カナダは、22年11月に発表した新たなインド太平洋戦略で、中国を「破壊的なグローバルパワー」と位置づける一方、台湾との関係強化を打ち出した。それから1年経って、台湾との投資協定交渉を妥結させた。台湾は、これを足がかりにTPP(環太平洋経済連携協定)加盟へつなげたいとしている。24年は、カナダがTPP議長国である。台湾は、グッド・タイミングと歓迎している理由だ。
『ロイター』(12月22日付)は、「台湾、カナダと投資協定調印 CPTPP加盟に弾み期待」と題する記事を掲載した。
(1)「台湾当局とカナダ政府は22日、投資促進保障協定に調印した。中国からの軍事・政治的圧力の高まりに直面する台湾は、同じように民主主義を信奉するパートナーとのビジネス関係を強化しようとしている。台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」加盟に弾みが付く可能性もある」
カナダと台湾の投資協定は、今年2月に協議を開始した。それから10ヶ月程度で調印へ漕ぎつけるという超スピードぶりだ。息の合った協議であったことを示している。
カナダ政府は昨年11月に新たなインド太平洋戦略を公表した。軍事力強化やサイバーセキュリティー対策に23億カナダドルを投資し、「秩序破壊的」と見なす中国への対応を打ち出していた。今回の台湾との投資協定は、この一貫であることを示している。
カナダは、台湾との投資協定の交渉開始に当たり、「外国投資促進・保護協定」に向けた台湾との正式協定で、次のような目的を掲げた。「新たな投資機会を確かなものとし、持続可能な成長を支え、新しいカナダと台湾の協力関係を築き、良質で賃金が良い雇用を確保するために取り組んでいる」とのコメントを出した。カナダと台湾の間の貿易総額は、2021年に102億カナダドルとなり、前年の74億カナダドルから37%も伸びている。
(2)「台湾の行政院(内閣)経済貿易談判弁公室は10月に協議が完了していたこの協定について、「大きな歴史的意義」を持つと指摘した。同弁公室によると、台湾の曽厚仁駐カナダ代表は調印式で「サプライチェーン(供給網)の結び付きと強靭性がさらに強化され、世界のサプライチェーンにおける台湾の重要性を際立たせるだろう」と述べた」
台湾にとって、カナダとの投資協定調印はTPP加盟へのステップとして大きな意義を持っている。日本と豪州は、中国のTPP加盟に「否定的姿勢」をみせている。さらに英国やカナダもこれに同調することは確実である。台湾加盟への距離が、縮まっていることは否定できまい。
(3)「事実上の在台湾カナダ大使館に当たる「カナダ在台北貿易事務所」はフェイスブックで「カナダと台湾のビジネス取引に予測可能性をさらにもたらし、両経済体の相互繁栄に資するだろう」と指摘した。台湾はこれまで、この協定がCPTPP加盟につながることを期待していると表明している。CPTPP巡っては、カナダが来年の議長国を務める。中国も加盟を申請している」
駐モントリオール弁事処が、12月4日に業務を開始した。台湾が、カナダに設けた4つの拠点(オタワ、トロント、バンクーバー、モントリオール)の一つである。今後の業務として、カナダとの関係強化、北米のフランス語圏との連絡強化をはかる。
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