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サムスン独峰の「悲劇」

歴史的に技術軽視の咎め

「10年一日のごとく」

公営企業は既得権益の巣

 

韓国経済は、サムスン依存の「一本足打法」である。一本足打法の元祖は、王貞治氏が現役時代に成し遂げた「最多ホームラン数」の偉業によって有名だ。経済では、一企業の業績に依存することがどれだけ危険であるかを示している。それは、サムスンの業績低下が韓国GDPのランクを押下げに影響するからだ。

 

韓国の名目GDPは2022年、それまでの世界ランキング10位から13位へ後退した。主因は、半導体輸出の不振であった。これが、ウォン安を招きランキングを落とすことになったのだ。韓国は、2020~21年と連続で世界10位だった。それが、22年には3段階も後退して13位へ。代わって、天然資源大国であるロシア、ブラジル、豪州が上位へ進出した。韓国内外の経済環境から見て、再び「トップ10」入りできるかどうか、予測は困難である。

 

半導体とスマホは、サムスンの力で世界シェア1位である。だが、いずれも汎用品という悩みを抱えている。独自技術を持たない限界を露呈しているのだ。この結果、半導体では台湾のTSMC、スマホでは米国のアップルがいずれも高収益を上げて、サムスンを引離している。この状況は、改善されるどころかさらに引離されようとしている。サムスンにも韓国にも頭の痛い問題になった。

 

韓国社会の欠陥は、度を外れた自己過信にある。自分が、あるいは韓国が絶対正しいとする信念を曲げないことだ。これが、国内の政治的対立を先鋭化させ、対日関係ではのっぴきならぬ不信感を表面化させてきた。この傾向は特に、左派に強烈である。左派が政権の座につけば、経済も外交も後退する。韓国GDPが、世界10位圏から脱落したことはこれと無縁でない。

 

韓国メディアは、前記のような事情を理解せずに「韓国GDP10位」を自画自賛してきた。先進国入りしたという感覚で、次は「G8入り」と夢を膨らませ、返す刀で「日本を追い抜く」とまで豪語するほどだった。GDP10位への復帰には、韓国全体が危機感を持ち無益な左右両派の対立を止め、国内改革に全力を挙げることが前提であろう。現状を見ている限り、その可能性はゼロである。

 

サムスン独峰の「悲劇」

韓国は、サムスンを除けば「心棒」を抜いたような状態になる。韓国の全経連(全国経済人連合会)が7月に発表した「研究開発投資上位2500社のグローバル企業」(2021年末時点)によると、研究開発投資企業トップはサムスン電子の185億ドル。韓国企業の研究開発投資全体の49.1%にも達している。サムスン1社の研究開発投資が、企業全体の半分近いとは驚きだ。ここで、参考までに先進各国のトップ企業の研究開発投資が、全企業に占める比率を上げたい。

 

1)韓国(49.1% サムスン)

2)英国(21.7% アストラゼネカ)

3)フランス(19.8% サノフィ)

4)ドイツ(17.1% フォルクスワーゲン)

5)中国(10% 華為=ファーウェイ)

6)日本(7.6% トヨタ)

7)米国(6.3% アルファベット)

出所:全経連 『朝鮮日報』(7月26日付)掲載

 

この序列は、何を意味するかである。それは、企業の研究開発の「厚み」を示している。サムスンが、韓国企業全体の約半分も占めていることは、他企業の研究開発が手薄であることの証明である。これに比べて、トヨタは日本の7.6%。米国のアルファベット(グーグルの親会社)は6.3%にすぎない。それだけ、他企業の研究開発投資が盛んであること物語る。独創的な研究成果が、各社から生まれる可能性を示唆しているのだ。

 

韓国は、冒頭で「一本足打法」と指摘したが、この研究開発投資比率を見れば、ますますその感を強めざるをえまい。このサムスンの生い立ちを見れば分るように、半導体技術は日本からの窃取である。日本の半導体技術者を毎週、週末にアルバイトでソウルまで出張させ、「アルバイト料金」で手にした技術である。この窃取技術が、「メモリー半導体」である。より高級技術の「非メモリー半導体」は教えなかったので、サムスンはTSMCに大きく水を開けられた。

 

こういう経緯を見ると、韓国生まれの技術はゼロである。自動車は、三菱がエンジン技術を教えているほどだ。韓国が、日本技術に支えられたことは紛うことなき事実である。この域から大きく出ていない現実が、韓国経済の未来に疑問符を抱かせる理由である。

 

この現実を痛いほど知り抜いているのは、当事者の韓国企業である。7月28日、日本の経済同友会と韓国の全経連がソウルで合同会議を開催した。韓国にとって、この機会を生かして日本企業との関係強化を進めた。韓国側の発言では、日本の技術開発と韓国の製造技術の一体化を強調している。日本の技術開発力に注目している結果だ。(つづく)

 

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