中国で、全自動運転車「ロボタクシー」が実験を重ねている。韓国紙『中央日報』記者が試乗した体験談を報道した。事前に設定されたコース約13キロは、完走するのに40分ほどかかった。時速、19.5キロである。直線道路では、最大時速68キロで走行したという。万一の事故に備えて、監視センターが常時、モニタリングするという「厳戒態勢」下の試運転である。
『中央日報』(5月13日付)は、「運転席・運転者が消える、中国『14億人実験室』の自動運転競争」と題する記事を掲載した。
「安全ベルトを着用して出発ボタンを押してください」。4月23日、中国北京亦庄経済技術開発区で中国IT企業の百度(バイドゥ)が運営する自動運転タクシーに乗った。いわゆる「ロボタクシー」に乗ると、すぐに人工知能で生成された女性の声が流れた。運転席と助手席は安全上の理由で着席できないという案内を受け、後ろの席に座った。安全ベルトを着用すると、運転席の後ろ側に設置されたスクリーンに表示された「出発」ボタンが目に入った。このボタンを押すとロボタクシーは動き始めた。
(1)「この日、記者が乗ったロボタクシーは百度の自動運転車研究開発基地「アポロパーク」を出発した。正門のすぐそばに違法駐車されていた乗用車を避け、大きな角度で右折しながら路上に出た。誰も座っていない運転席に設置されたハンドルは自由自在に動いた。交通信号と周囲の車を明確に認識した。右側から割り込んできた車と、中央線を越えて違反横断する人も自然な形で避けた。直線道路では最大時速68キロで走行した。車線の変更も自然で、変更前にはいつも方向指示器を出して走行した。ロボタクシーに乗っている間、終始、安定感が感じられた」
ロボタクシーに乗っている間、終始、安定感が感じられたという。
(2)「乗客は、ロボタクシーが四方をカメラ・ライダー(光で周辺探知)・レーダー(電波で探知)で認識する場面を確認することができた。自動運転システムは認識した車両・人・建物などを2つのスクリーンに映し出した。主要地点の信号灯、CCTVなど交通システムと随時連結して情報を交換する。百度の関係者は「万が一の状況に備えてモニタリング要員が24時間ロボタクシーを見守っている」と強調した。事前に設定されたコース約13キロを完走するのに40分ほどかかった」
約13キロの事前設定コース完走には、40分ほどかかったという。時速では、19.5キロである。
(3)「百度は現在、北京・上海・広州など中国の主要11都市で運営中だ。総試験走行距離は先月1億キロを超えた。2030年までに100都市に運営を拡大する計画だ。運転席がない第6世代ロボタクシー、アポロRT6もすでに開発され、商用化を準備中だ。華為(ファーウェイ)も、自動運転システムの強者だ。自動運転のためのソフトウェアとハードウェアも供給する。華為は先月、北京モーターショー開幕を控え、新しい電気自動車の自動運転システム「乾坤ADS3.0」を公開した。華為は年末までに自動車50万台に乾坤を搭載するという目標を発表した」
百度のほかに、ファーウェイも自動運転のためのソフトウェアとハードウェアも供給している。
(4)「自動運転システムを開発中の企業にとって、人口14億人の中国は巨大な実験室と変わらない。国営新華社通信によると、2020年に湖南省に車と車、車と道路の通信を円滑につなぐ「第5世代(5G)自動運転スマート高速道路」の開通を始め、昨年9月基準で試験道路が全国的に1万5000キロを超えた」
湖南省は2020年、全自動運転車を想定した道路を開通させた。中国全土で試験道路が1万5000キロを超えたという。これこそ、現在の自動運転車開発の限界を示している。道路インフラが、全自動運転車に合わせているからだ。
自動運転中に発生した事故の法的責任は、自動車メーカーにあるという規定だ。これは、商用化に向けた大きな壁である。100%安全という確認ができない限り、発売はできないだろう。
(6)「人工知能にすべてを任せるシステムが、サイバー攻撃やハッキングから安全に車を守れるかも疑問だ。心理学者のゲリー・マーカス米ニューヨーク大教授は、ブルームバーグのインタビューで「自動運転AIにディープラーニングをさせるのは一種の暗記」とし、「変数が無限大に近い道路上の状況にすべて対処するのは理論的に実現不可能だ」と言う。完全な自動運転に懐疑的な見方を示した」
下線部は、自動運転AIにディープラーニングをさせることを「一種の暗記」としている。日本のスタートアップでは、こうした限界へ挑戦している。新興企業Turingは、車載カメラの画像などから、工事中といった道路の状況を自動で分析するAIを開発しているのだ。
Turingの目指すのは、人間がAIにルールを暗記させるのではなく、生成AIが画像や音声を理解しながら運転する自動運転車を目指している。この点が、既存の研究開発と異なる画期的な部分である。交通誘導員や道路工事用のコーン、標識といった人や記号の関係性を生成AIが判断し、「走る・曲がる・止まる」といった制御に落とし込むというのだ。2030年目標で、文字通りの全自動運転車を目指すとしている。日本企業に「世界初」のチャンスがある。
コメント
コメントする