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中国企業は、不況乗り切りで従業員の給与を引き下げるげるという荒っぽさをみせている。昨年は、ホワイトカラーの3分の1がこの憂き目にあったという。日本では、これまでに賃上げゼロという話が聞かれたが、賃下げまでは踏み込まなかった。中国の不況がいかに深刻であるかを示している。

 

『ブルームバーグ』(1月31日付)は、「中国のホワイトカラー、昨年は3分の1近くが減給ー過去6年で最多」と題する記事を掲載した。

 

中国のオフィスワーカーの3分の1近くが、昨年の給与は減少したと回答したことが、オンライン求人サービス、智聯招聘の調査で分かった。この割合は、少なくとも過去6年で最も高く、世界2位の経済大国である中国における根強いデフレ圧力が鮮明となった。

 

(1)「昨年、調査対象となった中国のホワイトカラー労働者のうち、32%が減給されたと回答した。ブルームバーグの集計データでは、少なくとも2018年以来の高水準である。給与が横ばいだったとの回答は約19%。増えたとの回答は44%強と19年以来の高水準となったが、新型コロナウイルス禍前の数字にははるかに及ばなかった。乖離(かいり)の拡大は、労働市場の格差が広がりつつあることを示唆している。中国で賃上げを手控える雇用主が増えており、デフレ長期化につながりかねないことを示唆している」

 

この記事は、ややこしい表現なので整理しておく。

減給  32%

横ばい 19%

増えた 44%

 

減給32%の一方で、賃上げ44%と格差が広がっている。産業界の景況が「マダラ模様」であることを示しめている。24年は、減給比率と横ばい比率が高まれば、個人消費不振へとさらに圧力が掛るであろう。

 

(2)「中国の消費者物価は、昨年12月に3ヶ月連続で低下し、09年以来最も長期の下げを記録。ブルームバーグが公式データを基に計算したところでは、国内総生産(GDP)デフレーターは23年10~12月(第4四半期)に3四半期連続のマイナスとなり、1990年代後半以来の最長を記録した」

 

デフレーターは、諸物価指数の合計である。正常な経済軌道であれば、プラスになる。それがマイナスとは、物価の下落を示すもので需要不足経済であることを物語る。中国のデフレーターは、昨年4~6月期以来3期もマイナスであった。過去のデフレーター記録を見ると、1998年にマイナス1.1%、99年にマイナス1.3%を記録している。2023年のデフレーターは、マイナス0.6%だ。実に24年ぶりのマイナス記録である。中国経済が、厳しい状況にあったことを示している。

 

(3)「智聯招聘は調査報告書で、ホワイトカラーの給与の変化は激しい競争の経済環境にあって、恵まれた条件でスタートした者は時間の経過とともにさらに優位に立ち、不利な状況でスタートした者はますます不利になるという、顕著な「マタイ効果」を示していると指摘した」

 

「マタイ効果」とは、富める者はますます富み、貧しき者はさらに貧しくなるという聖書からの由来とされる。この言葉が、このパラグラフに登場したのは、給与が上がる層と賃下げされる層が一段と鮮明になるだろうという中国経済の実態を示唆している。これは、中国経済がさらに不況局面へのめり込む危険性を指摘するものでもある。

 

中国では、中間層の没落が始まっている。中国の李強(リー・チアン)首相は1月17日、スイスでのダボス会議で、「現在、中国の中間層は約4億人余りで、今後10年で倍の8億人に達するだろう」と発言している。中間層とは、世界銀行の定義によると1日平均所得が10〜100ドルの層である。中国の年間所得では約2万6000~26万元に相当する。26万元とすれば546万円である。この層が、10年後に8億人になるという。

 

だが、500万円台の中間層が現在の2倍まで増えるというのは、当てずっぽうな話で信憑性がない。不動産バブル崩壊で持ち家価格が下落しているからだ。家計資産の70%が住宅である。都会に住む市民の97%が住宅投資をしている。バブル崩壊で大きな痛手を受けているのは間違いない。中国の中間層は、分解しているはずだ。