半導体のキオクシア(旧東芝メモリ)が、東証へ10月の上場を目指し申請したことが分った。時価総額1兆5000億円を目指す大型株式公開になる。2024年4〜6月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が698億円の黒字(前年同期は1031億円の赤字)だった。4〜6月期として2年ぶりに最高益を更新した人工知能(AI)需要でデータセンター向けメモリーの需要が伸びた。
『日本経済新聞 電子版』(8月23日付)は、「キオクシアHD、10月上場へ 時価総額1・5兆円目指す」と題する記事を掲載した。
半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリ)が23日、東京証券取引所に上場を申請したことが分かった。10月の上場を想定している。時価総額は1兆5000億円超を目指し、2024年最大の新規株式公開(IPO)になる見通しだ。人工知能(AI)の普及に伴って需要が拡大するメモリーの投資競争に備える。
(1)「キオクシアは、データ記憶用のNAND型フラッシュメモリーで世界3位。18年6月に東芝から独立し、19年10月に現社名に変更した。米投資ファンドのベインキャピタルと韓国のメモリー大手SKハイニックスによる特別目的会社が計56%出資し、東芝も41%出資している。東芝とベインはキオクシアの上場後、保有株を段階的に売却する」
NAND型フラッシュメモリーは、東芝が1980年代に発明したものである。いわば、東芝のお家芸分野である。それだけに、東芝自体の経営が安泰であったならば今頃、世界で覇権を争う半導体企業になっていただろう。惜しいことをした。
(2)「上場時の時価総額が、1兆5000億円を超えると、23年最大のIPOだった半導体製造装置のKOKUSAI
ELECTRICの4200億円を上回る。24年10月を目指して上場準備を進めている東京地下鉄(東京メトロ)の想定額(6400億〜7000億円規模)も超え、18年のソフトバンク(7兆1800億円)以来の大型案件となる可能性がある」
時価総額が1兆5000億円を超えると、24年最大規模のIPOとなろう。市場の話題になることは確実だ。
(3)「キオクシアは、20年に東証に上場を承認されたが、米中貿易摩擦の激化を受け、市況の先行きが不透明だとして上場を直前で延期した。その後、米ウエスタンデジタル(WD)のメモリー事業との統合交渉を進めた。NAND3位のキオクシアと4位のWDが合併して首位の韓国サムスン電子に対抗する狙いがあった。ただ、中国の独禁法当局の審査を通過するメドが立たないまま、23年10月に交渉は打ち切られた」
キオクシアとWDの統合案は、持ち株会社を作ってWDのメモリー事業とキオクシアが入る形を想定していた。企業価値ベースでの統合比率は、キオクシア側が63%、WD側が37%で、資本調整後に持ち株会社にWD側株主が50.1%、キオクシア側が49.9%出資する形となるはずだった。この統合案が実現していれば、NAND型フラッシュメモリーの世界シェアで、キオクシアとWDの統合会社がサムスンに並ぶ世界トップの位置が望めた。それだけに、SKの危機感が大きく将来の提携を模索していたキオクシアが他社と統合へ拒否感があったとされる。
(4)「キオクシアが再び上場を目指すのは、事業環境の改善がある。メモリーの主力市場であるスマートフォンやパソコンの需要が底打ちし、24年4〜6月期の連結純利益は698億円と同期間として最高だった。AIデータセンター向けの需要も拡大するなか、借り入れに頼っていた資金調達の手段を増やして投資競争に備える」
キオクシアは、AIデータセンター向けの需要が好調である。2024年4〜6月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が698億円の黒字(前年同期は1031億円の赤字)だった。売上高にあたる売上収益は、前年同期比71%増の4285億円と、4〜6月期として最高だった。円安に加え、低迷していたスマートフォンやパソコンの需要が底打ちした。台湾調査会社のトレンドフォースによると、長期記憶に使うNANDフラッシュメモリーの4〜6月期の価格は、1〜3月期に比べて15〜20%上昇した。


コメント
コメントする