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EU(欧州連合)は、中国製EV(電気自動車)に対し7月5日から17.4%~37.6%の追加関税を課す。関税は暫定的なもので、EUの反補助金調査はあと4カ月続く。この間にEUと中国の間で集中的な協議が続けられる見通し。11月から確定税率になる。ドイツのキール世界経済研究所(IfW)のモリッツ・シュラーリック所長の試算によると、EUはこの関税率引上げで中国からのEV輸入は25%減る可能性が高いとされる。中国への影響は大きい。

 

『ブルームバーグ』(7月4日付)は、「EU、中国製EVに計画通り追加関税賦課へ 5日から適用」と題する記事を掲載した。

 

EUは中国製のEVに追加関税を暫定的に賦課する計画を進める。中国製EVに適用される暫定税率は最高48%にもなり、中国との貿易摩擦が高まる公算が大きい。

 

(1)「EUは4日の発表文で、暫定税率は中国政府の補助金に対する調査に基づくと説明。既存の10%の関税に加え、サンプル調査の対象となった中国メーカー3社では英国発祥のブランド「MG」を保有する上海汽車(SAICモーター)に37.6%、スウェーデンのボルボ・カーを傘下に持つ吉利汽車に19.9%、比亜迪(BYD)には17.4%がそれぞれ上乗せされる。調査に協力したがサンプル調査の対象とはならなかったメーカーには加重平均で20.8%、調査に非協力的だったメーカーには37.6%の追加課税が課せられる」

 

英国発祥のブランド「MG」を保有する上海汽車(国有企業)は、あたかも英国製EVという錯覚を利用してEVを売り込んできた。それだけに、EUの調査には非協力姿勢であったので37.6%という懲罰的な追加関税率を科された。

 

(2)「暫定税率は7月5日に発効する。これに取って代わる解決策を双方が見いだすか、人口を考慮した特定多数決で加盟国が阻止しない限り、最終的な関税が11月までに導入される。テスラは、サンプル調査の対象とするよう要請しており、最終的な段階では個別の税率が適用される可能性がある。EUはここ数週間、集中的な協議を続けていた。だが、調査の結果、中国の補助金はEU内の自動車メーカーに経済的な損失を引き起こすほどの規模であるとの結論に至ったと説明した」

 

米テスラは、サンプル調査の対象企業に科される低い関税率を要請している。中国政府の補助金を辞退するとまで「低姿勢」になっている。テスラは、中国で生産しているばかりに高関税率を科される。これを免れるべく必死だ。こうした事情もあって、最終的な段階では個別の税率が適用される可能性があるという。

 

(3)「欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)は、発表文で「相互に受け入れ可能な解決策について、中国とは引き続き緊密に連絡をとっていく」とし、EUの「調査に対する何らかの交渉結果がまとまるとしても、明確かつ十分にEUの懸念に対応し、世界貿易機関(WTO)の規則を尊重するものでなければならない」と主張した」

 

現在の関税率引上げは暫定措置である。11月からは、5年間の確定関税率引上げになる。EUは、中国に対してWTOの規則を守るようにと基本的な立場を明らかにしている。

 

(4)「中国は、報復措置をちらつかせ、既に輸入豚肉を対象とした反ダンピング調査を開始した。EU産酒類に対する調査結果も来年初めに発表される予定だったが、過去の例に基づくと今やすぐにでも発表があり得る。中国はEU産農産物、航空機、大排気量エンジン車にも影響が及び得ると警告。また、EUの調査についてWTOに提訴するという手段を選ぶ可能性もある

 

中国は、痛し痒しである。EUと「喧嘩別れ」することは是非とも避けたいのだ。米中対立が厳しくなっているので、EUとはなんとか関係を維持したいという状況である。

 

(5)「事情に詳しい関係者によると、これに先立って中国はEUに対し、両者の協議継続で状況が変われば、11月までの間に税率の調整が可能かなどを問い合わせていた。交渉の中で税率を微修正することはあり得るが、EUとしてはまず事実の共通理解を確立した上で、WTO規則にのっとった双方が合意する解決策を探りたい考えだと、関係者は説明した。双方は向こう数日以内に実務者協議を再開させる見通しだと、関係者は付け加えた。ドイツのキール世界経済研究所(IfW)の所長であるモリッツ・シュラーリック氏の試算によると、この関税で中国からのEV輸入は25%減る可能性が高い

 

ドイツの世界的シンクタンクであるキール世界経済研究所の所長によれば、中国のEVは今回の関税率引上げで25%は減ると予測されている。