今年7月に予定されているパリ・オリンピックの球技で、韓国代表は次々と出場権獲得に失敗している。男女のバスケットボール、男子ハンドボール、女子サッカーはすでに予選敗退し、男女のバレーボールも出場は事実上無理な状況にある。パリ大会出場が決まっているのは女子ハンドボールくらいだ。
背景にあるのは、少子化による選手層が手薄になっていることだ。高校スポーツでは、すでに部員不足で練習もままならない事態を迎えている。韓国の少子化が、いかに深刻であるかを示している。球技の韓国代表は、前回の東京大会で男子サッカーと女子のバスケットボール、バレーボール、ハンドボールの4種目で世界の強豪と互角に戦った。だが、パリでは2種目出場できるかどうかも危うい状態である。
少子化で必要な選手の数が集まらなくなっている事態は、韓国経済の将来性に影響する問題である。必要な人材を集めることの困難さに通じているからだ。3年前の東京五輪ではなんとか体裁を整えられたが、今年のパリ五輪では、選手に数合わせも困難になっている。韓国の経済成長率低下の前兆とみるべき現象であろう。
『朝鮮日報』(2月10日付)は、「少子化で選手不足、世界で存在感を失う韓国の球技」と題する記事を掲載した。
特に球技において、韓国が世界の舞台で存在感を失いつつある最も大きな原因は選手不足だ。少子化はスポーツ界にも深刻な影響を及ぼしている。ホッケーは昨年の時点で韓国国内の登録選手数(大韓体育会)は1638人(女子594人)で、これは欧州各国の10分の1ほどだという。他の種目も同じような事情を抱えている。
(1)「昨年12月、大田市中区の大田女子商業高校体育館を取材したところ、2人のバスケットボール部員が練習していた。バスケットボールのコートはプロ・チーム・レベルだが、実際このコートを活用するバスケットボール部員はいない。これまでこの高校ではバスケットボール部員は6-7人と決して多くはなかったが、それでも部そのものは何とか存続してきた。ところが、今ではそれも難しくなっている。昨年は部員が5人いたので何とか大会に出場できたが、うち3人が今年卒業し、入学が決まっている部員は現在1人もいない。コーチのイ・イェナさんは「まずは1人か2人でも登録し、バスケットボール部の廃部を食い止め、1年かけて選手を集めようと考えている」と述べた」
高校で、バスケットボール部員がいなくなる事態を迎えている。選手集めが、コーチの仕事になった。
(2)「コーチたちは小中高校に熱心に出向いているが、そこでやる仕事は才能ある選手の発掘ではなく、選手そのものを集めることに変わった。才能ある選手がどこかに1人でもいることが分かれば、その選手を連れてくるため各校の競争が始まる。まず身長が高いだけで無条件に注目が集まる。群山高校バスケットボール部コーチのチェさんは、昨年光州まで出向き、バレーボールをしている中学生をバスケットボールに転向させるため4-5回出張して説得を続け、ついに成功した。バスケットボールがうまいか下手かは関係ない。まずは人数を集めることが大きなハードルのため、選手のレベルも全体的に下がっている。あるバレーボール関係者は「最近高校を卒業した選手たちの実力は20年前の50%ほどだ」と語る。世界の舞台で韓国代表が苦戦する大きな理由がここにある」
才能ある選手を選ぶのでなく、ともかく入部してくれる部員捜しが最大の仕事になった。最近、高校を卒業した選手の実力が20年前の50%ほどとされる理由は、選手層の手薄にある。
(3)「少子化は、もちろん韓国だけの問題ではないが、特に球技でその競技レベル低下をもたらしている理由は各種目の中央競技団体による選手育成プランや戦略が不十分な点も大きい。あるバスケットボール関係者は「韓国の世代別代表チームは試合がある時に招集され、わずか数日の練習で呼吸を合わせて大会に出場するケースが多い。これに対して日本は1年中、随時代表候補が集まり一緒に練習するので、チームスポーツの特性から考えて組織力の面でどうしても差が出る」と指摘する。かつて韓国代表はどの世代もアジアでは比較的高い身長や個人技で有利に試合を進めることができた。ところが最近は選手層が薄いため、組織力を高めなければ国際大会で存在感を発揮できなくなっている」
韓国代表はかつて、どの世代もアジアで比較的高い身長や個人技で有利に試合を進めることができた。最近は選手層が薄いため、組織力を高めなければ国際大会で存在感を発揮できなくなっている。韓国スポーツの岐路は、韓国経済の分岐点に結びついている。
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