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7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、7月31日に発表される。好不況の分かれ目である50を、3カ月連続で割り込む見通しが強まっている。中国経済の不調は、すでに地方政府のGDP成長率にハッキリと表れている。今年上半期(1~6月)の各地方政府別のGDPは、政府目標の「5%前後」を大きく下回っていることが明らかになった。

 

『レコードチャイナ』(7月30日付)は、「中国では半数以上の行政区でGDP目標が未達 専門家は内需不足を指摘台湾メディア」と題する記事を掲載した。

 

中国では省クラス行政区が上半期の経済指標を発表しつつある。省クラス行政区は全部で31だが経済指標を発表した23カ所のうち16カ所でGDP成長が目標未達だ。台湾メディア『中時新聞網』(7月27日付)が報じた。専門家からは、内需不足を指摘する声が出ている。

 

(1)「中国の省クラス行政区(省、中央直轄市、民族自治区)が2024年上半期の経済指標を発表しつつある。中国の省クラス行政区は全部で31カ所あるが(香港、マカオ、台湾を含まず)、経済指標を発表した23の省クラス行政区のうち、16カ所ではGDPの成長目標が未達だった」

 

今年上半期の経済指標を発表した23の省クラス行政区では、16カ所でGDPの成長目標が未達だった。実に、7割にも達する。発表の遅れる行政区ほど、経済実態が悪いことが予想されるだけに、24年の中国全体のGDP成長率が懸念される。

 

(2)「中国国家統計局は15日、24年第2四半期(46月期)と同年上半期の経済指標を発表した。上半期のGDP成長率は5%だが、第2四半期の成長率は4.7%。上半期全体としては、かろうじて通年目標の水準を維持したことになる。中国ではこれまでに23の省クラス行政区が上半期の経済指標を発表した。うち16カ所ではGDP成長率が年間目標を下回っており、一部では1ポイント以上も低かった」

 

既発表の16行政区のGDP成長率では、政府目標を下回っている。1ポイント以上も低かった行政区も出ている。

 

(3)「上半期のGDP成長率が、年間目標を上回ったのは江蘇省、北京市、天津市、内モンゴル自治区、重慶市、浙江省、福建省である。中でも江蘇省は、上半期のGDP成長率は年間換算率58%であり、同省政府が掲げている年間成長目標の5%を上回った。一方で、中国経済の最大の省である広東省は、上半期のGDP成長率は年間換算で39%と、年間目標の5%を下回った。広東省体制改革研究会の彭澎執行会長は、不動産市場の縮小が広東省の経済の足を強く引っ張っており、特に家電、家具、建材などの産業が影響を受けていると述べた」

 

中国経済で最大の省である広東省は、上半期のGDP成長率が年間換算3.9%にとどまった。広東省は、輸出メッカだけに「輸出不振」が理由とみられる。広東省は、深圳、珠海の経済特区を抱え省内GDP、外資導入額、輸出額、地方税収額で全国各省市区の首位に立つ象徴的な地域である。その広東省の経済が不振であるのは深刻である。

 

(4)「目標未達の行政区の中で、海南省、西蔵チベット自治区、湖南省、雲南省、広東省、新疆ウイグル自治区の上半期成長率は、年間目標を1ポイント以上も下回った。特に海南省は上半期のGDP成長率がわずか3.1%で、年間目標の8%と大きな差が出た。中国(深セン)総合開発研究院企業と市場研究センターの鄭天騁副主任は、現在の中国では内需の不足が経済発展を阻害する大きな要因となっており、内需を高めることを目的とした経済政策を強化し、需要側にもっと多くの経済成長をもたらす力を与えるべきだとの考えを示した。また、中間所得層が安心して消費できるようにする必要があると指摘」

 

海南省は、中国の「ハワイ」とさえ言われる観光地である。この海南省経済が振るわないのは、個人消費の沈滞を裏付けている。海南省が、広東省の不振と並んで経済低迷に陥っているのは、中国経済が、製造業や個人消費の停滞を裏付ける象徴的な動きであろう。