a0070_000030_m
   

中国が、地政学的リスクを抱えていることから、世界の風向きは大きく変わってきた。中国への関心が消えて日本が浮上していることだ。中国は、GDP世界2位の座にあるにもかかわらず、不動産バブル崩壊で瀕死の重傷を負っている。香港は、中国に強制的に吸収されて経済的な輝きも全て失った。復活する日本への関心が、一段と高まっている。

 

『ブルームバーグ』(2月9日付)は、「スウィフトもメッシも日本に、東京が変貌」と題するコラムを掲載した。

 

2月7日の午後8時半ごろ、テイラー・スウィフトが東京ドームで4夜連続公演の初日を迎え、熱狂的な5万5000人のファンのために歌っているとき、サッカー界のスーパースター、リオネル・メッシ選手がわずか2キロ離れた国立競技場のピッチに立った瞬間があった。香港の人々は、スウィフトが公演開催を見送り、メッシが現地での試合に出場しなかったが、羨望のまなざしを東京に向けているのは間違いない。

 

(1)「2人の世界的スーパースターが同時に来日したことは単なる偶然だが、それでもこの出来事はこの地域のパワーシフトを象徴している。かつては見過ごされていた東京が、アジアで最も魅力的な訪れるべき都市へと変貌を遂げたのは間違いない。金融ハブ競争の中であまり注目されなかった東京に熱い視線が集まっている。8日の株式市場はまたもや34年ぶりの高値で引け、昨年12月時点で東京都内の有効求人倍率が1.74と、あらゆる種類の指標がポジティブだ」

 

日本は、「失われた30年」からの見事な復活である。高齢社会の先頭を走ってきたが、気づいたら、多くのアジアの国も同じ状態になっている。日本だけの現象でなかったのだ。それは、相対的意味での日本の強みでもある。

 

(2)「東京は、新型コロナウイルス禍後でもオフィスは活況を呈し、外国の大都市とは対照的だ。投資家もインフルエンサーも、今の東京に驚きを隠せないでいる。日本経済の低迷を悲観するニュースの見出しが続いてきたこれまでの数十年とは様変わりだ。都市は、どうあるべきかという議論の俎上(そじょう)に載りやすいのが東京だ。私が、来日する外国人からよく聞くのは、いかに多くのことが思い通りに機能しているかということへの驚きだ。いまだに現金でしか支払いができない小売店や飲食店が多いとかWi-Fiがないという不満は、定時運行の電車やリーズナブルで質の高いレストラン、犯罪やホームレスが少ないという評価に変わった」

 

東京は、インフラが整い交通機関が定時に運行される数少ない都市である。安全で清潔であることが、世界の観光客を集めている理由である。

 

(3)「英語圏のネット上で、日本の都市は左派の理想(優れた公共交通機関、自家用車不要、安価な医療サービス、手頃な住宅の多さ)と右派の理想(犯罪に対する寛容度の低さ、大量移民に対する慎重姿勢、核家族への強いサポート)の多くを満たしていると称賛されているのは興味深い。その理由の多くは、中国当局が中国本土や香港に住む魅力を低下させたことにある。香港に駐在していた外国人は大挙して香港を脱出した」

 

日本は、世界で最も早く超高齢社会へ突入したので、「左派の思想」が主張するインフラも「右派の思想」の主張も全て叶えている。これは、日本人自身が気づいていないことだが、「世界最強」と言える。中国が最近みせている混乱とは好対照だ。

 

(4)「一方で、東京の良さが見直されている。最近ではあまりにも多くの観光客が、日本を訪れるため、オーバーツーリズムが深刻な社会問題になる危うさもある。特に東京は、コロナ前より約30%高い水準で観光客を集めている。まだ年間訪⽇外客数がコロナ前の水準に完全に回復していないにもかかわらず、観光庁が発表した2023年の訪日外国人旅行消費額(速報値)は5兆2923億円と、過去最高を記録した。中国やアジアの他地域からの富の流入によって、東京や大阪などの大都市ではマンション価格がバブル期の高値を上回るなど、住みたい場所としての人気も一段と高まっている。そして皮肉なのは、こうしたこと全てが東京の魅力を際立たせていることだ。スウィフトとメッシが同じ時期に東京にいたことなど、来週には誰もがすっかり忘れていることだろう」

 

日本は、世界観光で最高のランキングに入っている。安全・安心・低コストが、人気を呼ぶ理由である。スウィフトとメッシが、同じ時期に東京にいたことは偶然である。だが、その背景をみると、二人が同時に東京へ現れたのも不思議ではない。