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共産党が中長期的な経済政策を討議する中央委員会第3回総会(3中総会)は、23年終盤に開催されるとみられていた。だが、未だに日程すら決まっていないという惨憺たる状態に追込まれている。景気の現状が悪すぎて、将来の計画が立たないのだ。

 

『ロイター』(2月23日付)は、「中国経済に『閉塞感』、限られる成長への選択肢 全人代も望み薄」と題する記事を掲載した。

 

中国指導部は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が3月に迫る中、経済の長期的な成長に向けて大胆な政策決定を下すよう市場から圧力を受けている。年初に中国株は成長懸念から5年ぶりの安値まで下落し、デフレは世界金融危機以来の水準まで深刻化。同じように指導部が行動を迫られた2015年になぞらえる見方もある。

 

(1)「コメルツ銀行の中国担当シニアエコノミストであるトミー・ウー氏は、「現在の状況はもっと複雑だ」と指摘。「今年は中国にとって経済安定に向けた重要な年になる」と語る。中国は15年の危機を人民元切り下げと資本勘定引き締めで資金流出を防ぐ一方、不動産とインフラに資源を投入し、金利を100ベーシスポイント(1%)以上引き下げることで乗り越えた。今やそうした「弾薬」は使い果たされるなどしており、選択肢は限られている。追加の金融緩和は他国との金利差拡大による元安を招き、過剰設備の国内産業に低利資金が流れ込むことでデフレ圧力を悪化させるリスクがある」

 

中国は政策金利を引下げれば、米中金利差拡大で資金流出を招き、人民元安に拍車を掛けるリスクを抱えている。同時に、利下げしても資金需要が出ないことも承知だ。「流動性の罠」に嵌まっている。

 

(2)「今のところ3月5日に開幕する全人代で大規模な景気刺激策や壮大な改革計画が打ち出される気配はない。ロディウム・グループのパートナー、ローガン・ライト氏は、「『政策バズーカ』が放たれることはないだろう。それは従来のやり方であり、今や成長への良い選択肢がないためでもある」と話す。逃げ出した投資家は構造的問題解決へのロードマップを中国当局が示していないことに不満を表明している。市場が求めているのは不動産セクターの浄化、地方債務の再編、債務依存型の過剰投資を減らし家計消費に依存するような持続可能な成長モデルへの転換など、明確で長期的な計画だ

 

中国政府は、財政赤字の拡大に神経質になっている。格付けの引き下げになることを警戒しているのだろう。完全に「守りの姿勢」になっている。

 

(3)「ファゾム・コンサルティングの試算によると、中国経済に10元投資するごとに増加する生産高は現在0.2元で、02年の2.1元から縮小した。需要面でも消費者信頼感が低迷している。トリビアム・チャイナの経済アナリスト、ジョー・パイセル氏は「投資家の信頼感も企業の信頼感も欠如している。しかし、その根本的な原因は消費者信頼感にある」と指摘。「これに対処する最も効果的な方法は消費者の懐により多くの現金を入れるような改革だが、習近平国家主席は以前から現金給付や手厚い社会保障に否定的な姿勢を示しており、その可能性は低い」と述べた。エコノミストや投資家が現在求めているリバランス政策は習氏が13年の時点で表明していたものだが、中国は一度も実行に移さず、債務水準は経済よりも速いペースで膨れ上がっている」

 

中国経済は、10元投資するごとに増加する生産高は、現在0.2元で、02年の2.1元から約10分の1へ縮小した。それだけ投資効率が悪化(資本係数の上昇)している。インフラ投資をいくら増やしても、リターンが一段と悪化している証拠である。需要面でも不動産バブル崩壊で消費者信頼感が低迷している。

 

(4)「一部アナリストは、中国指導部が異なる発展モデルによって引き起こされる混乱への懸念から、成長の持続性よりも社会の安定と国家安全保障を優先しているようだとの見方を示す。アメリカン・エンタープライズ研究所の中国経済専門家、デレク・シザーズ氏は「中国は自らの選択によって行き詰まっている」と語った」

 

中国の不動産依存モデルは破綻した。新たな成長モデルは個人消費増大である。だが、政府にその気がないから不可能である。そういう財政的余裕があれば、国防費を増やしたいと考えているに違いない。発想の原点が、西側諸国と全く違うのだ。これでは、景気回復は不可能である。