韓国統計局が11月30日、10月の鉱工業生産指数を発表した。季節調整済みで前月比3.5%低下した。半導体の減産を背景に、昨年12月以来最大の落ち込みとなった。このように韓国の鉱工業生産は、半導体の動向によって大きく影響を受けている。これは、半導体生産の減少をカバーできる産業がないことを意味している。これを受けて、消費・投資も前月比マイナスへ落ち込んだ
『中央日報』(12月1日付)は、「韓国、生産・消費・投資3カ月ぶりに再び『トリプル減少』」と題する記事を掲載した。
9月に一斉に増えた生産・消費・投資の3大指標が10月に入って再び同時に減少した。
(1)「今年、韓国統計庁が発表した10回の「産業活動動向」でトリプル変動(増加・減少)が起きたのは今回ですでに6回目だ。昨年トリプル変動が一度だけだったのと比べると異例の状況で、それだけ景気変動幅が大きくなったものという分析が出ている。30日、統計庁が発表した「10月の産業活動動向」によると、前月比生産(全産業生産)は1.6%、消費(小売販売)は0.8%、投資(設備投資)は3.3%減少した。産業活動を示す3大指標が全て減少したのは7月以来で3カ月ぶりのことだ」
韓国は、生産・消費・投資がトリプル変動している。生産の増減が、消費や投資の変動へ影響するという「底の浅い」経済ぶりを露呈している。10月は、3指標がすべて前月比マイナスに陥った。
(2)「生産動向を示す全産業生産については2020年4月(-1.8%)以来3年6カ月ぶりの最大幅減少となった。8~9月連続でプラスを示し好調を継続していたが、減少に転じた。特に製造業を含めた鉱工業(-3.5%)で生産が大幅に下落し、全体生産指数を下げた。政府は半導体部門の生産減少の影響が大きいと見ている。半導体生産は8月(13.5%)と9月(12.8%)連続で二桁の増加を見せたが、10月には前月比11.4%減少した。半導体の出荷も29%減少した。統計庁のキム・ボギョン経済動向統計審議官は「半導体生産と出荷が四半期末に集中し、四半期初めには反対効果で減少する様相を見せている」と述べた」
半導体の生産・出荷が、四半期末に集中している。この反動で、翌四半期初めには減少するというジグザグ模様をみせている。これは、半導体需要が弱いので、期末にまとめて生産・出荷している証拠だ。需要が旺盛ならば、期末に集中することなく期中にまんべんなく生産・出荷しているはず。いつ、こういう状態に戻るかである。
(3)「政府は今回、主要構成指標が下落したのは基底効果による一時的な動向に過ぎず、景気回復の流れは続いていると線を引いた。企画財政部のイ・スンハン総合政策課長は「全産業生産が2カ月連続で1%以上増加した事例は2000年統計調査の開始以来、計12回だけだったが、このうち2回を除いて3カ月目にはいずれもマイナスを示した」とし、今回も同じ流れだと説明した。すなわち、8月(1.9%)と9月(1%)に全産業の生産が大幅に増えた分、今回もその基底効果で自然に減少せざるを得なかったという意味だ」
生産は、8月と9月に増えて10月に減少している。ジグザグ模様だ。在庫調整を余儀なくされていることを意味している。韓国政府は、一時的動きとし景気回復の流れは続いているとみている。この見方は、正しいだろうか。
韓国銀行(中央銀行)は11月30日発表の経済見通しで、2024年の国内総生産(GDP)の実質成長率を8月時点の2.2%から2.1%へ下方修正した。24年成長率の下方修正は3回連続。高金利下の景気低迷で民間消費と建設投資が振るわず、韓国経済の先行きに暗雲が垂れこめている結果だ。政府見通しは、楽観的であろう。
(4)「専門家は、産業指標の変動性が大きくなった部分は憂慮すべき点だと指摘した。今年発表された産業活動動向で1・7・10月は「トリプル減少」が、2・5・9月は「トリプル増加」が続いた。統計庁の説明のように半導体の生産・出荷サイクル通りに変動幅が続いている形だ。漢陽(ハニャン)大学経済学科のハ・ジュンギョン教授は「以前はこのような流れが見られなかったのに出ているということは、他の指標が半導体の変動幅を相殺できていないということ」と指摘した」
生産・消費・投資は、今年に入って1・7・10月は「トリプル減少」、2・5・9月は「トリプル増加」という判で押したような動きである。増産しても在庫増で減産するという連続で、消費や投資もこれを反映している。これは、輸出動向が大きな影響を与えている結果である。
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