中国政府が、経済に対してどのような認識を持っているか。それを一目瞭然にしたのが低落する株式市場へのてこ入れ策である。「国家隊」と称されるように国家資金で株式を買い支えている。主要機関投資家に対しては、株式市場の取引開始直後と終了直前に株式を売り越すことがないよう指示しているのだ。
こういう「真空相場」によって、株価は上昇に転じている。だが、このテコ入れはいつまでも続くものでない。中国経済の実態が回復しないかぎり、元の木阿弥となろう。
『ブルームバーグ』(2月24日付)は、「中国株式市場 見事な反転ー上昇まだ続くと慎重ながら楽観的な見方も」と題する記事を掲載した。
中国株式市場が世界最低から最高のパフォーマンスへと見事な反転を示したことで、市場にとってプラス方向の政策が取られる限り上昇は続くと、投資家の間で慎重ながら楽観的な見方が広がりつつある。
(1)「今年に入り、中国当局が株式市場や自国経済を刺激するための新たな策を打ち出さない週はめったにない状況だ。そうした中で、2月は中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数がこれまでに10%強上昇し、世界の主要株価指数で値上がり率トップ。中国本土株のCSI300指数は9営業日続伸し、2018年以来最長の上昇局面となっている」
9営業日連続の上昇になっている。これは、当局の仕掛けた「お膳」が効を奏しているだけの話だ。実態を反映してはいない。こういうテコ入れは、日本の経験からみても「一時の気休め」に過ぎない。だから、日本も株価が回復するまで34年もかかったのだ。
(2)「中国経済が依然逆風にさらされる中、「国家隊」と呼ばれる政府系ファンドが買い支えていると見られ、株価の上昇局面は短い期間となるかもしれない。ただ、バリュエーションが低迷していることに加え、グローバル・マネーマネジャーと地元マネーマネジャーのポジショニングからも、投資家はこのような状況の市場からリターンを上げるまたとないチャンスを見いだしている。BCAリサーチの新興国市場担当チーフストラテジスト、アーサー・ブダギャン氏は、「当局の痛みは限界点に達した。売られ過ぎの状態にきており、政策対応はより一層積極的になっている。従って、現行水準からのさらなる戦術的な上昇を期待したい」と語る」
中国当局は、国内投資家相手で巧くいっても制限付きである。取引開始直後と取引終了直前の「売越し」を禁じているので、臨機応変の対応が不可能だ。要するに、当局の命じるままに株を購入するしかできない「歪な構造」になっている。海外からみれば、隔離された市場だ。
株価指数算出の米MSCIが2月14日、代表的な全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」から中国株66銘柄(8%)を除外することを決め、実行は2月29日取引終了直後となっている。中国株からインド株へ資金が流れるであろうと推測される事態だ。中国は、自分で自分の首を絞める事態を招いている。
(3)「H株指数が世界で最低のパフォーマンスとなった1月から、現在の市場のムードは急速に変化している。信用取引のマージンコール(追加証拠金請求、追い証)などが脅威となり、懸念が弱気心理を強め、CSI300指数は2日には5年ぶりの安値に沈んでいた。その後、着々と支援策が打ち出され、政府当局がこうした混乱に終止符を打つ決意を示したことで、暗い雰囲気は徐々に薄らいできている。国家隊は株式の買い入れを増やし、その対象を小型株にまで広げたようだ。ブルームバーグが報じたところによると、新たに呉清氏が主席に就いた中国証券監督管理委員会(証監会)は、主要機関投資家に対し株式市場の取引開始直後と終了直前に株式を売り越すことがないよう指示した」
中国は、目先の利益を求めて右往左往している。抜本的な解決策からほど遠いことに力を入れているからだ。株価対策にみられるこうした「近視眼的」政策は、消費財購入対策にも現れている。
中国当局は、自動車や家電製品など従来型の消費財について、販売押し上げを図るよう指示した。習近平氏は、23日に開催された共産党中央財経委員会で「製品のリニューアルと刷新を加速させることは、質の高い発展を促進するための重要な措置だ」と発言。「大規模な製品アップグレード、および古い消費財の新しい消費財への交換に関する新たな取り組みを奨励、指導しなければならない」と述べた。中国中央テレビ局(CCTV)が、23日伝えた。
この発言は、耐久消費財にリニューアルを行えば消費が増えるという短絡的思考を表している。購買力増=所得増があって初めて、モノは売れるという根本的な点を理解していないのだ。株価対策と全く同じ視点であることを窺わせている。


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