円相場は4月29日午前、一時1ドル=160円台を付けた後、159円台で推移していたが、午後1時すぎから急速な円高が進行。一時、155円台前半を付け、この日だけで4円以上の大きな変動幅となった。外国為替市場では、当局による介入とみられるが「ノーコメント」を貫いている。
介入は、2022年10月以来である。前回の円買い・ドル売りの為替介入は、22年9月から10月にかけて、1ドル=145~151円台を付けた際に計3回実施された。外国為替市場では、次の介入と思しき動きがどの水準で入るのか探っている。157円台乗せが、介入ポイントとして意識されそうだ、という。ニューヨーク為替市場では、4月29日21時46分(日本時間)で156円38銭である。
『ロイター』(4月29日付)は、「神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動『看過しがたい』」と題する記事を掲載した。
神田真人財務官は29日午後、外国為替市場でドル/円が乱高下し、市場で介入観測が広がったことについて、「為替介入の有無については申し上げない」と述べた。過度な変動による悪影響は「看過しがたい」とし、「必要に応じて適切な対応をする」と語った。
(1)「ドルはこの日、160円台前半に上昇した後に急落し、155円前半まで下げ幅を広げた。一気に5円下落したことで、市場では政府・日銀による円買い介入の観測が流れた。財務省で記者団の取材に応じた神田財務官は、「投機による、この激しい異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過しがたいものがある」と強調。「引き続き必要に応じて適切な対応をしていきたい」、「24時間365日、平時であっても対応できる」などと述べた」
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、4月29日付のリポートで、「覆面で為替介入が行われた可能性は比較的高い」と指摘していた。28日の衆院補選で自民党が全敗し、政府は「円安対応を行ったとの証拠づくりを国民向けに行い、支持の回復を狙う必要が出てきた可能性もある」との見方を示したもの。こういう、政治的な配慮もあっての介入とみられなくもない。
円安による国民の不満が、今回の補選結果に出たとすれば、これから予想される総選挙に向けて、政府は異常円安を食止めねばならなくなる。日銀が、7月以降の政策金利引上げを行うという予想と併せると今後、一方的な円安場面は終わるのかもしれない。
(2)「この日に為替介入をしたかどうかは明らかにせず、毎月の介入実績を5月末(4月26─5月29日分)に発表すると説明した。今の為替水準については、「われわれは必ずしも、特定の為替レートを念頭に置いて仕事をしているわけではない」とした。欧州中央銀行(ECB)は29日、為替市場での行動についてコメントを差し控えた。為替市場では先週の日銀金融政策決定会合後に円売りが一段と加速し、当局による介入警戒がこれまで以上に強まっていた。スタンダード・チャータード銀行(シンガポール)のマクロストラテジスト、ニコラス・チア氏は、「きょうの動きが当局による介入だったとしても、一回で終わる可能性は低い」と話す。「160円台は当局にとって痛みの分水嶺、あるいは新たな一線を意味する」と語る」
一回限りの当局による介入で終わることはない。こういう見方が、海外の為替専門家から出ている。
(3)「今週は、4月30~5月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。インフレ高止まりの兆しを受け、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退している。パウエル議長らFRB要人は、政策対応はデータ次第と強調している。介入が効果を発揮するのは、中銀の政策シフトが条件なのかもしれない。OCBC(シンガポール)の為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は、「日銀が政策正常化の緊急性を示し、財務省が為替介入を実施すれば、財務省が単独で行動するより効果的だろう」と述べた」
日銀が金利引上げを行えば、今回の介入効果は一段と大きくなるとみられる。ただ、日誤は、7月以降の「毎月勤労統計調査」によって、実際の賃上げ(基本給引上げ)がどこまで進んでいるか、確認したいというのも事実だ。現状では、財務省と日銀による合同「円安対策」にはならないであろう。
インフレ低下に大きな進展がない米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退している。ドル買いに拍車がかかる中、5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に加え、政府・日銀による円買い介入の有無に市場の注目が集まっている。


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