a0005_000131_m
   

韓国最大野党「共に民主党」代表の李在明氏は、大統領の国政刷新と内閣改造、福島処理水海洋投棄反対の立場表明などを要求。8月30日から断食闘争に入っていたが、19日目となる9月18日午前に病院に搬送された。 

李氏が断食に入った理由は、国会で議論すべきことがらである。政府が、野党の要求を入れないから断食闘争するとは、政治家としての本質を弁えない行動と言うべきだ。もっともこの背景には、自らへの逮捕状請求を忌避する目的が主でないかという指摘も出ている。断食をして国民の同情を集め、逮捕を免れるというもの。百戦錬磨の李氏だけに、その動機についてはいろいろと分析されている。 

『朝鮮日報』(9月18日付)は、「韓国最大野党代表、ハンスト19日目 対峙激化の中 野党『尹政権、内閣総辞職せよ』」 

韓国の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が17日でハンガーストライキ開始から19日目を迎えた中、同党は早ければ18日、ハン・ドクス首相の解任建議案を国会に提出することにした。民主党は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の内閣総辞職も要求するなど、「対政府全面闘争」を宣言した。大統領室は民主党の要求に対し、「破れかぶれの闘争の被害者は結局国民」だと反論するなど、出口の見えない「強対強」の政局が続いている。

 

(1)「民主党は17日午前と午後の2回にわたり最高委員会議を開き、イ・ジェミョン代表のハンスト中止案と対政府闘争計画について議論した。最高委員会は大統領室糾弾声明を出し、「尹錫悦政権が結者解之(自分が起こした問題は自分で解決しなければならない)しなければ、民主党は国会が持つ権限に基づき、現在の状況を正していく」とし、ハン・ドクス首相の解任と内閣総辞職を重ねて求めた。民主党のパク・ソンジュン報道担当は「18日、ハン首相の解任建議案を国会に提出する可能性が高い」と説明した」 

「共に民主党」は、首相退任と内閣総辞職を求めている。これが、ハンストの目的の一つである。だが、こういう「実力行使」で内閣を替えさせることなどできるはずがない。ハンストをやれば内閣が総辞職するという悪例を作ってはいけないのだ。 

(2)「これに先立ち、民主党は前日、国会で5時間にわたり緊急議員総会を開いた後、「尹錫悦政権の暴政と検察独裁に立ち向かい、総力を挙げて戦っていく」とし、尹錫悦政権の全面的な国政刷新と内閣総辞職およびハン・ドクス首相解任建議案の即時提出▽不当な政治捜査・野党弾圧などに立ち向かうこと▽違法を働いた検事に対する弾劾手続きの推進▽市民社会を含むすべての勢力と国民抗争などが盛り込まれた決議文を発表した」 

韓国最大野党は、国会で最大議席を持っている。その政党が、ハンストを行って騒いでいるのだ。政治をオモチャにしていると言って差し支えない。

 

(3)「民主党はこれと共に、イ代表に議員全員の意思を伝え、ハンガーストライキの中止を改めて求めた。しかし、イ代表はハンガーストライキを続ける意思を曲げなかった。民主党指導部は同日午後には「直ちにハンガーストライキを中止し、入院すべき」という医療スタッフの診断を受け、救急車を待機させ緊急入院するようイ代表を説得したが、イ代表は入院を頑なに拒んだ」 

ハンストは、スタンドプレイである。李氏は、検察の逮捕状請求が近いことを知っており、それを忌避する目的であることは間違いない。 

(4)「民主党の対政府闘争決議に対し、与党は「突拍子もないこと」だと一蹴した。大統領室高官は同日、「野党のハン・ドクス首相の解任建議案決議、内閣総辞職の要求」に対する大統領室の立場を問うハンギョレの質問に「皆の力を結集しても足りない時に、破れかぶれの闘争を展開するとは、被害者は結局国民であろう」と答えた。検察がイ代表に対する拘束令状を請求した場合、逮捕同意案処理をめぐる民主党内の論議と、その後イ代表が拘束されるかどうかによって、政局の不確実性はさらに高まるものとみられる」 

李氏は、次の逮捕状請求の際は、国会議員の不逮捕特権を使わないと明言している。この発言によれば、国会での逮捕状許諾の可能性が高まる。「共に民主党」」内部では、前回36名が逮捕状請求に賛成したのだ。

 

『聯合ニュース』(9月18日)「韓国検察、再び最大野党代表の逮捕状請求=市長時代の背任容疑など」と題する記事を掲載した。 

韓国のソウル中央地検は18日、ソウル近郊の城南市長時代の都市開発疑惑や下着メーカー大手・サンバンウルグループが北朝鮮側に巨額資金を不正に渡した疑惑に絡み、背任や偽証教唆、外国為替取引法違反容疑などで最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の逮捕状を請求した。 

(5)「検察は2月、別の疑惑を巡る容疑で李氏の逮捕状を請求したが、国会で逮捕同意案が否決された。国会議員の李氏には不逮捕特権があり、会期中は国会の同意が必要だ。李氏は城南市長だった2014~15年、同市の柏ヒョン洞の土地開発事業で民間業者にさまざまな便宜を図り、事業から排除された城南都市開発公社に200億ウォン(約22億円)相当の被害を与えた疑いが持たれている。また、京畿道知事時代の2019~20年には李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和副知事を通じサンバンウルのキム・ソンテ元会長に対し、李氏の訪朝費用など計800万ドル(約12億円)を北朝鮮に送金させた疑いもある」 

今回の逮捕状請求には、二つの事件がからんでいる。城南市への損害事件と、北朝鮮への送金疑惑である。国会で逮捕状請求が認められなければ、在宅起訴になろう。