窮地に立った韓国左派
世論が86世代を忌避
高賃金で企業ゾンビ化
朝鮮は李朝時代に、約500年間も政治・経済面で中国の本格的な支配下にあった。韓国は、これによって思想面でも中国の強い影響を受けてきた。その残滓は今なお、韓国左派に多く受け継がれている。左派といえば、一般的にリベラリズムを想定するが、韓国左派は中国への回帰を願望とする民族主義の立場だ。これは、「中国が世界の中心」という中華思想に深く染まった結果である。
韓国では、朝鮮戦争の影響もあって共産主義を禁じている。こうして、共産主義政党が存立できないことから、左派の政治信条には共産主義への共鳴が隠されている。文在寅政権が、南北融和を強く打ち出した背景には、「隠れ共産主義」という左派の特色が全面的に現れたとみるべきだ。文在寅氏の両親は、北朝鮮出身であった。望郷の念が強かったことは当然で、それが文氏の政治行動へ強く影響したと思われる。
韓国左派は、中国や北朝鮮へ一体感を持つ一方で、日本や米国へは厳しい目を向けてきた。とりわけ日本への敵視政策は度を超えていた。韓国は、日本の朝鮮植民地になった約35年間の統治を、中国による500年の支配よりも恨む逆立ちの論理を展開している。中国との間には、儒教という精神的紐帯が存在した。中国による「支配=同化」が、麻薬になって美化するのであろう。日本との間には、近代化=合理性の規則が立ちはだかる。朝鮮は、日本を「夷狄=異敵」という認識を強めて対抗した。この関係が、韓国独立後も続いてきたのである。
窮地に立った韓国左派
韓国左派は、こうした歴史的な因縁がからんで中国と日本へ全く異なる対応をしてきたが、今やそれが「精算」されざるを得ない羽目になっている。中韓貿易の流れに、激変が起こっているからだ。23年の貿易状況によれば、韓国の対中貿易が31年ぶりに赤字へ転落した。一方、米国は21年ぶりで最大貿易黒字国へ浮上したのである。いわば、「中国が沈み、米国が浮上」という典型的な変化が起こっている。その詳細を次にみておきたい。
23年の韓国輸出額は、前年比7.4%減となった。このような輸出不振は、1位の対中輸出が急減したからだ。23年の対中輸出は、22年より19.9%減った。2022年6月から19カ月連続のマイナス状態が続いているのだ。中国との貿易収支は、中韓修交の1992年から31年ぶりに180億ドルもの赤字へ落ち込んだ。
問題は、この落込みが一時的かどうかという見通しに関わる。韓国最大の輸出品は半導体であるが、中国も低級品の半導体で世界中へ「大攻勢」を掛けている。中国は、世界中の低級半導体製造設備の中古品まで買いあさって、この分野では世界シェアの半分を手中に収める戦略とみられる。この結果、韓国が対中輸出において低級品半導体で稼げる時代は終わった。先端半導体の対中輸出は、米国から規制が掛っているので輸出不可能である。
他の中間財では、中国の技術水準が上がっている点が注目点である。従来、日本・韓国・中国の輸出品目では、日本=高級品、韓国=中級品、中国=低級品という棲み分けができていた。だが、中国の技術が向上して韓国のレベルへ急接近している。こうして、韓国製品は中国市場でも競争力を失ってきた。この現象が、23年は顕著になったのである。韓国化粧品は、中国でも高い人気であったが最近、中国国内でも韓国製品に劣らぬ化粧品が登場しているほどだ。
中韓の貿易関係は、こうして補完関係から競争関係へ移ったとみられる。中国の韓国への依存度が減った結果、韓国は対中貿易で上げてきた黒字構造も消えたのである。これに対して、米国、欧州連合(EU)、中東、独立国家共同体(CIS)の4カ所の輸出は急増した。
なかでも、23年の対米貿易黒字は445億ドルになった。前述の通り、対中貿易赤字は180億ドルだ。米国は21年ぶりに韓国の最大貿易収支黒字国になったのである。その上、昨年12月の対米輸出額は113億ドルで対中輸出額の109億ドルを上回るほどに急成長した。23年通年では未だ、中国が輸出全体のうち19.7%を占め、米国の18.3%を若干上回っている。その差は、急激に縮小している。24年の対米輸出は、1位を占める公算が強いのだ。
世論が86世代を忌避
韓国左派はこれまで、「経済(貿易)は中国、安全保障が米国」という二本立てによる韓国国益論を唱えてきた。この常套句が、対中貿易の赤字化によって崩れることになれば、韓国左派は今後の政治行動をどのように変えるのか。転換点に立たされていることは間違いない。
日本は23年8月末から、福島原発処理水の海洋放出を実施した。これは、IAEA(国際原子力機関)という国際機関の承認の下で行われたが、韓国左派と中国が執拗なまでに反対した。韓国左派は、反対運動で駐韓中国大使を巻き込み、中国と「共闘」する異常行動に出たのだ。文政権時代は了承した案件であるにも関わらず、左派が過激な振舞をしたのは、韓国左派に根強い「中韓パイプ」の存在を誇示したともいえる。
だが、反対運動は失敗した。これに追随する國が現れなかったのだ。韓国左派が、中国と気脈を通じていることを自ら世界へ暴露する結果に終わったのである。自爆行為である。(つづく)
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