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韓国経済の悩みが深まっている。中国経済は、不振が本格化する気配だ。韓国の対中輸出へは、マイナスの影響力が長引く。一方、米国の金融引き締めが長期化する見通しが強く、国内の政策金利引下げ時期が遠のく。こうして、米中に挟まれた韓国経済の苦悩が深まっているのだ。 

『ハンギョレ新聞』(8月25日付)は、「中国の不動産、米国の高金利 影響受ける韓国経済」と題する記事を掲載した。 

中国の事情に詳しいある証券会社のアナリストは20日、ハンギョレの電話取材に対して次のように強く述べた。「中国経済(GDP)に占める建設・不動産業の比率は30%に達します。不動産発の景気低迷で中国国内の需要が急減すれば、韓国の成長率も最大0.3ポイント下がる可能性があります」

 

(1)「『中国の不動産発の危機説に過剰反応する必要はない』とか『不動産問題は中国の内部事情に過ぎない』とする韓国政府の見解は大きく的が外れているということだ。このアナリストは「対中国輸出は中間財中心であるため中国の投資や消費の悪化が韓国の輸出に与える波及効果は小さい、などというのは『遠い昔』の話」だと断言した」 

前記の「証券会社アナリスト」は、氏名を伏せられている。中国政府が、弱気を語ってはならないという「禁令」を発している結果だ。中国経済の停滞が、韓国の成長率を最大0.3ポイント下げるという見方は的外れでない。あり得る話だ。 

(2)「韓国経済は、「冷たい中国」と「熱い米国」が両側から押さえつけている。中国の不動産発の金融不安、景気の沈滞が韓国の輸出不振とウォンの価値の低下を招くとともに、米国発の高金利の長期化見通しまで広がっているからだ。何よりも、このような対外環境の悪化に対応するための財政・通貨などのマクロ政策の身動きの幅まで非常に狭まっているため、懸念は大きい」 

米国景気が堅調で、政策金利引下げ時期は24年後半以降と見られている。となれば、韓国も利下げの時期がそれだけ遅れることになろう。韓国経済にはマイナス要因である。

 

(3)「中国の不動産危機は金融市場の不安にとどまらず、輸出・成長率の停滞の懸念まであおることで、「上半期低迷、下半期回復」とみられていた韓国経済の成長を脅かしている。中国の投資・消費需要が下火になれば、韓国からの半導体、建設機械、化学、家電製品の輸入量も一斉に縮小する恐れがあるからだ」 

韓国では、「上半期低迷、下半期回復」という景気回復コースを前提に議論している。本欄は、半導体不況の回復が遅れていることから、その可能性を否定してきた。現実は、その方向に向っている。 

(4)「ハッシュドオープンリサーチのキム・ヨンボム代表(元企画財政部次官)は、「新型コロナウイルス封鎖が解除された後も2年間も抑えつけられていた中国の消費が依然として低迷しているのは、並大抵の深刻さではない」とし、「いちばんの投資資産だった不動産がめちゃくちゃになっていることで、家計と企業が共にお金を使わない『バランスシート不況』の兆候が明確に表れている」と診断する。これは、不動産デレバレッジング(負債縮小)の影響で中国経済に長期不況の影がさしているということを意味する。JPモルガン・チェース、バークレイズなどのグローバル投資銀行が、中国の今年の成長見通しを中国政府の目標値である5%台より低い4%台に続々と下方修正している理由はここにある」 

中国経済の実態は、予想以上の悪化である。頼みの個人消費が落ち込んでいるからだ。国民の信頼は、ゼロコロナ3年間で地に墜ちている。昨年春、上海の高層ビル街で夜間に叫ばれたあの悲痛な声は、「政府を信頼しない」という叫びだったのだ。それが今、消費不振となって現れ、貯蓄先行の行動を生んでいると見るべきである。

 

(5)「国外発の不安要素がある一方で、韓国政府が取れる通貨・財政などのマクロ政策の身動きの幅は狭い。まず通貨政策は、家計債務が再び増えているとともに、韓米の金利格差が史上最大であるという状況にあっては、景気浮揚のための政策金利の引き下げは容易にはなしえない選択だ。いっぽう財政政策は、最悪の税収不足に加え、政府の強固な緊縮基調に足を引っ張られているのが実情だ。政府は補正予算の編成も行わず、来年予算も今年より3%ほど増やすにとどめる方針だ」 

韓国は、米金利高の長期化によって簡単に利下げできない状況だ。財政支出でカバーするほかない。 

(6)「韓国政府が、国外発のリスクを軽視しているのも、このような事情と無関係ではない。企画財政部の幹部は、「中国の不動産開発企業の債務不履行は中国不動産市場内部の問題だ。システムリスクなどへと拡大する可能性は低い」、「韓国の対中輸出が減っていることも、デリスキング(中国への依存度を弱めることによるリスク低減)の面から見れば悪いことばかりではない」と語った。漢陽大学のハ・ジュンギョン教授(経済学)は、「対外リスクが拡大するにつれ、低成長が固定化し、不平等はひどくなるという悪循環が起きる恐れがある。財政運用の変化が必要だ」と述べた」 

韓国政府は、意図的に楽観論を流している。文政権もそうであったが、楽観論は傷を深くするだけだ。冷静な現実認識が不可欠である。