中国からの団体旅行再開で23日、第1陣が日本へ到着した。これから、どれだけの人たちが来日するか興味深いが、従来のような「爆買い」は中国国内の経済悪化もあって期待薄であろう。ただ、リピーターの訪日であろうから、「コト消費」(体験消費)という質的に一段高い需要が増えるとの見方もある。
中国政府が、「福島処理水放出」絶対反対の声を強めている。その中で、中国訪日観光客にどのような影響が出るかも注目点である。リピーターであるから、「知日派」であることは間違いない。中国政府の悪宣伝に乗せられれば、訪日観光客数が伸び悩むことになろう。今回は、そのバロメーターになる。
『ロイター』(8月24日付)は、「爆買いは過去の話か、中国団体旅行解禁『コト消費』に商機」と題する記事を掲載した。
中国人団体旅行の解禁により、日本の観光業界ではコロナ禍で落ち込んだインバウンド消費の回復が期待されている。だが、コロナ流行前と今では状況が違う。歴史的な円安は追い風だが、中国景気は減速。原発処理水の海洋放出の影響も不透明だ。団体客数は以前ほど戻らず「爆買い」も起こりにくいとの声もある。中国人の消費行動がそもそも変化しているとみて新たな商機を探る企業も出ている。
(1)「『新鮮な食べ物、まだ食べたことのない日本料理が一番楽しみです』。日本への団体旅行解禁後、全日本空輸(ANA)を利用した初のツアーの一行が23日夜、羽田空港に到着。ツアー参加者の1人、今回で5回目の来日という10代の徐梓暢(シュー・ジーチャン)さんはこう話す。撮影や文化体験のできる浅草などを巡る4泊5日の旅で、人気バスケットボール漫画「スラムダンク」で登場した鎌倉市の江ノ島電鉄の踏切も訪問場所に含まれている」
若者の訪日は、リピーターである。「コト消費」が目的だ。こういう「知日派」であれば、「福島問題」は無縁となろう。
(2)「小売りの現場でも需要を取り込むため、さまざまな対応策を模索中だ。三越伊勢丹ホールディングスでは、三越銀座店で昨年6月から、伊勢丹新宿店で昨年10月から免税カウンターを増強。広報によると、同社では「今後はモノ消費からサービス体験型のコト消費に移る」とみている。「これまでは化粧品を単品で何十個も買っていたが、これからはブースに座ってゆっくり時間をかけて肌診断などを受けた上で自分に最適な商品を買う」といった日本人と同じ体験に需要があるとみてサービスや接客を強化する」
小売り現場でも、コト消費に期待している。日本人と同じ体験に需要があるとみる。
(3)「日本政府は、訪日外国人観光客数の目標として2025年にコロナ禍前(19年の3188万人)水準超え、消費額5兆円(同4.8兆円)の早期達成を掲げる。観光庁の高橋一郎長官は21日の会見で、大型連休となる10月の国慶節に「中国人団体旅行客が本格化すると想定している」と話し、単月の訪日客数は「年内にはコロナ前の水準に戻ることも視野に入れている」と述べた。だが、団体旅行の解禁効果には慎重な見方が多い。経済不安が広がっており、どこまで旅行消費にお金を回せるのか見通せない」
中国の国慶節である10月の大型連休に、どれだけの訪日観光客が来るか。これが、今後を占うことになろう。
(4)「中国の7月の経済統計は、不動産や消費など大半の指標が市場予想を下回り、前月より悪化・低下、景気減速が鮮明となった。ソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之シニアエコノミストは、雇用・所得環境の悪化で「中国の消費者マインドはかつてないほど冷え込み、貯蓄意欲が高まる一方だ」と説明。中国政府が大幅な景気浮揚を意図した景気対策を実施するとは考えにくく、中国人訪日客数が早期に19年水準に回復する可能性は小さいと予想する。株価低迷で資産効果も小さく、「円安により消費単価は高水準となりそうだが、15年のような爆買いブームが再現する可能性は低い」とみる」
中国経済の不調から、中国人訪日観光客が19年水準に回復する可能性は小さいとしている。これは、従来になかった要因である。ましてや、爆買い期待は無理であろう。
(5)「24日の東京電力福島第1原発処理水の海洋放出の影響も読みにくい。四川省成都市で個人旅行代理店を経営するアリス・シュウ氏は、海洋放出の受け止めには「個人差がある」とした上で、「人々の旅行の熱意が下がるかどうかはわからない」として様子を見たいと述べた。一方、オンライン旅行会社トリップドットコム・グループは海洋放出にはコメントしなかったが、同社のデータによると、8月10日の団体旅行解禁から17日までの1週間で日本への団体旅行商品の予約は前月比90%近く増加。国慶節に出発する予約は前月比5倍以上に増加した」
「国慶節に出発する予約は、前月比5倍以上の増加」としている。9月よりも急増しているという意味であろう。ただ、その9月の予約数が不明であるから、10月出発の「実像」を掴めない。


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