中国飲料水メーカー最大手・農夫山泉が、中国のインターネット上で日本に媚びているとして徹底的なバッシングを受けている。「緑茶飲料のペットボトルに描かれた寺のデザインと緑茶の説明は日本文化の宣伝だ。日本に媚びを売るひどい『媚日』で、我々の中華文化を軽んじている」というのだ。
中国には、不況になると「日本叩き」を始めるパターンがある。国内の鬱憤晴らしに日本批判を始めるのだ。韓国で長いこと、時の政権の支持率が下がると「反日」を始めたのと同じ構図である。中国は、不動産バブル崩壊で長いトンネルに入っている。根拠のない日本叩きが始まっている。
『日本経済新聞 電子版』(3月27日付)は、「習氏の出世支えた吉祥の寺も標的、『日本たたき』の怪」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の中沢克二編集委員である。
中国飲料水メーカー最大手「農夫山泉」の飲料水の蓋は赤く、上から見ると日本の国旗「日の丸」に見えるので「日本に媚びている」という奇妙な批判が中国で拡散されている。赤い蓋の付いたボトルを上からみれば、全て「日の丸」になるのが当然だ。中国人民解放軍内でも愛用されている中国で最も有名な高級白酒「茅台(マオタイ)酒」。これも白地の瓶に赤い蓋だ。「茅台酒が日本に媚びている」などという批判は、かつて聞いたことがない。
(1)「なぜ、中国のネット市民らは、こんなにも安易に「日本たたき」に走るのだろう。そのひとつは長年、変わらない政治的な雰囲気だ。12年9月、中国全土で「官」が裏で糸をひく官製反日デモが起き、日本企業が「焼き打ち」などの標的になった。これは、習が同年11月の共産党大会でトップに立つ直前の出来事だ。しかし、その際、醸し出された強烈な反日の雰囲気は、12年もの歳月を経た今も残っている。「日本たたき」は、中国で最も政治的に安全な不満のはけ口になっている。それは否めない事実だ」
雇用不安を抱える中国の若者にとって、不満のはけくちは「反日」が定番である。誰からも批判されず、大いに盛り上がるからだ。
(2)「最近、そこに新たな要因が加わった。この安全な「日本たたき」を利用して、自分が主催するネット上のアカウントにある文章や画像、映像のクリック数を稼ぎ、ファンを増やそうとする動きも目立つ。SNS、動画共有サービスなどメディアを通じてファンが大きく増えれば、広告を含む自らの収入も増える。中国は今、「ライブコマース」全盛の時代を迎えている。つまり、商業上の利益を得る目的に「日本たたき」を利用するねじ曲がったブームである。しかも、この行為は、中国で政治的に罰せられる可能性が低い。ネット上の「日本たたき」をあからさまに当局が取り締まれば、取り締まった側が、中国のネット市民の批判対象になりかねない危うさもある」
SNSのネット市民は、「日本叩き」をビジネスにし始めている。これで、多くの「いいね」を獲得して利益を上げているのだ。
(3)「突然の『農夫山泉たたき』『日本たたき』というブームの背景には、商業目的も加わっている。受け手は、一種の『娯楽』として『日本たたき』を楽しんでいる面もある。これは、複雑で入り組んだ中国ネット社会の実態を反映している」。長年、中国メディアの内側から中国の社会構造を分析してきたある識者の卓見である。やるせなさを感じざるを得ない分析だ」
「農夫山泉」の蓋は赤く、上から見ると日本の国旗「日の丸」に見えることにこじつけ、「日本叩き」でクリック数を上げている。
(4)「一方で、全く違う方向の動きもある。ここ数年、中国から日本にやってきて事実上の「定住」を目指す中国の知識人、企業経営者らが激増している。そこには、まだ全く表に出ていない著名な民間企業経営者らも含まれる。中国内での「農夫山泉たたき」「日本たたき」とは全く別に、中国の人々の中で今、日本は見直されているのである。この潮流が、これからどんな中国と日本の新しい関係、ひいては中国と世界の新しい関係を紡ぎ出すのか。こちらのほうこそ、しっかり見守りたい」
中国の大学進学率(短大を含む)は、71.98%(2022年)と高く、既に日本の62.14%(同)を上回っている。この高学歴者が増えれば、「日本叩き」で喜んでいる層は減っていくはず。最後の反日集団にもみえるのだ。それよりも、中国の知識人や企業経営者らが、日本定住を目指しているという。目に見えない親日派が増えているのだ。


コメント
コメントする