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政府、労働界、経済界の代表らは11日、NHKの討論番組で2024年春闘について議論した。連合が求める23年を上回る賃上げに対し、経団連の十倉雅和会長は「実現しなければいけないし、できると期待している」と述べた。連合の芳野友子会長は「中小・小規模事業者、非正規雇用労働者の(賃金)底上げがどのくらいできるかに焦点を置いて交渉を進める」と強調した。

 

『ブルームバーグ』(2月9日付)は、「初任給の大幅引き上げに動く日本企業、日銀の政策正常化を側面支援」と題する記事を掲載した。

 

新卒や若手社員の給与を大幅に引き上げる日本企業が相次いでいる。賃金全体を押し上げる持続的なモメンタム(勢い)の形成につながる可能性があり、金融政策の正常化に向けて「賃金と物価の好循環」を注視する日本銀行にとっても歓迎すべき動きだ。

 

(1)「第一生命ホールディングスは2024年度の新卒の初任給を約16%、野村ホールディングスでは入社3年目までの若手社員を対象に平均16%引き上げる計画を発表した。中にはこれをさらに上回る企業もあり、東京エレクトロンは初任給を約40%、アシックスは同24%引き上げると報じられている。いずれも日本の平均賃上げ率やインフレ率よりもはるかに高い」

 

東京エレクトロンは初任給を約40%、アシックスは同24%引き上げると報じられている。大企業が、人材を求めて積極的な賃上げ姿勢をみせている。これまでの「渋い態度」がウソのような大盤振る舞いをしている。内部留保をしっかり溜めてきたから可能なのだ。

 

(2)「若者の労働力不足は特に深刻で、若年層はその恩恵を受けている。厚生労働省の調査によると、昨年の20~24歳の就業者数は約450万人と、過去30年間で36%減った。少子高齢化が年々進む日本では、初任給の引き上げは傾向として続く可能性が高く、向こう数年間にわたって賃金水準の底上げに貢献しそうだ」

 

20~24歳の就業者数は昨年、約450万人と急速に減っている。日本では、大卒を一括採用する習慣であるから、初任給を大幅に引上げて「採用競争」に勝たねばならない。今後、数年間は初任給上げ競争が激化するという。賃上げ率が、消費者物価上昇率を上回る時代がようやく実現する。


(3)「日銀は1月公表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、女性や高齢者による労働参加の増加ペース鈍化も背景に「労働需給の引き締まりは進み、賃金の上昇圧力は強まっていく」との見通しを示した。昨年12月の有効求人倍率は1.27倍で求職側に有利な状況が続いている。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、「去年よりも今年の方が人手不足感は強まっている」と指摘。売り手市場で求職者の条件がますます有利になり、「給料も上げないとなかなか人が入ってきてくれないという状況が続く」と語った」

 

初任給が低い企業は、定期採用が困難になってきた。これで、日本の労働市場流動化が進むだろう。転職者の受け入れが活発化するからだ。日本の年功序列・終身雇用制は、こうして崩れるであろう。

 

(4)「企業は、特に新卒採用に気を配っている。労務行政研究所の調査によると、23年度は東証プライム上場企業の70.7%(速報値)が全ての学歴で初任給を引き上げた。22年度は41.8%(同)だった。伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、特に若年労働力が足りなくなるため、「競争はより一層激しくなると考えるべきだ」と述べた。その上で、「グローバル競争の面でも初任給は引き上げていかないと確保がどんどん厳しくなることが予想される」とし、初任給はかなりのペースで上がっていくとの見方を示した」

 

23年度で初任給引上げは、東証プライム上場企業の70.7%である。意外と低い感じもする。24年度は、100%に達するであろう。

 

(5)「既に賃上げを表明している企業は、大企業に多く見られる傾向がある。だが、中小企業が過半を占める国内最大の産業別労働組合のUAゼンセンによれば、こうした動きは中小企業でも起こりつつある。約180万人の組合員を有するUAゼンセンの松浦昭彦会長は、賃上げは「違うレベルで同じようなことが起きている」と指摘。「経営者としては若い人を引き留めたいし、採用したいしという中で、わずかな原資が初任給の方に回る傾向は見られる」と語った」

 

中小企業も賃上げに動いている。そうしなければ、社員の採用が難しくなったのであろう。日本中が、人手不足に直面して賃上げに動き始めている。高度経済成長期が、再来したという印象だ。