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中国政府は、景気テコ入れ策で混迷している。不況の原因が、過剰な住宅建設にあることを棚上げしているからだ。中国政府は1月31日、地方政府に対し科学技術革新のために中央政府から割り当てられた資金を、債務返済や年金、公務員給与などに流用しないよう求める異例の通達を出した。これは、地方財政がいかに逼迫化しているかを物語っている。

 

財政省と工業情報化省は、「科学技術の改革と発展を目的とした国家の主要政策を完全に実施し、自らの力による革新を推進し、科学技術革新のための能力を高めるよう全ての地方政府に求める」としている。これは、中国政府の経済改革の基本方針を示したもので、需要対策を棚上げしている。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月31日付)は、「中国の不動産不況 終息なお遠く 恒大清算でも」と題する記事を掲載した。

 

中国の不動産危機を象徴する存在だった中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が一つの幕引きを迎えた。だが、恒大が転落する引き金となった混乱はまだ終わっていない。

 

(1)「今年も昨年と同様、じわじわと進行する不動産部門の崩壊がもたらす打撃の深刻さが顕著になるとみられる。世界経済は3年連続の成長鈍化が見込まれる中、中国は景気浮揚策を模索している。中国に関しては、貿易を巡る米国との緊張や、国内人口の減少といった話題が注目を集めるものの、エコノミストの多くが指摘するのは、不動産部門が抱える根深い問題や経済全体における同部門の重要性を考えれば、当局者にとって不動産は経済分野の主要課題であることに変わりはないということだ

 

下線部は、重要な指摘である。EV(電気自動車)・電池・太陽光発電の3事業の振興の前に、不動産問題の解決を急ぐべきである。習氏は、問題の重要性の順序を間違えている。

 

(2)「エコノミストらは、不動産部門を安定させ、同部門の問題が経済全体の足を引っ張ることを防ぐには、当局者らはこれまでよりも大胆な行動に出る必要があると指摘する。特に、中国の消費者と、資金繰りに窮する地方政府への対応に注目が集まる。マッコーリーの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「中国の経済動向を予測することは、住宅市場がいつ底入れするかを予測することにほぼ等しい」と述べる」

 

中国経済の予測は、住宅市場の底入れ時期を予測することと同じである。

 

(3)「不動産部門の苦境は中国の経済成長への直接的な影響だけでなく、個人消費の足かせにもなっているとエコノミストの多くが指摘する。住宅価格と販売の低迷は家計を圧迫し、消費者の間では現金をため込む傾向が強まる。もう一つの問題として、不動産不況は地方政府の財政を圧迫した。地方政府は収入が減り、中央政府が成長目標達成に向けた重要な手段とみなすインフラ投資に資金を向ける余裕がなくなった

 

地方政府は、住宅不況に直撃されている。土地売却収入が減っているからだ。こういう異常な歳入構造で、中国経済が動いてきたこと自体、卒倒するほどの驚きである。

 

(4)「当局は、不動産部門の刺激策を小出しにしている。一部の都市では住宅購入の規制を緩和し、金利引き下げによって銀行の融資を後押しした。それでもなお、住宅の新規着工、完成、販売など一連の指標はすべて、不動産部門の深刻な低迷を示す。価格規制によって、中国の主要都市の住宅価格は公式には2021年のピークからわずかな下落にとどまっている。エコノミストの多くは、住宅価格は実際にはもっと大幅に下落したと見積もっている。ゴールドマン・サックスの中国担当チーフエコノミスト、ホイ・シャン氏は「全国的に価格は20%程度下落したとみる」と述べた」

 

官製の住宅統計は、全く信用できない。高額物件である住宅価格の変動幅が、1%単位であるはずがない。統計操作は明らかだ。

 

(5)「中国のマンションは通常、購入者が代金を支払った後に建設されるため、一部のエコノミストは、政府は未完成物件の建設を確実に終了させ、潜在的な購入希望者を市場に呼び戻す必要があると指摘する。ノムラの中国担当チーフエコノミスト、ティン・ルー氏は29日に顧客向けのメモで、「販売済み住宅の引き渡しを後押しするために、中央政府が特別基金を設立することが短期的には最善の政策になる」との見解を示した。ムーディーズ・アナリティクスの中国担当シニアエコノミストのカトリーナ・エル氏は国内リスクという点では、依然としてわれわれは不動産市場を最も注視しているといっていいだろう」と語った」

 

中国経済の最大リスクは、不動産市場にある。不動産市場の動きをウオッチしていれば、大勢を理解できるだろう。