韓国ソウルでは、キリスト教会が「一人暮らしの青年」を対象に、無料で夕食を提供する慈善事業を始めた。生活が苦しい会社員を救済するというのだ。日本には、子ども対象にした「子ども食堂」がある。韓国では大人、しかも会社員へ無料夕食とは驚く。
こういう事態は、住宅ローン負担や株式投資の資金の返済などによって、生活が苦しくなっているのであろう。なぜ、日常生活を犠牲にしてまで借金をするのか。しかも、無料の食事へ群がるとは不思議である。社会人としての「矜持」を失っているようにみえるのだ。
『東亜日報』(11月14日付)は、「食費高騰で福祉館の無料食事を求める若者たち『月15万ウォンを節約』」と題する記事を掲載した。
「昨年より食費が50%増えて、月に100万ウォンまで使い、生活がぎりぎりです。もうここで夕食を食べる日だけを待っています」。11月7日午後7時ごろ、ソウルの教会で「一人暮らしの青年」を対象に無料で夕食を提供するところを訪れた会社員のハン某氏(31)は、チャーハンとわかめスープなどを配膳してもらいながらこのように話した。
(1)「この「一口でも食べて行け」事業は、毎週火曜日の夕方の時間帯に2時間、サンドイッチやコーヒー、フルーツ弁当などテイクアウトできるメニューも提供し、青年の間で口コミが広がっている。ハン氏は「最近のような物価高の時代に、一人暮らしの生活に耐えるのは容易ではないが、助けになる」と笑った。同日、教会を訪れた17人は、20代前半の新社会人から30代半ばの会社員まで多様だった」
20代前半の新社会人から30代半ばの会社員が、夕食を無料で食べることに抵抗感がないだろうか。無職であればともかく、給料をもらっている身で抵抗感がないとすれば、不思議である。
(2)「このように福祉館などが運営する飲食支援事業の現場を訪れる20代や30代の青年たちは、無料食事に対して遠慮がない。これまで基礎生活受給者や一人暮らしの高齢者など、貧しい階層を対象に無料食事を提供してきたが、物価高のために苦しんでいる青年たちも歓迎している。しばらく引きこもり生活を送ってきたという青年も、無料食事事業をきっかけに外出したという。この日初めて訪れたというハン某氏(28)は、「家にいて、食費でも節約しようと勇気を出してきた」とし、「久しぶりに人々と話ができて嬉しい。暖かい雰囲気がいいので、よく来ると思う」と話した」
物価高とはいえ、毎月の給料は振り込まれているはずだ。「羞恥心」がなく、無料であり「儲かった」という意識であれば、先が思いやられる。
(3)「同日のメニューに出てきたみかんを喜ぶ会社員もいた。「定時退社」してここに来たという公務員のチョン某氏(28)は、「最近、食費が上がって果物を買って食べるのが怖いほどだ」とし、「同年代の人々と挨拶することができ、元気ももらっている」と話した。一人暮らしの人たちが主に利用する冷凍食品を支援する事業もある。ソウル市が運営する恩平区(ウンピョング)ソウル青年センター「分かち合い冷蔵庫」は、毎月第2、第4木曜日に、即席ご飯の空き容器一つを持ってくれば、冷凍食品を1つずつもらえる。近くに住む大学生のキム某氏(26)は、「一度に5万ウォン分ももらった」とし、「リサイクル品として、月に10万ウォンは節約できて嬉しい」と話した」
大学生であれば、「親のすねかじり」である。無料の食事を感謝するのは理解できる。
(4)「単に食事のみ提供するのではなく、直接調理する食材と空間を提供するところもある。青年たちが集まって、自然に交流する機会まで作ってくれる。冠岳区落星垈(ナクソンデ)洞にある非営利団体が運営する「食卓サークル」は、共有キッチンに集まって一緒に料理した食べ物を食べる形で行われている。ここを訪れたアン・スンギュンさん(37)は、「月に10食はここで済ませ、15万ウォンは節約したようだ」とし、「毎回『一人飯』するのではなく、みんなで食事ができて心強い保護膜ができた気もする」と話した」
食材を無料で提供されることで、一月10食(3日分)の食費を浮かして15万ウォン(約1万7000円)得しているという。こういう「もらい癖」がつくことは、「タダほど高いものはない」と言われるように、品格を貶めることはないだろうか。
(5)「専門家たちは、このような食事支援事業が経済的支援だけでなく、青年の孤立も防ぐことができると話している。京畿(キョンギ)大学社会福祉学科のチュ・ウンソン教授は、「支出の負担が大きくなるほど、外部活動が難しく、孤立感につながりかねない」とし、「食事事業に参加した青年たちが、コミュニティを持続していけるよう、後続支援も必要だ」と話した。翰林(ハンリム)大学社会福祉学科のソク・ジェウン教授は、「地域で人気のある飲食店と協業したり、流行するメニューを披露し、青年たちが事業により簡単にアプローチできるよう誘導することも一方法だ」とし、「同年代や同様の環境に置かれた青年たちが多い大学街へと、事業を拡張する必要もある」と話した」
下線部は、「無料食事」賛成論である。天変地異が起こったときは当然としても、平常時にこうして「無料食事」を当然視するのはいかがなものか。
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