韓国バッテリー業界は、14年ぶりに初めてのマイナス成長になる見通しだ。EV(電気自動車)や蓄電池市場が、中国の本格的攻勢に直面して最大の危機を迎えている。LGエナジーソリューション(LGエナジー)、SKオン、サムスンSDIなど、韓国電池企業は、「慢心を捨てろ」「もはや後がない」「新たな危機」など、社員に向けて相次いで警告メッセージを発する事態だ。
中国政府は、6月に電池企業に対して増設を禁じる方針を発表するなど慌ただしくなっている。EVは、これまで直線的な需要増加になると楽観的な見通しに立ってきた。現実は,全く逆の事態に陥っている。中国EVは,EU(欧州連合)でダンピング輸出を疑われて追加関税を課されている。こうして、中国のあふれ出る電池の供給力が、韓国に向うと危惧されているのだ。
『東亜日報』(7月11日付)は、「Kバッテリーが14年ぶりにマイナス成長、このままでは中国に抜かれて枯死しかねない」と題する記事を掲載した。
今年、韓国バッテリー産業の売上が14年ぶりに初めてマイナス成長する見通しだ。競争国は成長を続けており、電気自動車や蓄電池市場が成熟する前の一時的な需要低迷のためだと考えることも難しい。膨大な自国の電気自動車・蓄電池市場を背景にした中国の攻勢に、Kバッテリーが最大の危機を迎えているという評価が出ている。
(1)「韓国のバッテリーを代表する3社のうち、LGエネルギーソリューションやSKオンの今年の年間売上は昨年より10%以上減少し、三星(サムスン)SDIも現状維持に止まるものと予想される。このままでは、関連売上の統計を取り始めた2010年以降初めて産業規模が減少するだろう。一方、中国1、2位の企業であるCATLとBYDの売上が、それぞれ5%と23%の高速成長を続ける見通しだ」
中国の電池メーカーは、世界シェアを高めており、Kバッテリーがその余波を受けている。
(2)「Kバッテリー3社の中国を除くグローバル市場でのシェアは、3年前の過半数である57%から今年1~4月は47%に下落した。同期間、中国企業のシェアは14%から31%へと上昇した。韓国の三元系バッテリーよりは安いが、性能が落ちていた中国産リチウムリン酸鉄(LFP)バッテリーの技術水準が最近大幅に向上し、市場を急速に食い込んでいる。円筒形の蓄電池を初めて開発し、米テスラに供給する日本のパナソニックも、米国生産施設への投資を増やしている。韓国は、LFPや円筒型バッテリー分野の後発走者であるが、海外設備投資と技術開発投資を同時に進めなければならない厳しい状況を迎えている」
中国バッテリーは、低価格で高性能という強みを発揮して世界市場を席巻している。Kバッテリーは、円筒型バッテリー分野の後発者としての弱みを抱えており、窮地に立たされている。
(3)「韓国は、バッテリー原価の半分を占めるニッケル・リチウム・コバルトの3大鉱物の大半を中国に依存しており、サプライチェーンのリスクが大きい。中国が、世界407ヵ所の3大鉱物鉱山の持分をかき集めている間、韓国は15ヵ所を確保しただけだ。日本は、総合商社が早くから海外鉱物資源の開発に積極的に乗り出したおかげで、韓国の2倍の31ヵ所を確保したという。これに加え、中国は主要鉱物の輸出を政府が直接統制する「資源武器化」の速度を高めている」
Kバッテリーは、原料であるニッケル・リチウム・コバルトの3大鉱物の大半を中国に依存している弱みがある。
(4)「米国と欧州連合(EU)は、外国産バッテリーの輸入抑制へ動き出している。バッテリー産業を巡るグローバル競争は、原材料サプライチェーンの網確保競争など、個別企業が耐えられる水準を大きく越えている。バッテリーは、すでに韓国輸出7位の品目であり、主要産業となっている。競争国の挑戦を越えて未来の成長エンジンに位置づけられるように、政府と政界が全面的な支援策を出さなければならない」
韓国バッテリーは、輸出7品目にランクされている。だが、その基盤は極めて弱く国が保護支援しなければ国際競争に耐えられないほどだ。韓国は、また一つ難題を抱えた。
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