韓国の政治状況は、与野党が泥仕合に明け暮れるという異常な事態にある。現在は、昨年11月の韓国ユーチューブで、大統領の金夫人が米国で高級ブランド「ディオール」のバックを授受した疑惑を報じられ、与党を巻き込む騒ぎにまで発展して。
事件の顛末は、「ディオール」を贈った韓国系牧師が、「米国で金夫人の父親との縁を強調して意図的に接近した」というものだ。ディオールを贈与される現場写真が、隠しカメラで撮られていたことから、夫人を窮地に追込む政治意図で行われたことは明白である。韓国政界では、こういうスパイもどきの話がごまんと転がっている。陰湿な世界である。
こういう政界の混乱浄化を目的に、右派と左派が連合して「第三極」を目指してスタートする。過去にもこのような動きはあったが、成果を出せずに空中分解で終わった。今回は、息の長い取組みで左右両派の対立を乗り越えた勢力になれるのか、である。
『中央日報』(2月10日付)は、「第三地帯の4党がひとつに…統合新党の名称は『改革新党』」と題する記事を掲載した。
第三地帯の4つの新党が合流を宣言した。党名は「改革新党」とし、李洛淵(イ・ナギョン)・李俊錫(イ・ジュンソク)共同代表が率いる最高委員会が指導部を務める。
(1)「李洛淵元首相を中心にした「新しい未来」と李俊錫氏が率いる「改革新党」、李元旭(イ・ウォンウク)・趙應天(チョ・ウンチョン)議員の「原則と常識」、琴泰燮(クム・テソプ)元議員の「新しい選択」は9日、国会で記者会見を開き、第三地帯の党が合流して統合新党を発足すると明らかにした。金鍾民(キム・ジョンミン)新しい未来共同代表は「多くの方々が第三地帯の政党統合を念願し求め、また少なくない方々がそれぞれ異なる背景の政治家たちが共にすることに対して心配もした」とし「今回の総選挙で両既得権政党を超える新しい希望、未来を開かなければならないという一念で懸念や心配をすべて抱えて大統合を決断した」と明らかにした」
李洛淵元首相は、文政権で最初に首相を務め、前回の「共に民主党」大統領候補を李在明氏(現「共に民主党」代表)と争い僅差で大統領選出馬が叶わなかった経緯がある。李在明氏のような過激な言動をせず左派でも穏健派だ。李俊錫氏は、右派の元「国民の力」代表で先の大統領選では、尹錫悦大統領当選で功績を挙げたものの、30代という若さが「国民の力」内部から嫌われ排斥される苦汁を味わう結果となった。
李洛淵氏と李俊錫氏は、国民の支持を得た過去の実績があるので、現在の左派・右派に不満な中間層を中心に、どの程度まで支持率を上げられるか関心が集まっている。4月10日の総選挙で、議席が得られるかである。
(2)「続いて、「国民が今回の総選挙を通じて両既得権政党の傲慢と独善、衛星政党をはばからないで推進する既得権政党の反則に対して峻厳な審判をしてほしい」とし「第三地帯統合新党に票を集めてほしい」と訴えた。総選挙を指揮する総括選挙対策委員長は李洛淵共同代表が務める。最高委員は4つの勢力がそれぞれ1人ずつ推薦することにした。彼らは連休直後の早い時期に統合合党大会を開催する計画だ。金勇男(キム・ヨンナム)政策委議長は党名を李俊錫代表が率いる既存の「改革新党」に決めた背景について「合意文発表記者会見の時間がずれ込んだ理由は党名決定と関連している」とし「新しい未来の李洛淵共同代表の度量の大きな譲歩と決断があった」と説明した」
李洛淵氏は、新聞記者時代に東京で特派員生活を送っている。日本政界にも一定のつながりがあるとされる。ただ、文政権時代の「反日運動」ではこれを止める動きはできなかった。
(3)「金鍾民共同代表は「全体的に見ると、党名は既存の改革新党からはやや優先権(を持つか)あるいは有利な決定だと見ることができるが、党全体を運営するところにおいては4つの勢力が力を集めて共にしようという合意が含まれている」とし「統合の意味が党名のために退色したり揺れたりする必要はない」と強調した。また李洛淵共同代表が総括選対委員長を務めることになったことについては「首相や党代表の経験もあり、大韓民国で最もよく知られている」とし「総選挙戦略に必要という点で意見を集約した」とした」
問題は、寄り合い所帯だけに韓国特有の悪い癖が出て喧嘩を始めることだ。李洛淵氏は、そういう争いを仲裁する役割も果すであろう。李在明氏の大統領当選は、絶対阻止という強い信念を持っている。
(4)「李元旭議員は、「李俊錫代表と李洛淵代表は方向性が異なる。今回の選挙で老壮層の調和がとれた指導部が構成され、方向性野異なる支持層を最大化する必要があるという意味で共同代表と総括選対委員長体制を李洛淵氏にお願いした」と説明した。続いて「李洛淵代表はそのようなことは引き受けないで、すべての肩書から自由になってやりたいとも話していたが、われわれがお願いして引き受けることになった」と説明した。今後、李洛淵、李俊錫両代表の総選挙地方区出馬の可能性も考えられる。金鍾民共同代表は「2人は出馬に対して考えがある。近くそれぞれ発表するだろう」としながら「統合過程で議論されたものはない」と明らかにした。李元旭議員も「出馬が統合の前提条件ではなかった」と話した」
韓国では、右派と左派が相乗りする政党が続くのかどうか。互いに我を張って争い始めたら際限がないからだ。韓国の迫り来る危機が、こういう争いを乗り越えさせるのか、だ。
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