4~6月期の経済成長率0.6% 輸入減少でマイナス成長免れる」と題する記事を掲載した。
純輸出が、1~3月期よりも増え4~6月期は0.6%成長となった。
(1)「韓国銀行は25日、4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が速報値で前四半期比0.6%と発表した。最近の四半期別の経済成長率は次のような推移だ。
2020年 1-3月期-1.3%
4-6月期-3.0%
7-9月期 2.3%
10-12月期 1.3%
2021年 1-3月期 1.8%
4-6月期 0.9%
7-9月期 0.1%
10-12月期 1.4%
2022年 1-3月期 0.7%
4-6月期 0.8%
7-9月期 0.2%
10- 12月期-0.3%
2023年1―3月期 0.3%
4-6月期 0.6%」
この成長率推移を見て気づくのは、22年に入って鈍化している。この裏には半導体輸出が不振を極めていることだ。韓国政府は、半導体の市況回復について楽観論を振りまいている。次に指摘するように、半導体の市況見通しは、世界的に慎重論が多い。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月5日付)は、「AIだけでは半導体不況を救えない」と題する記事を掲載した。
(2)「米半導体産業協会(SIA)のデータによると、2023年1~5月の世界半導体売上高は前年同期比21%減だった。近々好転する兆しもなさそうだ。TSMC(台湾積体電路製造)は23年通期売上高について、現時点ではドルベースで前年比約10%減少の見通しだと述べた。3カ月前に予想した1桁前半から半ばの減収率から拡大した」
下線部のように、半導体の売上が近々好転する見込みはないという。韓国の楽観論は、何を根拠にしているか不明である。
(3)「TSMCは現在、世界最大の年間売上高を誇る半導体企業だ。また同社は巨大ハイテク企業(アップルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット子会社のグーグルなど)のほか、製造施設を持たないエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など他の半導体大手が、社内で設計した半導体を受託生産する企業でもある。従ってTSMCの決算は半導体セクター全体の健全性を示す有力な指標となるが、同社の4~6月期決算は大きな影を落とした。フィラデルフィア半導体株指数は20日に3.6%下落し、構成銘柄の全てが前日から下落して取引を終えた」
TSMCは、巨大ハイテク企業や製造施設を持たない半導体大手など、あらゆる半導体メーカーとつながりを持っている。それだけに、TSMCの見通しには偏りがない。
(4)「半導体株は今年これまで好調が続いている。相場上昇の一因は、好不況の波が循環する半導体業界の回復をトレーダーが先取りしようとしていることにあるが、その大部分は、生成AI(人工知能)を巡る過剰な宣伝に起因している。生成AIは「チャットGPT」などのチャットボット(自動会話プログラム)を動かす技術であり、強力なコンピューティング能力と画像処理半導体(GPU)を必要とする」
半導体株価は、業績よりも人気先行である。この点を割引しなければならない。
(4)「TSMCは7月20日、現在の売上高に占めるAIの割合は6%だが、スマートフォンは33%だと説明した。後者を巡る状況は依然として厳しいようだ。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト予想によると、アップルのiPhone(アイフォーン)販売台数は23年9月期に4%減少する見通し。そのような落ち込みは、通期の販売台数としては4年ぶりとなる。TSMCはAI事業の急成長(今後5年間の年平均成長率50%)を見込んでいるが、同事業も深刻な生産上の制約を乗り切る必要がある。こうした問題は主に、半導体を他の部品と一緒にパッケージングする生産工程の最終段階で生じる」
TSMCは、現在の売上高に占めるAIの割合が6%。スマートフォンは33%である。この売り上げ構成から見てもスマホが3割を占める。今年の業績予想は、ドルベースで前年比約10%減少の見通しだ。3カ月前に予想した減収率よりも拡大している。韓国もこの現実を見るべきだろう。


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