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中国の多くの地域に猛暑注意報が発令された6月12日(現地時間)、一部地域(華北平原)の地表温度が70度を超えた。これは靴を履かないと火傷をする水準で、昼の最高気温が45度を超えたところもあった。この「炎熱地獄」は、2070年以降に常態化するとの予測が、米マサチューセッツ工科大学の研究チームによって2018年、発表されていたのである。

 

華北平原(北京など)が、気候変動と集中灌漑によって、生命に危険を及ぼすほどの猛暑に脅かされるとの研究が公開されていたのだ。その前哨戦が、すでに始まったと言うべきであろう。私のメルマガ552号で取り上げたばかりである。

『中央日報』(6月14日付)は、「靴を履かないと火傷する水準、燃え上がる中国の悲鳴」と題する記事を掲載した。

 

中国気象局は13日、微博を通じて前日午後、河北省の中南部や山東省、河南省、陝西省南部、安徽省北部などの地表気温が60度を上回り、一部は70度を超えたと明らかにした。気象局は「数日間地表温度がほぼ同様で、またはさらに上がる可能性がある」とし「市民には、身長が小さく比較的に地表温度にさらに影響を受ける子供やペットを連れて出かけることを控えてほしい」と助言した。

 

(1)「中国気象当局が普段、予報する気温は地表面から1.5~2.0メートル上の観測機器で測定した大気温度だが、地表温度は遮蔽物のない状態で測定した地表面の温度をいう。地表温度は夏、特に午後に急激に上がり、一般的な気温との差が大きい。河南省の省都である鄭州は前日、最高気温が45.4度を記録した。河北省や河南省、山東省でも前日の最高気温が40度を超えた。河北省と山東省の20余りの気象観測所は1~10日、過去最高気温を記録した」

 

河北省や河南省、山東省で最高気温(地表面から1.5~2.0メートル上)40度を超えた。地表面では70度を超えている。この事態は、決して一時的な異常気温ではない。華北平原は、中国最大の沖積平野である。およそ4億人の人口を擁する密度の高い地域であるが、同時に灌漑農業が盛んなエリアである。とりわけ、集中灌漑は夏場の温度と湿度を上昇させて、より厳しい熱波をもたらすのだ。これは、前記の米マサチューセッツ工科大学の研究チームによって2018年、発表されていた事実である。この不可避的な現象が、華北平原に現れたのだ。私の「メルマガメルマガ552号」(2024年3月25日)で予告した異常気温が、わずか3ヶ月足らずで現実になった。改めて、米マサチューセッツ工科大学の研究チームに敬意を表したい。

 

華北高原における猛暑のリスクの存在は、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されないかぎり、2070年から2100年までの間に、湿球温度35度以上の猛暑に見舞われる可能性を示唆している。気候変動と灌漑との複合的影響によって、湿球温度の上昇幅は摂氏3.9度で、灌漑による上昇幅(0.5度)と気候変動による上昇幅(2.9度)とを足した数値よりも高くなるとしている。中国は、過去の灌漑農業の弊害がこれから襲ってくる巡り合わせになった。

 

WHO(世界保健機関も、2030年から2050年までの間に、熱中症による年間死亡者数が3万8000人規模になると予測し、気候変動がもたらす健康影響にも注意を呼びかけている。中国は、こういう現実と向かい会わなければならない。

 

(2)「ある中国のネットユーザーは「一般的な暑さではない」として、「午後2時に車を運転すれば、ヘアドライヤー20台の熱風が顔にあたる気分」と話した。山東や河南省などの東部地域は、深刻な干ばつで農作物まで脅かされている。山東省沂蒙山地域では11日、村の住民たちが「草帽子」を頭にかぶったまま祈雨祭を行ったと地元メディアは伝えた。ある住民は、長い間雨が降らず農作物が水不足で死に、井戸は枯れてしまい、畑は亀の背中のように割れたと訴えた」

 

ネットユーザーによって、今回の暑さが説明されている。ヘアドライヤーを、20台も顔に吹き付けたようなものとしている。呼吸もできない状況であろう。

 

(3)「現地政府は、条件が整えば人工降雨を実施すると明らかにした。中国国家気候センター関係者は、新華社通信とのインタビューで「地球温暖化が深刻になったことにより、最近数年間、中国高温天気の初出現日が繰り上げられ、発生頻度もまた増加した」と話した。ある気象専門家は地元メディアを通じて「全地球的な温暖化の中で大気循環異常現象が高温現象の直接的な原因」と分析した」

 

中国の気象専門家は、集中的灌漑の副作用とは言っていない。世界的異常気温の結果としている。現実は、中国の灌漑農業がもたらしたものだ。