中国国営テレビ(CCTV)は24日夜、台湾周辺での軍事演習が終了したと報じた。事前の発表通り、23~24日に行われた。今回の演習は、「連合利剣―2024A」となっている。今後も「B、C、D」などと称する軍事演習をするのであろう。中国は、台湾の頼総統を「分離主義者」とみなし、総統に就任した3日後に軍事演習を実施した。中国の理屈づけでは、頼氏の就任演説が「分離主義者」と決めつけたが、中国軍の演習ははるか事前に予定されていたことは明らかだ。
問題は、演習と称して台湾を油断させて奇襲攻撃することだ。今回の演習でも戦闘機に実弾を装着さえていたことが判明している。何かを仕掛ける意図であろう。米国防総省高官は、中国軍の2日間にわたる演習を分析している。それによると、「作戦は不可能」としている。米軍は、中国の手の内を観察する良い機会になった。
『日本経済新聞 電子版』(5月25日付)は、「中国軍『台湾全域包囲』の能力誇示、頼政権と対決姿勢」と題する記事を掲載した。
中国軍は1996年の台湾海峡危機の際に台湾周辺で大規模演習をした。このときの演習区域は海峡側が中心だった。台湾本島を取り囲むようにして演習したのは22年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問時が初めてだったとみられる。
(1)「今回の演習の特徴は、ペロシ氏訪台時と似た台湾の包囲にある。飯田将史・防衛研究所理論研究部長は「台湾を全面封鎖できる能力や意図があると頼政権に知らしめる狙いがある」と分析した。演習期間はペロシ氏訪台時よりも短い。当時は中国軍が台湾東方の海域へ弾道ミサイルを発射し、5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。今回、弾道ミサイル発射は確認されていない」
中国は、台湾を全面封鎖できる能力や意図があることをみせつけた。たが、台湾海峡封鎖は、他国の干渉を招く理由になる。気をつけるべき点だ。
(2)「もっとも、演習規模を縮小し圧力を弱めたわけではない。22年8月の演習にはなかった内容や変更点が含まれるからだ。1つ目が演習の区域だ。22年8月は台湾本島周囲6カ所だった。今回は5カ所に減ったものの、前回はなかった台湾西部の澎湖諸島周辺にも設定した。台湾の離島である金門島や馬祖列島の周辺も対象に加えた。中国軍直属の国防大学の専門家は23日、中国国営中央テレビ(CCTV)の取材に「台湾当局と台湾軍の活動空間を圧迫する」と語った」。
金門島や馬祖列島の周辺も封鎖したことは、中国軍がもっとも占拠しやすい戦術とみられている。
(3)「2つ目が事前予告の有無だ。22年8月は軍がペロシ氏の訪台を受けて2日深夜、演習区域を表示した地図とともに4日昼から開始すると予告した。一方、今回の演習は23日朝に軍で台湾方面を管轄する東部戦区が実施を公表した時点ですでに始まっていた。予告なしの演習は台湾側により大きな衝撃をもたらした可能性がある」
今回は、事前予告がなかった。ただ、中国艦船の動きは事前にキャッチされている。「急襲」は不可能である。
(4)「3点目が軍と海上警備を担う中国海警局の共闘だ。同局は24日、台湾本島東部の海域で船隊を編成し、パトロールの訓練をした。23日には馬祖列島の周辺で演習した。いずれも軍が設けた演習区域の付近とみられる。海警局は18年、軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の一元的な指導を受ける人民武装警察部隊の指揮下に入った。同年には海軍出身者が海警局トップに就任した。今後、対台湾で軍と海警局の一体運用が深まる可能性がある。中国海軍の艦艇と海警局の船の合計27隻の合同訓練も確認した」
中国は、台湾侵攻では海警船も使うことが分った。小島の封鎖に動員するのだろう。主戦場では足手まといになる。
(5)「台湾国防部(国防省)の発表によると、24日は中国軍の戦闘機「スホイ30」や「H6」爆撃機など合計62機の飛来を確認した。うち47機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線とその延長線を越えて台湾北部、中部、南部の空域に入った。CCTVによると2日目の24日は艦船が編隊を組み、戦闘機や爆撃機と連携しながら海上や陸上の目標物を模擬攻撃した。中国軍の艦船を追跡した台湾軍艦が、およそ1キロメートルの距離まで近づく場面もあったという」
中国は、まず本土からミサイル攻撃をかけ同時に空爆を実施するであろう。艦船による上陸作戦はその後だ。艦船は、台湾海峡を渡航中に潜水艦攻撃を受ける。どれだけが上陸できるかが勝負だ。「AUKUS」(米英豪)の潜水艦部隊が迎え撃つ。
『日本経済新聞 電子版』(5月26日付)は、「国防総省高官、中国の軍事演習『実際の成功は難しい』」と題する記事を掲載した。
(6)「米国防総省の高官は25日、中国軍が台湾を包囲する形で実施した軍事演習を巡り「演習しているような作戦を成功させることがいかに難しいかを示した」との声明を発表した。「彼らがこの種の演習をするたびに、私たちは彼らがどのように機能するかさらに深い洞察を得ることができる」と説明した。米軍が中国軍の演習での動きを分析し、対応策を練っていると示唆した。米国防総省のライダー報道官は25日、インド太平洋地域の米軍の態勢変更の可能性について「現在の米軍の態勢と作戦に引き続き自信を持っている」との声明を出した」
米軍は、今回の中国軍演習をつぶさに観察している。盲点を探しているであろう。通常は、図上演習で敵の攻略法を試すが、中国軍は「実物演習」を見せて米軍を助けている。


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