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グーグル、アマゾン、エヌビディア、マイクロソフトなど米ビッグテック企業は最近、次世代AI開発基地として東アジアに注目している。インドネシア、マレーシア、タイは成長性が高くて費用が安く、シンガポールは金融ハブ、日本と台湾は製造業の能力が高く政府支援が積極的なことから選択されている。だが、韓国だけは避けられている。サムスン電子やSKハイニックスという半導体企業がありながら、魅力的な誘致策がない結果のようである。 

『中央日報』(5月14日付)は、「韓国だけ除き、ビッグテック 台湾・日本などアジアに投資相次ぐ[韓国抜けた先端技術地図]と題する記事を掲載した。 

グーグルは先月25日、台湾・新北市に2番目のハードウエア研究開発センターを開いた。13階建ての新社屋にグーグルのスマートフォン研究に向けた先端装備実験室を50個以上備えた。ここにはエンジニア数千人が勤務する予定だ。

 

(1)「この日、グーグルのエルマー・ペン副社長は、「米国を除けば台湾がグーグルの最大のハードウエア研究開発拠点。台湾のハードウエアチームの人数が10年間で20倍以上増えた」とう話した。グーグルは現在、スマートフォン用アプリケーションプロセッサ(AP)の設計・製造をサムスン電子と協力しているが、台湾の半導体企業TSMCと手を組む可能性も着実に言及されている」 

グーグルは、台湾をハードウエア研究開発拠点にしている。グーグルは現在、サムスンと協業しているが将来、台湾のTSMCへ切替える可能性も取り沙汰される。そうなれば、サムスンには痛手だ。 

(2)「アジア初のエヌビディアAI研究開発センターも台湾に設立される。スーパーコンピュータは、エヌビディアのグラフィック処理装置(GPU)「H100」512個で構成され、容量の4分の1は台湾のスタートアップと研究所に無料で提供される。台湾経済部は、「研究開発センターは1000件以上の研究雇用を創出し、すでに400人が雇用された」と明らかにした」 

エヌビディアAI研究開発センターも台湾に設立される。アジア初だ。すでに、400人が雇用されている。

 

(3)「台湾政府は、初期設立・運営費7億4620万ドル(約1165億円)のうち28%を補助する条件でエヌビディアの研究開発センターを誘致した。王美花経済相が、エヌビディア米国本社を訪問するなど1年以上力を入れてきた結果だ。2022年には台湾政府が香港からシンガポールに行こうとしていたエヌビディア・AMDの半導体物流センターを台湾に誘致することもした。シンガポールに準じた租税優遇を提供することにした結果だ」 

台湾政府は、エヌビディアの研究開発センターを誘致するため、費用の28%(326億円)を補助した。 

(4)「今年に入り日本でも、ビッグテックのインフラ投資発表が連続する。日本政府の積極的な誘致にしている。先月マイクロソフトは、来年まで日本に29億ドルを投資してAI・クラウド事業を拡張し、東京と大阪のデータセンターでAI演算用GPUも補強することにした。この発表は、岸田文雄首相の米国国賓訪問に合わせて行われた。1月にアマゾンは、日本に約2兆3000億円のAIクラウドインフラ投資を発表した。これは、アマゾンの韓国投資計画約8兆ウォン(約9147億円)の2.5倍規模だ。オラクルも先月に総額80億ドルを投じて東京と大阪にデータセンターを増築することにした」 

米国ビックテック4社が、日本へデータセンターを建設する。AI市場の将来性で、日本が米国・中国に次いで3番目の成長が見込める結果だ。

 

(5)「企業は、成長性が大きい東南アジアにも積極的に投資する。アマゾンは7日に89億ドルを追加投資してクラウドサービスを強化すると発表し、アップルも先月、2億5000万ドルのシンガポール事業投資拡張を発表した。マイクロソフトは東南アジア全域にAIインフラ構築に向け投資を進めている。マレーシアに22億ドル、インドネシアに17億ドルを投資する計画だ」 

東南アジアも、クラウドサービスで有力市場とみられている。一方、韓国はスルーされている。韓国は、合計特殊出生率の低下によって、その将来性を低評価されているのか。または、誘致策がないのか。いずれにしても、気になるところであろう。 

(6)「韓国は、なぜ素通りされているのか。産業界では、世界のAI産業界で韓国の半導体企業は重要なパートナーと認められるが、投資先としての韓国の魅力が落ちるためと診断する。韓国貿易協会のヤン・ジウォン研究員は、「韓国は低い租税競争力と過度な規制、不足するインセンティブのため誘致が難しい」と指摘した。エヌビディアのフアンCEOは昨年12月、日本、マレーシア、シンガポール、ベトナムなどアジア各国を訪問し、政府と企業と会ったが、この時も韓国は抜けていた」 

韓国は、低い租税競争力(高い法人税率)と過度な規制、不足するインセンティブのため誘致が難しいとして敬遠されているという。 

(7)「日本は、世界的企業のアジア本部(HQ)を誘致するために東京の真ん中に「国際戦略総合特区」を指定し、税制支援と規制免除など各種恩恵を与えている。先月、開設されたオープンAIの日本事務所も東京国際戦略総合特区に入った」 

日本の国際戦略総合特区とは、「新成長戦略」(2010年)に基づき、地域限定の規制緩和を行う「総合特区」の一つだ。将来性豊かな産業や外資系企業の集積を促進する目的である。インセンティブとしては、税制や規制の緩和が行われる。オープンAI日本事務所も、この特典に与っているはずだ。