岸田首相は、現地時間8日に米ワシントンへ到着した。韓国外交界では、岸田首相の今回の訪米によって、日本が米国の次期安保構想と合わせ、米国と分業して世界安保に関与する立場へ変化する契機と警戒する姿勢が見え始めた。韓国の立場が埋没するからだ。
『中央日報』(4月9日付)は、「日章旗掲げたホワイトハウス、日本『格子型安保』の中心国に浮上か」と題する記事を掲載した。
今回の訪米は、日本の首相として9年ぶりとなる国賓待遇の訪問だ。米英豪の国防相は、岸田首相の出国に合わせ共同声明を通じ、「米英豪3カ国の安全保障の枠組みであるAUKUS“ピラー2”プロジェクトに日本が合流する案を議論している」と発表した。
(1)「AUKUSはオーストラリアに原子力潜水艦を提供する“ピラー1”と、海底・量子技術・人工知能(AI)・サイバー・極超音速・電子戦武器などを共同開発する“ピラー2”で構成されている。日本が“ピラー2”に合流すれば、米国と未来先端武器技術を事実上共有できることになる。インド太平洋で中国の脅威に対応する米英豪3カ国同盟のAUKUSが、日本が参加する「JAUKUS」に変貌する様相だ」
日本が、AUKUSの“ピラー2”へ参加すれば、米国と未来先端武器技術を事実上共有できる。これまで米国は、日本へ軍事技術を開示しないできたが、その壁を取り外す。その代わり、日本は海底・量子技術・人工知能(AI)・サイバー・極超音速・電子戦武器などの技術開発で協力する。これによって、事実上の「JAUKUS」になるというのだ。
(2)「読売新聞は9日、今回の首脳会談で極超音速滑空体(HGV)の探知と追跡に向けた衛星網の構築に協力することを確認する予定だと報道した。HGVは音速の5倍以上の速度で飛行し探知と迎撃が難しいミサイルで、北朝鮮と中国、ロシアなどがHGV開発に全力を挙げている。また、メディアは共同声明に宇宙戦争などに備えて米国が日本の低軌道衛星網構築に協力するという内容も明示されるだろうと伝えた」
日本は、極超音速滑空体(HGV)の探知と追跡で米国へ協力する。日本が、HGV技術を既に開発している。2025年度頃から射程数百キロの「ブロック1」の配備を開始予定。2030年代からは、射程3000キロで極超音速飛行が可能な「ブロック2B」の配備を開始する予定だ。また対艦用途を視野に入れた性能向上や、潜水艦発射型の開発も検討されているという。「ブロック2B」では、中国本土が射程圏へ入る。
(3)「エマニュエル駐日米国大使はこの日、山田重夫駐米日本大使とともに参加した戦略国際問題研究所(CSIS)主催の対談に「これまでの『ハブ・アンド・スポーク』の同盟構造は現時点に適していない。重大な転換の時期を迎えて『格子型構造』を構築している」と説明した。彼が言及した「格子型構造戦略」は、ミニラテラリズム(少数主義)を意味する。北大西洋条約機構(NATO)のようなハブ・アンド・スポーク型同盟の代わりに共同の利害関係を持つ3~4カ国程度の「小数精鋭」協議体を通じて多様な事案別に離合集散し中国を迅速できめ細かく牽制する方式だ」
エマニュエル駐日米国大使は、NATO型の防衛システムでなく、3~4カ国程度の「小数精鋭」協議体で迅速に中国を牽制できると指摘している。参加国は多いと、意見調整に時間がかるからだ。この視点で言えば、韓国は外されるだろう。左派が政権を取れば、「親中」で結束を乱すからだ。
(4)「エマニュエル大使は、格子型安保戦略を構成する要素としてAUKUSとともに米日印豪の安全保障の枠組みであるクアッド、キャンプ・デービッドでの首脳会議で構築された韓米日三角同盟、11日に予定された米日フィリピン3カ国首脳会議を挙げた。日本が、AUKUSに合流すれば、日本は米国主導のすべての核心多国間協力体に参加する唯一の同盟国になる。事実上、米国と安保を分業する役割を任されることになる。この席でエマニュエル大使は「大西洋とインド太平洋は分離できない単一な戦略的領域で、(格子グループを)包括的全体で統合することになるだろう」と話した。こうした構想が実現するならば日本の役割がインド太平洋を超えて拡大することもできる」
米国が少数精鋭主義に転じれば、「日本は米国主導のすべての核心多国間協力体に参加する唯一の同盟国になる」と韓国外交界はみている。
(5)「在日米軍司令官は現在、3つ星将軍(注:中将)である。だが、実質的作戦権を持つ4つ星将軍(注:大将)に格上げする案が議論されている。(韓国)外交界では、「米国が長期的に東京へ北東アジア司令部を創設して、韓米連合司令部の役割を統合する可能性も排除することはできない」という観測も出ている。実際に、米国のアジア核安保政策を総括したリチャード・ローレス元米国防副次官は最近、中央日報とのインタビューで「対北朝鮮対話の進展がなければインド太平洋軍司令部、韓国、日本をさらに深く統合しなければならない」として、北東アジア司令部創設の可能性に肯定的な立場を明らかにした」
韓国では、在日米軍司令官が将来、作戦指揮権を持つ大将クラスになると予想する。これは、米韓連合司令部の指揮権が、在日米軍司令官に移る事態を想定しているからだ。となると、米韓司令部が、在日米軍司令分に所属すると危惧している。
(6)「(韓国)外交消息筋は、「現実的にすぐ実現される可能性は低いが、北東アジア司令部の創設は北朝鮮を狙った在韓米軍の性格変化を意味する。北朝鮮を防がなければならない韓国の立場では、米国に反対しなければならない状況に置かれることになりかねない」と懸念する」
韓国は、何かに付けて「日韓対等論」を主張している。米国が東京へ北東アジア司令部を創設すれば、韓国側から反対論が出るであろう。
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