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韓国の合計特殊出生率が、低下記録を更新し続けている。23年は「0.72」と世界ワースト記録を塗り替えた。韓国統計局によると、24年は「0.68」へさらなる低下が見込まれるという。23年12月の記者会見で公表した。

 

韓国は、世界で最初に「消える国」とまで酷評されている。若い女性に「結婚願望」がないことが、大きな問題として指摘されている。さらに、結婚しても「子どもは要らない」という認識が広く共有されるという事態だ。韓国の未来が閉塞状態であるも影響している。

 

こうした結果、働き手の中心となる15〜64歳の生産年齢人口は、72年に1658万人となる。22年から約55%減少する。人口を年齢順に並べた中央値を示す中位数年齢は、22年の44.9歳から72年には63.4歳と超高齢化が進む。韓国が、世界で最初に「消える国」と言われるのは、決して誇張したものではない。

 

韓国の合計特殊出生率は、15年まで1.1〜1.3の間で横ばいを保った。それが、16年になって底が割れたように急落が始まった。18年に1を下回り、23年の0.72まで8年連続で低下している。生まれてくる子供の数は、8年間でほぼ半減状態である。この経緯をみると、日本も他人事ではなくなる。現在の日本の合計特殊出生率は1.26(22年)である。だが、韓国と同様にこの段階から「底割れ状態」が起こらないとは限らないのだ。日本は、韓国のケースを深く研究しなければならない。

 

『中央日報』(2月28日付)は、「出生率0.72人で最下位の韓国、人口減少スピードさらに速まる」と題する記事を掲載した。

 

韓国統計庁が28日に発表した「2023年出生・死亡統計(速報値)」によると、昨年の出生数は23万人で、前年の24万9200人より7.7%の1万9200人減少した。女性1人が生涯に産むと予想される平均出生数である合計特殊出生率は2022年の0.78人から昨年は0.72人に落ち込んだ。男女100組を基準として72人だけ子どもが生まれるという意味だ。専門家らは人口を維持するのに必要な出生率を2.1人とみる。

 

(1)「少子化にブレーキはない。むしろアクセルをさらに強く踏み込む様相だ。前年比の出生数減少率は2021年が4.3%、2022年が4.4%だった。2016~2020年に記録した年間7~11%台の減少率をより低くなり少子化速度は鈍化するようだった。しかし昨年は7.7%を記録しそうした希望までへし折られた。さらにコロナ禍も収束しただけに「コロナ禍のため」という少子化原因説明ももはや説得力を失った形だ」

 

ここ3~4年、パンデミックを出生減の理由にしてきた。だが、現在は説明力を失っている。「子どもを産みたくない」という風潮が余りにも大きくなっているからだ。


(2)「2017年に始まった出生数減少と出生率低下が、すでに8年にわたり続いている。今年も続く可能性が大きい。昨年10-12月期だけ見れば合計特殊出生率は0.65人だった。四半期基準で出生率が0.6人台を記録したのは初めてだ。統計庁のイム・ヨンイル人口動向課長は「昨年の将来人口推計で24年は0.68人と予想した。数年前だけでも0.6人台までは落ちないだろうみていたが四半期単位で0.6人台が出てくるなど現実に近づいているようだ」と話した」

 

大都市での合計特殊出生率は、すでに「0.6台」というゾッとする数字が珍しくなくなっている。人々の予想を上回る速度で「出生率低下」が始まっているのだ。

 

(3)「首都圏集中とこれによる過度な競争、不動産価格上昇などが出生数減少の主要因に挙げられる。実際に大都市の出生率が低かった。昨年、ソウルの出生率は0.55人で、前年の0.59人より0.04人下落した。釜山(プサン)が0.66人、仁川(インチョン)が0.69人などと続いた。合計特殊出生率が1人を超えていた世宗(セジョン)まで0.97人に落ちた。もう全国の市・道のうち出生率が1人を超える所は1カ所もなくなった」

 

ソウル一極集中の是正もテーマになる。尹大統領は2月13日、韓国の現状を「コート全体をまともに使えないサッカー」と例えた。首都圏への人口集中が少子化の原因だと断じ、税制支援などを通じて地方に企業を移転し、社会インフラを整える戦略を示した。政府の直接支援だけでなく、企業を通じた社会づくりも重視する。出産支援や育休取得に積極的な企業への税制優遇を検討する。従業員の子育てを支援する企業を評価する社会の雰囲気を醸成することを狙う。

 

(4)「人口ショック」は避けられない現実として近づいた。昨年末の韓国の人口は5132万5000人だ。昨年1年間に生まれた子どもは全人口の0.4%水準にすぎない。年間100万人ずつ生まれたベビーブーマー世代が、高齢層に入るなど高齢化の速度は速い。少子化が続いたため、新たに生まれる世代の扶養義務が急速に高まっている」

 

韓国は、「国が消える」騒ぎまで起こっている以上、あらゆるタブーに挑戦する気構えで対応するほかない。地方経済を立直し、人口最適配置の構図が不可欠になっている。