日本の国際収支では、「デジタル赤字」の存在が浮上している。23年度では、5兆6000億円にまで膨らんだので、対策が急がれ始めている。ここへ、デジタル赤字を軽減する期待を担って、ソフトバンクグループ(SBG)が、10兆円のAI半導体やデータセンター計画を公表した。「和製テック」を目指す。
『日本経済新聞 電子版』(5月12日付)は。「ソフトバンクG『AI革命』に10兆円 動き出す孫氏の構想」と題する記事を掲載した。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が掲げる「AI(人工知能)革命」が動き出す。AI向け半導体の開発・製造を皮切りに、データセンターやロボット、発電事業にも事業を拡大する計画だ。投資額は最大で10兆円規模となる見通し。米マイクロソフトやグーグルもAI分野に巨額の投資をしており、世界の大手が成長分野に一斉に参入する構図となる。
(1)「孫氏の掲げるAI革命はAIや半導体、ロボティクスの最新技術を融合し、あらゆる産業に革新をもたらすことだ。その中核となるのが、大量のデータを効率的に処理できるAI向け半導体の開発・製造事業だ。米エヌビディアのような自社工場を持たないファブレス形式で参入し、2025年春をメドに試作品を完成。同年秋までに量産体制を作ることを目指している」
SBGは、先ずAI半導体開発を行う。自社工場を持たないファブレス形式で参入し、2025年春をメドに試作品を完成させるという。
(2)「AI向け半導体開発については、SBGが約9割の株式を持つ英半導体設計大手アーム内に新部門を立ち上げる案を軸に検討を進めている。数千億円規模が見込まれる当初の開発資金はアームの自己資金とSBGの支援でまかない、大量生産の体制が確立した後は開発部門をアームから切り出し、SBG傘下に置くことを検討する。製造は台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリー(半導体受託生産会社)に委託する。既にTSMCなどと交渉し、生産枠確保のメドをつけた」
AI向け半導体開発は、SBG傘下の英国アームが設計し、大量生産の体制が確立した後は開発部門を、SBG傘下に置くことを検討するという。製造は、TSMCなどファウンドリに委託する。すでに、TSMCとの交渉は終わったという。
(3)「SBGが、AI向け半導体分野への参入を検討するのは、この分野の加速度的な市場拡大が見込まれるためだ。カナダの調査会社プレシデンス・リサーチの推計では、24年に300億ドル(約4兆6500億円)程度の市場規模は29年に1000億ドルを超え、32年には2000億ドル超に達する。AI向け半導体のシェア首位はエヌビディアだが、需要の急拡大で供給が追いついていない状況で、SBGは収益拡大の余地が大きいとみている」
AI半導体は、世界的に需要が急増しており有望分野である。
(4)「現在主力の投資事業の損益が改善し、攻めの戦略を打ち出せる財務余力がついてきたことも大きい。13日発表の2024年3月期決算は前の期の1兆円近い最終赤字から大幅に改善し、手元流動性なども十分な水準を維持する見通しだ。孫氏の構想はAI向け半導体分野の参入にとどまらない。昨年10月の講演では人間の知能を超える汎用人工知能「AGI」に言及し、運輸、製薬、金融、製造、ロジスティクスと全ての産業に影響を与えるとの見方を示した」
SBGは、財務面では大幅に改善しており、手元流動性なども十分な水準を維持する見通しという。
(5)「こうした認識を基に、まず26年以降に自ら開発した半導体を備えたデータセンターを欧米やアジア、中東に建設する計画だ。データセンターは大量の電力を必要としており、発電需要も高まることから発電分野にも進出する。核融合発電など次世代技術の進展をにらみつつ、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを中心とした発電インフラの構築を目指す。産業用ロボット分野については2月に、サウジアラビアの政府系ファンドの傘下企業と組み、製造に乗り出す方針を公表している」
26年以降は、自ら開発した半導体を備えたデータセンターを欧米やアジア、中東に建設する計画だ。データセンターに必要な電力は、再生可能エネルギーを中心とした発電インフラで賄うという。産業用ロボットは、サウジの政府系ファンドと提携する。
(6)「各事業の拡大にはM&A(合併・買収)も活用する方針で、一連の投資に数兆円規模の自己資金を投じる計画だ。さらに、中東各国の政府系ファンドなど外部投資家からも出資を募り、合計で10兆円規模のリスクマネーを投じることを目指す。世界の巨大テック企業もAI分野に多大な経営資源を投入しており、マイクロソフトやグーグル、アマゾン・ドット・コムなどは独自の半導体開発に乗り出している。SBGはこれらの米テック大手にアーム設計の半導体の回路図を提供したり、データセンターなどのインフラを提供したりすることで、競合ではなく、協業関係を築きたい考えだ」
AI半導体設計、データセンター建設、自然エネルギー供給、産業用ロボット製造などで総額10兆円は必要という。米国のテック企業と提携しながら実現を目指す。こうした壮大な事業計画が軌道に乗れば、日本の「デジタル赤字」解消への期待が持てよう。
コメント
結果、通信費を安くすることはなく、己の収入と事業拡大に邁進した。
電力事業の方は、民主党時代に太陽光発電を持ち出して乱入を画策したが、電力の安定供給と環境対策の面で足踏み状態である。電力を諦めないあたり執念深い。
兎に角、金になりそうな日本の経済インフラを全て手に入れ、日本を意のままにしたいようである。
日本が危険である!
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