カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールが、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の買収を提案した。成功すれば、日本企業の案件として最大規模になるばかりでなく、外国企業による大型案件として極めて珍しいケースとなる。クシュタールは、法的拘束力のない初期的な買収提案で、19日の報道後の7&iHDの時価総額5兆6300億円を上回る可能性があるという。
『ブルームバーグ』(8月20日付)は、「7&iHDへの買収提案 成否にかかわらず一石を投じる可能性」と題する記事を掲載した。
規模で7&iHDを下回るクシュタールの提案が、事業の一部を対象にしたものなのか、あるいは全体の買収なのか、提案の中身は現時点では不明だ。しかし、7&iHDに圧力をかけていたアクティビストの米バリューアクト・キャピタル・マネジメントが、現在も株式を保有していれば賛同を得られそうだ。
(1)「バリューアクトは7&iHD株主として、23年の株主総会で井阪隆一社長らの選任に反対した。経営陣に対してコンビニ事業への集中も求めた。続投が決まった井阪社長体制の下、7&iHDは11月には自社株取得を発表し、今年4月には子会社のイトーヨーカ堂を中心とするスーパー事業の新規株式公開(IPO)実現に向けた検討を開始する計画を示した。だが、買収提案の報道が流れた19日、同社株が1日の上昇率としては過去最大となる23%高となったことを考えれば、買収提案を拒否することは難しいかもしれない」
7&iHDは、祖業のイトーヨーカ堂を中心とするスーパー事業に改革を巡って揺れてきた。海外株主は、コンビニ事業の独立を求めて圧力をかけていた。こういう経緯からみると、コンビニ事業の買収であろうか。これは、7&iHDとして飲めない案だ。
(2)「陣インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ラファエル・ネメット=ネジャット氏は、「部分買収かどうかはわからないが、株価は明らかに過小評価されている」と話す。海外企業による買収に経営陣が消極的である可能性は高いものの、逆にそれが事業再編加速のプレッシャーにもなると指摘する。クシュタールによる買収が成功すれば、22年に米投資ファンドのKKRが行った6700億円の日立物流買収を上回ることになる。当時、親会社であった日立製作所は財務ポートフォリオを見直してコア事業に集中するため、日立物流を売却した」
今回の買収提案は、拘束力のない友好的な提案をしていると発表した。セブン&アイは23年に経済産業省が定めた「企業買収における行動指針」に沿って、アリマンタシォンの提案を社外取締役による特別委員会で検討している。とはいえ、取締役会の同意が簡単に得られるわけではなく、セブン&アイの株主をみても創業家の資産管理会社が8%を保有する。国境をまたぐM&Aとなり、セブン&アイ株主に日本で上場していないアリマンタシォンの株式を付与する方式は現実的ではない。「アリマンタシォンなら調達は不可能ではない」(投資銀関係者)との声もあるが、少なくとも5兆円を超える現金が必要になる可能性がある。以上は、『日本経済新聞 電子版』(8月20日付)の見方だ。
(3)「シュタールの買収提案は、店舗数だけ見ればク少々複雑に映る。7&iHDの8万5000店以上に対し、クシュタールは1万6700店だからだ。だが、円安は海外企業にとって日本企業をより魅力的に映した。しかも、7&iHD株は2月末から21%下落している。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリストのダイアナ・ロセロペーニャ氏は、今期業績の市場予想をベースに試算したEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)倍率の業界平均が11.51倍であることを考えると、買収総額は860億ドル(12兆5560億円)に達するかもしれないと指摘。クシュタールが単独で買収できる水準を上回っている可能性がある」
買収総額は、12兆円を超えるかも知れないという。クシュタールが単独で買収できる水準を超えている。となると、今回の買収提案は何の目的で行ってきたのか。
(4)「クシュタールによる7&iHDの買収には独禁法の壁も立ちはだかる。米国の反トラスト法(独占禁止法)規制当局は、買収提案に異議を唱える可能性が高い、と英紙フィナンシャル・タイムズが20日、事情に詳しい関係者らの話として報じた。当局はまだ詳細を検討していないが、買い物客への潜在的な影響について精査される見通しという。買収で合意した場合、承認を得るにはかなりの改善策や事業分割を提案する必要があると関係者の1人は述べたとしている」
クシュタールによる7&iHDの買収は、独禁法上の問題がある。米投資銀行ジェフリーズのアナリスト、コリー・タルロー氏は「アリマンタシォンにとって店舗数が大きく拡大するという点で、おそらくポジティブだ」と好意的に受け止めた。一方で「提案の財務面での詳細が不明であり、米国でシェア最大級の2社が統合することは独占禁止法の(審査が難航する)リスクがある」と分析している。これは、日経の報道である。


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