米財務省は22日、米国と中国との間で経済・金融分野の作業部会を設けると発表した。イエレン米財務長官が7月に訪中した際、中国の何立峰(ハァ・リーファン)副首相と設置で合意していた。次官級の定例会合を通じて対話の機会を増やし、偶発的な衝突を避ける狙いがある。中国側も国営中央テレビ(CCTV)が報じた。
米国はなぜ、中国へ手を差し伸べているのか。それは、中国経済が苦境に立たされており、それが世界経済へ波及することを食止めるためだ。
『ロイター』(9月12日付)は、「中国の経済問題、米国よりも近隣諸国に影響ー米財務次官」と題する記事を掲載した。
アディエモ米財務次官は11日、中国の経済問題は米国よりも近隣諸国に影響を与える可能性が高いと述べた。
(1)「CNNとのインタビューで、中国政府には経済に短期的に対応するリソースがあるが、人口動態や高債務といった長期的な経済構造問題に対応しなければならないと指摘。「このような問題への中国の対応は時間の経過とともにはるかに困難なものになる」とした。また、中国経済は「大きな逆風」に直面しているとし、「中国経済の減速は影響を及ぼすだろうが、そのほとんどは近隣諸国への影響だ」と語った」
中国は、人口動態や高債務といった構造問題を抱えている。これは、時間の経過と共に悪化していく。米国は、こういう事情を100%把握していることから、中国へのアドバイス役になろうとしている。累が、米国へ及ばないようにする予防手段である。
(2)「中国が保有する米国債を売却する可能性に関する質問に対しては「米経済の好調さを考慮すると、中国の景気減速が米国に与える影響よりも近隣諸国や欧州に与える影響をより懸念している」と回答。中国の一部の決定は特定の企業に影響を与えるだろうが、「米国には(中国に対する)エクスポージャーがある程度あるが、それは限定的なものだ」とした。さらに中国に対し経済を民間部門に開放するよう要請。それによって競争が生まれ、経済が活性化する可能性があるとした」
米国は、中国に対し経済を民間部門に開放するように要請している。それが、中国経済の生き返りに重要という認識だ。
(3)「ニューヨークのエコノミック・クラブでのイベントでは、「米国は中国の逆風に耐えられるだけの体制が整っている。しかし、心配しなければならないのは、近隣諸国、アジア諸国、そして中国から借り入れている多くの国々だ」とし、米政府はこの動向に細心の注意を払っているとした」
中国が倒れるような事態になると、アジア経済に波及してかつてのような通貨危機に陥る危険性が高まる。そういう混乱を未然に回避したいのが本音である。米国は、中国に対して「上から目線」になっている。
(4)「米国は、先端半導体の対中輸出規制や「フレンドショアリング」と呼ぶ友好国を重視したサプライチェーン(供給網)の見直しを進めている。米財務省は経済分野の作業部会について「米国の利益を損ねる中国の政策に対処し、中国が懸念を表明できるチャンネルを提供する」と説明した。作業部会の目的は「誤解や誤算を避けられるようにすること」(米財務省)だ。米国内では連邦議会などで中国への強硬論が根強い。政府間で複数の対話のルートを確保して、関係悪化に歯止めがかからなくなる事態を防ぐ」
米国政府は、議会の対中恐慌派を抱えて苦慮している面もある。中国政府と関係を密接にできれば、外交的にもプラスという判断だろう。在日米国大使に対して、辛辣な中国批判を避けるようにと対応しているほどだ。
(5)「金融分野は米財務省と中国人民銀行が主導し、金融規制や金融安定の問題、マネーロンダリング(資金洗浄)対策などで協力関係を強化する。イエレン氏は「2国間関係の重要な前進」と評価した。「米国の労働者と企業にとって公平な競争条件の経済競争を促進し、世界的な課題で協力する重要な場となる」とコメントした」
米中が、金融分野で連絡を密にするのは中国の金融危機への対応である。中国が、万一の突発的アクシデントに遭遇した場合、米国が支援する体制を準備する目的もあろう。事態は、ここまで悪化している。
中国の第2・四半期の前期比成長率は0.8%と、第1・四半期の2.2%から減速した。一方の米国は第1・四半期が1.6%、第2・四半期が1.2%で絶好調とは言えないまでも、本来もっと高いはずだった中国に対しては互角以上の数字になっている。
米中双方が今年初めに予測された事態とは異なり、予想外の展開になっている。米アトランタ地区連銀がリアルタイムの成長ペースの指標として算出するGDPナウによると、米国の第3・四半期成長率は年率換算で5.8%と、第1・四半期と第2・四半期の2倍以上に達する見込みだ。
逆に中国の成長率見通しは暗くなるばかりである。バークレイズのエコノミストチームは、第3・四半期と第4・四半期の予想成長率を前期比4.9%から2.8%にそれぞれ引き下げ、今年全体の予想は4.9%から4.5%に下方修正したほど。これは、中国政府が目標とする5%前後よりかなり低く、年間成長率が目標に届かないと見込む市場関係者は増えている。中国経済失速論の根拠になっている。


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