不動産開発大手の中国恒大集団は、21年から経営危機の縁にある。同じ大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が今、にわかに経営危機に襲われている。1〜6月期連結決算は、最終損益が450億〜550億元(約9000億〜1兆1000億円)の赤字となる見通しという。碧桂園は、学校とマンションを同時に建設し、マンション価格を引き上げるという独特の経営モデルをつくり挙げた。
この経営モデルは、中国社会の教育熱を巧みに利用したものであ。有名大学進学への可能性を取り込んだことから、碧桂園のマンションは高い人気を得てきたが、不動産バブル崩壊という大波には抗しがたく、8月に債券の利息支払いができず9月まで延期した。これでも不可能となればデフォルトが確定する。今や、瀬戸際に立たされている。
「日本経済新聞 電子版」(8月30日付)は、「碧桂園、赤字1兆円見通し 住宅・学校の一体開発綻ぶ」と題する記事を掲載した。
中国南部の広東省仏山市。碧桂園が1992年に開発した住宅プロジェクト「順徳碧桂園」のエリア内に、広東碧桂園学校がある。同校は北京市の名門校との提携を売りにし、内外の有名大学への進学実績で知られる。これが子どもを通わせたい親らが敷地内の住宅を買う理由となってきた。
(1)「碧桂園と恒大はかつて、中国の不動産販売で1位、2位を争ってきた。恒大が主に中所得層をメインターゲットにする一方、碧桂園は教育熱心な高所得層向けの物件を収益の源泉としてきた。最大の武器が学校・幼稚園運営の博実楽教育集団(ブライト・スカラー・エデュケーション・ホールディングス、旧碧桂園教育集団)だ。17年には米株式市場に上場させた。本体が開発したマンション群付近に、全寮制のインターナショナルスクールやバイリンガルスクールなどを次々と開校。優先的な入学権の付与や学費割引で優遇し、住宅販売につなげた。だが、過熱する不動産市場の抑制に動いた習指導部によって経営は暗転した」
かつて、不動産開発企業で1位、2位を競ってきた企業が相次いで経営危機に陥っているのは、極めて象徴的である。拡大路線が破綻したからだ。碧桂園は、住宅と教育をワンセットにするという斬新なアイデアが大当たりした。子供を良い学校に入れる目的で引っ越してきたケースが報じられていたほどだ。こういうアイデアは、日本人には不可能だろう。
(2)「独自モデルを築いた同社も資金構造は同業他社と変わらない。土地使用権の購入や建設・資材会社への支払いに多額の資金を必要とする。将来の住宅引き渡し不能を恐れた消費者の買い控えも少なくない。恒大と同様に深刻な資金繰り難に陥っており、中国メディアは私募債の償還延長案を債権者に提案していると報じた。同社は30日に新株発行で2億7000万香港ドル(約50億円)の調達を発表した。ただそのまま未返済融資がある企業への返済に充当され、資金繰り改善にはほど遠い」
外債の利息未払いが8月初めに起っている。9月頭に支払わなければデフォルトになる。この対応が注目される。
(3)「同社が保有する開発用不動産(開発用地)は22年末で9122億元に上る。将来の住宅開発に向け、中国各地で仕入れた土地(使用権)や建設途中のマンションなどで、恒大(1兆859億元)に迫る水準だ。住宅価格が本格的に下落すれば評価減は避けられず、さらなる業績悪化につながりかねない。
開発用地として、22年末で9122億元(約18兆2440億円)も保有している。恒大の開発用地(1兆859億元=約21兆7180億円)に匹敵する。消費者に未完成マンションを売却して得た資金で、こういう膨大な土地を仕入れ、地方政府の歳入を助けていたことになる。
(4)「住宅と両輪だった教育事業も同様だ。中国政府は21年に「教育を資本の道具としない」(教育省幹部)として、私立学校に関する規制を強化。規制対応が求められ、博実楽教育の22年8月期は約7億元の最終赤字となった。28日には全国人民代表大会(全人代)常務委員会で学前教育法の草案の審議が始まった。教育関連企業による過度な利益追求を抑制し、企業の資産として幼稚園の株式上場は禁止する内容になる見通しだ。博実楽教育は中国内の幼稚園部門で既に68校の運営権を失い、残すは8行のみになったという。新法が成立すれば、更なる影響を免れない。強みだった住宅・学校の一体モデルは限界に達しており、生き残りの正念場を迎えている」
碧桂園は、住宅と教育をワンセットにして成功したが、今やこの道が封じられることになった。こうなると、碧桂園は片方の羽をもぎ取られたも同然である。ただの不動産開発企業に戻るわけで再建は厳しくなろう。


コメント
中国文化が、上っ面だけの軽薄な文化で有ったことを今更ながら気付かされました。
孟母三遷を金づるにするあたり、如何にも伝統的な拝金主義国家の面目躍如と言うところでしょうか。
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