テイカカズラ
   

中国国家統計局は、4~6月期のGDP統計を発表した。前年同期比で5%を割り込み4.7%成長であった。今回は、記者会見を開かずにWebで一方的に発表することになったが、理由を説明しなかった。15日から「3中全会」が開催されるので、記者会見で中国経済の不振ぶりを質問されることを忌避したのだろう。都合の悪いことには、「口を閉ざす」ということだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(7月15日付)は、「中国GDP4.7%増、46月実質 生産・輸出がけん引」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国国家統計局が15日発表した2024年4〜6月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.%増えた。13月の5.%増より伸びは縮小した。生産や輸出が全体をけん引した。46月の前年同期比増加率は、日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調べた市場予測の平均(5.%)を下回った。季節要因をならした前期比の伸び率は0.%と、13月(1.%)から鈍化した。

 

4~6月期は、前年同期比4.7%増で目標の「5%前後」を下回った。前期比では、0.7%増である。これは、年率換算で2.83%になる。西側諸国の発表するGDP成長率は、前期比の年率換算である。この成長率が3%を割ったことは、中国経済が不動産バブル崩壊後の需要喪失に直面していることを示している。

 

(2)「国家統計局は同日、GDPの発表に際して定例となっている記者会見を開かなかった。統計データをホームページ上でのみ公表した。理由は説明していないが、中国共産党が15日から北京で開く党の重要会議である第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が影響した可能性がある」

 

現下の経済状況は、まさに「急減速」状態になっている。これにもかかわらず、3中全会では「中国式現代化の実践」などと悠長なことを言っていられるだろうか。足元の経済的な困難事態を放置して、将来展望を議論しても説得力はないのだ。景気停滞の主因は、不動産バブル崩壊の処理に有効な策を講じていないことだ。不安心理が充満している。

 

『ブルームバーグ』(7月15日付)は、「中国の住宅価格、6月も下落 最近の不動産支援策は改善に寄与せず」と題する記事を掲載した。

 

中国の住宅価格は6月も下落し、デベロッパーや経済に打撃を与えている不動産不況を食い止めることが政策担当者にとっての課題であることが浮き彫りになった。

 

(3)「国家統計局が15日発表したデータによると、70都市の新築住宅価格(政府支援住宅を除く)は、6月に前月比0.67%下落。5月は0.71%下げ、2014年10月以来の大幅な落ち込みとなっていた。6月の中古住宅価格は前月比0.85%下落。前月は1%下落していた。こうした数字は、5月に発表された当局の救済策が不動産市場のセンチメント改善にほとんど寄与していないことを示す新たな証拠だ」

 

中国指導部は、不動産バブル崩壊後の処理について地方政府と金融監督当局の責任に帰しており、財政支出の拡大による救済策を講じずに放置している。製造業へは手厚い補助金を出しながら、住宅問題は「見殺し」に等しい冷遇ぶりだ。

 

(4)「15日開幕する中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)で、より積極的な対策が打ち出されるとはほとんど予想されていない。デベロッパーや住宅所有者が住宅を売却するために大幅な値引きに頼る中、価格圧力は続く公算が大きい。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、クリスティ・フン氏とモニカ・シー氏は最近のリポートで、「新築・中古住宅の過剰在庫が、さらなる価格下落への圧力となっている」と分析した」

 

国民の不安心理を煽っているのは、不動産価格の低迷である。持ち家評価も日々落込んでいる中で、家計の紐は一段と厳しくなっているのだ。中国指導部は、こういう微妙な消費者の心理を読めずに、「中国式現代化」などとちぐはぐなことを言っている。