昨日、韓国国会は歴史的な決定を下した。最大野党「共に民主党」代表の李在明氏が、検察からの逮捕状請求を承認されたことだ。「共に民主党」は、国会で最大議席(163人)を占めている。それにもかかわらず、逮捕状請求を承認する議員が賛成・棄権・無効を含めて39人も出たことで、韓国に健全な民主主義を守ろうとする良識ある人たちの存在を見せつけた。
韓国の裁判所は、国会の逮捕状請求の承認を受けて逮捕が正当であるか否かを精査して最終決定する。検察は、これまで李氏に関わった疑惑事件で複数の犠牲者が出ていることから、逮捕が犠牲者を出さない上で必要としている。結果がどうなるかは即断を避けたい。ただ、韓国左派勢力の受けた打撃は図り知れない。結論を先に言えば今後、その勢力は衰えていくものとみられる。文政権が冒した失敗は、左派陣営からも批判されていた。その上、さらにこういう疑惑に関わったとなれば、国民の支持は低下するであろう。
『中央日報』(9月22日付)は、「逮捕同意案が可決、回復難しい政治的な傷を負った韓国野党代表」と題する社説を掲載した。
韓国国会が昨日、最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する逮捕同意案を通過させた。賛成149人、反対136人、棄権6人、無効4人という投票結果を見ると、民主党からも少なくとも29人の議員が賛成票を投じたと推定される。李代表個人の防弾用の私党になるのか、それとも正道を歩む公党になるのかを選択すべきという国民の要求に、これ以上背を向けるのは難しかったとみられる。
(1)「民主党議員の大多数の約130人は反対票を投じ、逮捕同意案は定足数わずか1票超えでかろうじて可決した。彼らは李代表を守るために、いや正確には自分たちの公認権を守るために不逮捕特権を守った議員たちだ。ほとんどが親李在明系の彼らの主導の下、民主党は今年に入って不正疑惑で令状が請求された議員の逮捕同意案を4回連続で否決し、「防弾政党」という汚名を自ら招いた。一方、地方選挙公認関連の資金授受容疑で請求されたハ・ヨンジェ「国民の力」議員逮捕案は可決した。民主党は今からでも自党の議員の拘束を阻止するために逮捕同意案の否決を乱発した過ちについて国民に謝罪し、常識と公正の政治をしなければいけない」
民主党は、露骨に「身びいき」を行った、自派議員の逮捕状請求には反対投票する一方、与党議員の逮捕状請求は承認したのだ。公平でないことは明らかだ。韓国左派の未成熟な政治行動は、こういう面で顕著に現れていた。
(2)「李代表逮捕同意案の可決で民主党の政治的負担は大きくなった。特に、6月の国会代表演説で不逮捕特権放棄を約束しながらも、同意案表決の前日に民主党議員に堂々と否決を要請した李代表のリーダーシップは回復が難しい傷を負った。「状況によって手のひらを返すように言葉を変える約束不履行の口だけの政治家」という烙印は、李代表本人はもちろん、民主党にも大きな鎖になっていくはずだ。逮捕同意案の可決を契機に、非李在明系は李代表の退陣を要求し、李代表と親李在明系はこれに「獄中公認も辞さない」として対抗することも考えられる。総選挙を半年後に控えた状況で分党の可能性まで排除できない深刻な内紛に向かう可能性が高まったのだ」
李氏は、これまでの多くの疑惑において逮捕を絶対に回避したい一念で、相手や第三者になすりつけて逃げおおせてきた。不利になると泣いて同情を乞う戦術もとってきた。今回のハンガーストライキは、その集大成である。
ここで、重大なことを指摘したい。李氏は、権力欲旺盛な「86世代」の一員であることだ。「86世代」とは、1960年代生まれで80年代に学生時代を送った人たちだ。韓国経済の高度成長の成果を最初に浴しながら、「反日米・親中朝ロ」を露骨に運動してきた層である。思想行動が極めてアンバランスである。最近は、20~30代が忌避し始めていた。
こういう時期に引き起こした問題である。「86世代」への潜在的な批判が、一気に表面化するリスクを含んでいる。演技たっぷりなハンガーストライキは、もはや若者の批判の目から逃れることはできないだろう。
(3)「民主党が生きる道は一つしかない。李代表は逮捕同意案の可決を謙虚に受け止め、令状審査に誠実に臨まなければいけない。本人が主張するように検察の捜査が根拠のない政治捜査であるのが事実なら、裁判所も同じ判断を下すのではないだろうか。半面、令状が発付されれば民主党は裁判所の判断を尊重し、リーダーシップ革新と再整備に入るべきだろう。内紛を防いで総選挙で勝利するには李代表本人が去就に勇断を下すしかない。国民の信望を集める良心的な大きな人物へと党のリーダーシップを改革し、換骨奪胎の誠意を見せることだけが民主党の代案だ」
今回の事態で、韓国左派の運命は決まるであろう。常識と良識を備えた左派でなければ、国民の支持は得られるはずがない。韓国で、「86世代」がリーダーシップを握れる時代は終わるであろう。
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