5月、日中韓三カ国経済団体は首脳会談に合わせ、ソウルで合同会議を開催した。日本の経済団体連合会(経団連)、中国の国際貿易促進委員会(CCPIT)、大韓商工会議所(大韓商議)である。
共同声明書まで発表された。3カ国の経済の活性化のためにデジタル転換、交易の活性化、サプライチェーンの安定化で協力するとともに、持続可能な発展のために炭素中立(カーボンニュートラル)の実践や高齢化への対応などの分野でも協力することで合意したのだ。しかし、その際に行われた各国代表団へのアンケート調査は、それぞれ本音が出ており興味深い結果となった。中国がもっとも積極的であるのに対して、日本は消極姿勢である。まさに「呉越同舟」という感じが強く出ている。
『ハンギョレ新聞』(6月10日付)は、「韓中日CEO『3カ国経済協力の必要性に共感』、期待感はまちまち」と題する記事を掲載した。
韓中日の主要企業家たちが、3国間の経済協力の必要性に共感しながらも、期待される効果についてはそれぞれ微妙な見解の違いを見せていることが分かった。
(1)「大韓商工会議所が9日発表した「韓中日経済協力に関する企業認識調査の結果」によると、先月27日にソウル中区(チュング)の大韓商工会議所で開かれた「第8回韓中日ビジネスサミット」に参加した韓中日の主要企業の最高経営者(CEO)181人は皆「3カ国の経済協力が必要だ」と答えたことが分かった。「経済協力が必ず必要だ」という回答が82.4%、「ある程度必要だ」という回答が17.6%だった」
建前論から言えば、近隣の三カ国が経済面で協力することは当然である。ただし、日韓と中国は政治的利害が全く異なっている。中国は、権威主義であって米国を軸とする西側諸国と鋭く対立する関係だ。中国が、日米韓の繋がりを切断して中へ割って入ろうとする意図を持っている以上、三カ国の協力関係に限界がある。経済安全保障という至上課題がつきまとうからだ。
(2)「国別には、中国の企業家の91.3%が「必ず必要だ」と答えており、韓国の企業家(84.8%)、日本の企業家(70.5%)の順だった。中国の企業家たちが最も積極的に3カ国経済協力の必要性を感じているものとみられる。経済協力によって期待される効果については、国別に認識の違いが現れた。「韓中日経済協力によって期待される効果」として、韓国の企業家の84.8%は経済活性化を挙げたが、中国の企業家は同じ割合(84.8%)でサプライチェーンの安定を挙げた。日本の企業家は54.5%が経済活性化、27.3%がサプライチェーンの安定を挙げた。大韓商工会議所は、このような認識の違いについて、経済協力を通じて3カ国の企業家が各国の当面の課題を解決しようとする期待が反映されていると説明した」
下線部分は、三カ国の置かれている経済状況を明白に示している。中国は、不動産バブル崩壊後の経済停滞局面に陥っている。それだけに輸出増加が不可欠である。日本は、4月の日米首脳会談によって日米企業が密接な協力関係を結んだ。驚くべきことは、日米首脳会談の合意書には、具体的に日米企業名まで明記されている。こういう状態で、日本企業が中国企業と協力関係を樹立することは不可能である。日本は、「総論賛成・各論慎重」なのだ。
(3)「3ヶ国の企業家たちは、経済協力を活性化するために民間レベルの意思疎通と交流拡大(52.9%)が最も必要だとみた。さらに「政府レベルの外交協力の強化」(25.0%)、「技術交流の拡大」(15.5%)なども重要だと答えた。これに先立ち、3カ国の企業家たちは先月27日、ビジネスサミットで経済活性化と持続可能な発展のために経済協力実務協議体を設け、共に努力することで一致した」
中国企業と日韓企業との立ち位置が異なる以上、密接な協力関係を結ぶことは不可能である。ただし、定期的に会合を持って話し合うことは不可欠であろう。中国指導部は、いつか世代交代が起これば局面も変わるはずだ。その可能性に賭けて、最低限の交流関係は保つべきであろう。
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